神聖かまってちゃん/川本真琴/フルカワミキ@SHIBUYA-AX

神聖かまってちゃん/川本真琴/フルカワミキ@SHIBUYA-AX
神聖かまってちゃん/川本真琴/フルカワミキ@SHIBUYA-AX
神聖かまってちゃん/川本真琴/フルカワミキ@SHIBUYA-AX
神聖かまってちゃん/川本真琴/フルカワミキ@SHIBUYA-AX
神聖かまってちゃん/川本真琴/フルカワミキ@SHIBUYA-AX
神聖かまってちゃん/川本真琴/フルカワミキ@SHIBUYA-AX
神聖かまってちゃん/川本真琴/フルカワミキ@SHIBUYA-AX
神聖かまってちゃん/川本真琴/フルカワミキ@SHIBUYA-AX - 撮影=森リョータ撮影=森リョータ
SHIBUYA-AXで神聖かまってちゃんがライブをする! しかもそのゲストはフルカワミキと川本真琴! というなんとも豪華すぎるメンツで執り行われる、神聖かまってちゃん初の自主企画イベント「窓辺で手紙を調弦っす。vermail」。どこから書けばいいのか、どこまで書くべきなのか、ちょっと真剣にわからなくなるほど色々なことがありすぎた今日のこのライブイベント。とにかく起きたことをできるだけ余すこと無く書ききろうと思ったら、かなり長いレポートになってしまったので、申し訳ないけれども最後までお付き合いいただければ、と思います。


オープニングアクトを務めたのは、日本最凶のインディーレーベル殺害塩化ビニール、レーベル社長のTHE CRAZY SKB率いる5人組ハードコアパンクバンドQP-CRAZYだ。おどろおどろしいアレンジの効いた“妖怪人間ベム”が流れるステージに、ガスマスクを着用した異様な4人のメンバーが現れ、いきなり轟音のセッションがスタート。少し遅れて顔を白く塗りたくり、赤い髪をガチガチに逆立てたTHE CRAZY SKBが登場し、某宗教団体の教祖の顔型パネルをかざしながら、ちょっと危なくてここでは書けないような歌詞をシャウトする。「計算ドリルは返さねえ!」と、かまってちゃんを見にきたオーディエンスを煽りながら、最後まで硬質の爆音をこれでもかというほどかき鳴らし、「ご愁傷様でしたー!」と、サイレンがけたたましく鳴り響くステージを後にした。客電が点いた後のフロアのざわつきようが、彼らのパフォーマンスの凄まじさを物語っているかのようだった。

2番手はフルカワミキ。ギターはなんとSUPERCAR時代からの盟友ナカコーこと中村弘二、ドラムはChe-aのU、シンセはソロユニットagraphで活躍中の牛尾憲輔という、盤石の布陣での登場だ。簡単な挨拶の後、打ち込み系の楽曲を立て続けにプレイ。音源では打ち込みの音が先行して聴こえるこれらの楽曲だが、今日のようなバンドセットで演奏されることにより、電子音とバンドサウンドが調和した、無機的でありながらもどこか有機的な浮遊感を備えたアンサンブルとなって伝わってくる。個人的には、こっちのアレンジの方が格段に良い。“Freaky Rider”のあたりから、外見からはとてもじゃないけど想像できないようなUのダイナミックなドラミングが生み出すうねりに勢いづけられてフルカワとナカコーの発する音が目に見えて厚く、激しく加速していく。フルカワの前に出てくるベースラインが心地良い“La La La”、ナカコーの不穏なエフェクトのかかったイントロが印象的な“C. Stereo”と、決して勢いだけではない説得力を帯びたタイトなサウンドがフロアに独特な空気感をつくり出す。そしてラストの”Candy Girl”での圧倒的な音の広がりをもって、フルカワミキのアクトは終了。最初と最後の挨拶以外MC一切無しの、非常にストイックなステージだった。

続く3番手は川本真琴。頭の左側に赤と金のエクステと、猫の帽子(お面?)を身につけ、顔や腕の一部を白くペイントした、サイケデリックというか、ちょっと不思議なメイクでの登場だ。ここ最近は弾き語りが中心だったのだが、今日はなんとバンドセットでの出演! 本人曰く5年ぶりのバンドでのライブだそうだ。セットリストは、ほとんどが今年2月にリリースされた9年ぶりの新作『音楽の世界へようこそ』からの楽曲で、サポートも馬場一嘉(G)、清水玲(B)、茶谷雅之(Dr)、葛岡みち(Key)と、本アルバムのレコーディングメンバーが務める。序盤はバラードや、チルアウト系の楽曲で、久しぶりのバンドでのライブを確認するかのように、噛み締めるかのようにしっとり、ゆったりとした調子で進んでいく。もちろんここまでの楽曲も本当に素晴らしかったが、6曲目の“音楽の世界へようこそ”から、川本のテンションが爆発し始める。馬場の攻撃的なギターソロが炸裂するアッパーチューン“何処にある?”では、ハイテンションで歌いながらステージを縦横無尽に動き回ったり、スピーカーに登って超高音でシャウトしたり、絶好調の姿を見せる。続く“縄文”ではステージ前方の縁に腰掛けながら、カピバラのぬいぐるみを片手に絶唱。ラストはメンバー紹介を交えた“マギーズファームへようこそ”を高らかに歌い上げ、ステージを後にした。


イベント開始から2時間半、満を持して登場するのは本日のトリ、神聖かまってちゃん。大歓声に迎えられながらの登場だ。これから始まる彼らのアクトは、ライブ配信サイト「ニコニコ生放送」の公式生放送で中継されるらしく、ステージ後方の上の方に収納されていた巨大なスクリーンが降りてきて、そこに「ニコニコ生放送」を観ている人と全く同じ画面が映し出される。スクリーンには視聴者からのコメントが次から次へと流れてきていて、会場にいない多くの人もライブに参加しているということがリアルに感じられ、ちょっと変な感じだ。

正確な数字はわからないが、流れてくるコメントによると現時点で8000もの人が、インターネットを通して今日のこのアクトを観ているとのことらしい。さらに、の子の手元のPCによって動画サイト「Ustream」でも会場の様子が配信されているらしく、そちらの視聴者数の方は会場にいる自分にはわからないのだが、とにかく、かなりの数の人が今日のこのかまってちゃんのアクトを観ているということになる。

「ロック史というのはいろいろあるけど、今日ここで、新しいロック史を刻み付けられればいいと思っています!」というの子のMCでオーディエンスを沸かせた後、“夕方のピアノ”をプレイ。「死ねー!!」というシンガロングが盛大に巻き起こる、なんとも異様な光景だ。合間合間に生放送中に流れてくるコメントをネタにしながらのMCを挟みながらも、“ベイビーレイニーデイリー”、“天使じゃ地上じゃちっそく死”と、ライブ序盤は思いのほかスムーズに進行していく。そしての子による「This is History!!!」というOASISへのオマージュであろうコールアンドレスポンスの後に披露されたアンセム“ロックンロールは鳴り止まないっ”で、OI! コール、シンガロングと、オーディエンスは今日一番の大盛り上がり。演奏自体はやっぱりそんなに上手いといった感じではなかったけど、メンバーのテンションとか、この曲の持つ特別な力とか、会場の雰囲気とか、色々な要素がガチッとはまって、無敵のグルーヴ感のようなものが全方位に迸っていた瞬間だった。

続いて、の子の提案により、ニコニコ生放送のコメント機能を使ってのアンケートで、「一番投票率が高かったメンバーが坊主になる」という企画が唐突に行われることに。その結果は以下の通り。

mono 35.5%

みさこ 29.4%

の子 24.8%

ちばぎん 10.3%

というような感じで、会場の「アゴコール」のおかげもあってか、monoの坊主が決定。しかし、本当に思いつきでやったことらしく、髪を切る道具が何も無いというぐだぐだな展開に…(ちなみにこの坊主企画は、その後スタッフが急遽バリカンを買いに行くことになり、断髪式はライブ後に変更→ライブ後、床が汚れるとのことで会場側からNGが出る→後日配信で断髪式が行われることになりました)。ここでmonoはリアルにへこんでしまい、ぐだぐだとMCを続けて、終いには言い出しっぺのの子が「早くしろよ!」と不機嫌になる始末。そして“学校に行きたくない”がプレイされる。明らかに落ち込んでいるmonoを尻目にの子がPCを持ったままフロアにダイブ。続くMCでは、monoがヤケクソになって水鉄砲をフロアに向けて乱射する。ちばぎんは、「この場をおさめる?いや無理でしょ」と、我関せず。フロアの雰囲気も結構カオスだけど、ステージの上はもっとカオスな事態に。これまで何回かライブを見てきたけど、かまってちゃんのライブっていつもどこかでこういう制御不能のどうしようもない感じになる気がする。でもこういうアナーキーさが彼らにとって欠かせない魅力の一つであることは間違いない。そして“ちりとり”、“いかれたNEET”でもって、とりあえず本編は終了。

アンコールを求める大音量のハンドクラップを受けて、メンバーが再びステージに姿を現したものの、の子、足をつったらしくステージ上で瀕死状態に。その後なんとか回復し、どうしようもないくらいチューニングが狂いまくったビビットなピンクのギターを、予備の真っ赤なギターと交換して、“あるてぃめっとレイザー!”を披露。最後はそのギターをたたき壊し、「ありがとうございました!!」と深々とお辞儀をしてステージを去っていった。今日こそはと、食い入るようにその一挙手一投足を追ってみたものの、最後まで何を考えているのかが1ミリたりともわからなかった、常軌を完全に逸したロックンロール・モンスターの子と、彼が率いる神聖かまってちゃんが、会場の1700人とニコニコ生放送の視聴者16000人、Ustreamの視聴者数はよくわからないが、少なく見積もっても全部で2万人以上にものぼるであろうオーディエンスを熱狂させ、震え上がらせこの大事件、恐ろしくもあったが、それ以上に目が離せなかった。(前島耕)


[セットリスト]

■フルカワミキ
1.Coffee & SunshineGirl!!!
2.金魚
3.New Days
4.Freaky Rider
5.La La La
6.Sweet surrender
7.C. stereo
8.Amore
9.Candy Girl

■川本真琴
1.Tune
2.ポンタゴ
3.へんね
4.アイラブユー
5.小鳥のうた
6.音楽の世界へようこそ
7.何処にある?
8.縄文(ローズヴァージョン)
9.マギーズファームへようこそ

■神聖かまってちゃん
1.夕方のピアノ
2.ベイビーレイニーデイリー
3.天使じゃ地上じゃちっそく死
4.ロックンロールは鳴り止まないっ
5.学校に行きたくない
6.ちりとり
7.いかれたNeet

アンコール
8.あるてぃめっとレイザー!
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