andymori@日比谷野外大音楽堂

andymori@日比谷野外大音楽堂
andymori@日比谷野外大音楽堂
andymori@日比谷野外大音楽堂
andymori@日比谷野外大音楽堂
andymori@日比谷野外大音楽堂
andymoriの初の日比谷野外大音楽堂ワンマンライブ――すでに当サイトのニュースや各ブログでお伝えしているように、この記念すべき場所でドラムの後藤大樹が突然のバンド脱退を発表した。その瞬間は会場全員が驚きを隠せない様子だった。何か悪い冗談でも聞いているんじゃないかと思いたくなるような、本当にあっさりとしたものだったのだ。まさかそんな発表があるとは思いもせず、ただ純粋にバンド初の野音ワンマンを楽しみに足を運んだものだから、今はただ、驚くしかないというのが正直なところだ。

SEの“The End of the World”が流れる中、初の野音を祝福するような温かい拍手に包まれ、ゆっくりとステージに現れたメンバー。いつものように3人が横並びになってスタンバイし、“SWASDEECLAP YOUR HANDS”で幕を開けると間髪いれずに“ベンガルトラとウィスキー”“everything is my guitar”“僕がハクビシンだったら”と立て続けにハイスピードに疾走していく。マシンガンのような小山田の言葉と前のめりにかき鳴らされるギター、歌に寄り添うような藤原のベースライン、ダイナミックで手数の多い後藤の激しいビート、3人のバンドアンサンブルは観る度に逞しくなっている。

「すごいたくさんの人たちが見えます。すごい! 終わったらみんなで鬼ごっこしよう」と満杯のオーディエンスで埋め尽くされた会場を見て、喜びをかみしめる小山田。ここ数日で急にひんやりと冷えた秋の空気のせいか、天空を仰ぐように穏やかに響いた“青い空”、アコースティックギターの音色が哀愁漂う“16”などミドルテンポのナンバーがやけに心に染みる。藤原の弾むようなベースラインで始まる“ビューティフルセレブリティー”では、会場から自然とクラップが沸き起こりハッピーなムードに包まれていった。andymoriの楽曲は本当に多彩でバリエーションに富んでいて、聴く人を選ばない、すっと懐に入り込んでくるような人懐こさがある。その一方で、生死を分かつようなシリアスさも同時に持ち合わせている。「こういうところに立つために、普段生きてるんだなと思います」と言って始まった新曲“楽園”は本当に素晴らしかった。もう死ねるって思えるほどに生きる喜びを知ること、そんな覚悟の決まった小山田の潔い言葉が迫りくるようなリズム隊の激しさに乗ってリアルに届いた。

そして中盤、性急に駆け抜けていく“僕が白人だったら”、リズミカルに弾ける“モンゴロイドブルース”、破壊的なビートで超高速突破していくような“スーパーマンになりたい”、疾走感たっぷりに突き抜けていく“Transit in Thailand”の流れは、バンド・アンサンブルに多彩なグルーヴを生み出していく後藤の独壇場のようだった。短い尺の中につんのめるような初期衝動とどうしようもない怒りやいら立ち、そんな感情を詰め込んだandymoriの音楽には、この破天荒なリズムが必要不可欠なのだ。

涙が出るほどに美しい名曲“1984”で3人のハーモニーを聴かせたところで、あっという間に終盤戦へ突入。“andyとrock”“FOLLOW ME”“すごい速さ”などBPMの速い楽曲群を暴発寸前の勢いで畳みかけ、本編ラストの壮大なナンバー“Weapons of Mass Destruction”まで実に28曲! 今のandymoriが出せるすべてを出し切った本当に最高の野音ステージだったのだ。そして、アンコールをやって大団円! のはずが、問題の発表はここで行われた。

「言わなきゃいけないことがあるんですけど」と後藤が自らマイクをとると、あっさりと「俺はandymoriを抜けます。本当は今日で終わりだと思ってやってきたんだけど、『週末DINERツアー』が決まってたから、11月27日で最後です」と言う。その瞬間、会場は耳を疑うような言葉に騒然とした。あちこちから「やだー!」とか「辞めないで!」という声が飛び交った。今日の野音ワンマンは指定席はソールドアウト。バンドとしても安定感が増し、これからという時なのに、なぜ、今のタイミング? と思わざるを得ないのが正直なところだ。しかし、今考えてみればandymoriは、いつ何が起こるかわからない、永遠なんてないという刹那的な出来事が日常には常にたくさん潜んでいて、だからこそ、いつでも全力を尽くしていく、今を生きていくということをずっと歌っていたような気がする。小山田は「この3人のandymoriを観るのは今日で最後の人もいるかもしれないね」と言っていた。そんなことライブのアンコールで言われても…とも思ったけれど、やる方も常に「いつ死んでもいい」と思うくらいの気迫で臨んでいるのだから、観る方も「いつでも観られる」なんて思わないで常に全力で観ないといけないんだ、と改めてリスナーとして音楽と向き合うということを考えさせられる一幕だった。

終演後に配られた、「大事なお知らせ」によると今回の後藤の脱退はメンバー、スタッフ間で行われた幾度にわたる話し合いの末の答えのようだ。小山田は「明るくいこうと思います!」と会場のざわめきをかき消し、もうすでにしっかりと前を向いていた。音源化されていていない古い楽曲“マイアミソング”でアンコールに突入し、ダブルアンコールでは、くるりの“ロックンロール”のカバーも含め、力の限りにプレイ。そして本日2度目の“CITY LIGHTS”で会場は突き上がるピースサインで埋め尽くされた。この3人でできる最上のステージを見せてくれたと思う。もちろん、これからもandymoriは続くし、後藤も目指す音楽を続けていく。それぞれの道を今後も応援していきたいと思う。(阿部英理子)


1.SWASDEECLAP YOUR HANDS
2.ベンガルトラとウィスキー
3.everything is my guitar
4.僕がハクビシンだったら
5.クレイジークレーマー
6.バクダッドのボディーカウント
7.都会を走る猫
8.青い空
9.16
10.ビューティフルセレブリティー
11.楽園
12.ハッピーエンド
13.三万日ブルース
14.誰にも見つけられない星になれたら
15.ナツメグ
16.僕が白人だったら
17.モンゴロイドブルース
18.ずっとグルーピー
19.スーパーマンになりたい
20.Transit in Thailand
21.サンセットクルージング
22.オレンジトレイン
23.1984
24.andyとrock
25.FOLLOW ME
26.CITY LIGHTS
27.すごい速さ
28.Weapons of Mass Destruction

アンコール1
1.マイアミソング
2.グロリアス軽トラ
3.Life Is Party

アンコール2
1.アイラビューベイビー
2.ロックンロール
3.CITY LIGHTS
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする