Base Ball Bear @ 日比谷野外大音楽堂

Base Ball Bear @ 日比谷野外大音楽堂
Base Ball Bear @ 日比谷野外大音楽堂
今年1月に初の日本武道館公演を大成功に終わらせたBase Ball Bearが、今年も日比谷野外大音楽堂に帰ってきた! 昨年行われたツアーの追加公演として、ちょうど今日と同じ梅雨の頃に『日比谷ノンフィクション』と題して、初めて野音のステージに立った彼ら。今年は大阪、千葉、福岡、名古屋と回ってきたホールツアー『TOUR;HALL IN MY LIFE.』を締めくくる、『日比谷ノンフィクション pt.2』として野音2DAYS公演を開催。2日目の本日は、小出曰く「音楽的にも、性格的にもL.O.V.E ラブ!」な存在だという山口一郎率いるサカナクションをゲストに迎えてツーマンライブを決行。梅雨真っ只中ということで天候も心配されたが、2日間ともに雨も降らずコンディションは良好だ。

17:00を少し回った頃、場内のSEがフェイドアウトし、突如和太鼓の図太い音色が鳴り響く。それとともにステージから四方に勢い良く噴出した白煙に包まれ、サカナクションのメンバーが登場。草刈(B)と岩寺(G)がステージ中央で和太鼓を勢いよく叩き上げる。そして、江島(Dr)の地鳴りのようなバスドラのキックと岡崎(Key)のシンセが重なり、“Ame(B)”をミックスしたインストナンバー“21.1”でスタート。「日比谷ノンフィクション、サカナクションです!」という山口(Vo/G)の一声で、バックの黒幕がバサッと落ち、『日比谷ノンフィクション2』というフラッグが現れた。その瞬間、客席のテンションは一気呵成に振り切れ、“明日から”“表参道26時”“セントレイ”のノンストップ・ダンスタイムが展開される。

その煌びやかなサウンドから一転、自らの内面を削りとり、その深部へと潜り込むような濃厚なサカナクション・ワールドへと突入する。ゆらゆらと揺らめくシンセ・フレーズが野音を囲む緑を深い青へと変えてゆき、その青さが体内へ浸透していくような“アンダー”。底の底まで辿り着き、一線を引いたところでそこから再び這い上がるかのような“シーラカンスと僕”。山口が描く自らのストーリーの世界観を共有するようにオーディエンスもその音の海へと深く飛びこむ。

山口は小出のことを「僕の親友なんで」と言っていた。Base Ball Bearのツアーでツーマンライブをする機会を経てから親交を深めたそうだが、2人が通じ合える理由はそれぞれのバンドの音を聴けばなんとなく伝わってくるような気がする。それは同世代のバンドだからという理由だけでは説明できないもの。小出が見る世界と山口が見る世界は決して同じものではないし、アウトプットの仕方も違うけど、2人とも自らの内面に向ける視点が真っ直ぐ過ぎて、それゆえに歪で捻くれたカタチとして音楽に結び付いているように思う。

SEでバービーボーイズがひたすら流れる中、30分ほどの転換を経て、いよいよBase Ball Bearの登場だ。SEが鳴り止み静かになったステージに1人ゆっくりと現れた湯浅(G)。続いて、堀之内(Dr)、関根(B)と姿を現し、ずっしりと重めに刻まれるビートが会場の手拍子を誘う。そして、小出の「日比谷ーーーー!!!!」という大絶叫とともに「ドカーン!」という爆発音が轟き、“Stairway Generation”で幕を開けた。オーディエンスも拳を突き上げては飛び上がり、2度目の野音を心から楽しもうと勢いづく。「イエーーーー!!!!」という雄叫びをぶちかまして、“changes”に突入すれば、そこには爽快感に満ちたBase Ball Bearのポップ・ワールドが広がる。

「僕はあんまり人付き合いがいいわけでもないし、交流関係も広くないし、友達も多いほうじゃないけど、山口君がいればそれでいい!」と親友・山口への愛を語り、「彼らの地元である北海道の名産に木彫りの熊があって、熊は鮭をくわえているわけですが、僕らがサカナクションを食べるという意味ではなく、サカナによって生かさせていただいているので」と2バンドの関係をうまく纏めたところで、“神々LOOKS YOU”“SCHOOL GILR FANTASY”と関根のキュートなコーラスが映える瑞々しいナンバーが繰り出される。屈折した感情の中に輝く真っ直ぐな想いが、どこまでもキラキラなメロディとなって産み落とされているという部分に関してはものすごくサカナクションと通じる部分があるなと感じる。

とここまでは順調だったのだが、「武道館のことはあんまり覚えてなくて……むしろ、去年の野音の方が覚えていて…………」小出がその後に何を言うか忘れてしまい、すっかり頭が真っ白になってしまった後のグダグダ感は野音には魔物が住んでるのか…!?と思うくらい。フォローに回ろうとした堀之内も空回りの大ヤケド。「ヤバイ、曲やろう!」とすぐに挽回するべく再開させたのだが、さすが。その後の“FICTION ONCE MORE”で見せた濃厚なダブ・ナンバーでMCでの不安定さを一掃し、完全に心は持っていかれる。湯浅の冴え渡るギターフレーズに、堀之内と関根の重厚なグルーヴ、時々喉を鳴らすような小出の歌い方が、すっかり暗くなった野音にじわじわと熱風を巻き起こすようだった。

そして、恒例の「将平ダンスタイム」を挟んで“ドラマチック”“CRAZY FOR YOUの季節”“海になりたい part.2”とアップテンポに畳み掛けた後半戦。緑やピンクや黄色のカラフルなレーザー光線を浴びながら、ベボベ特有の甘酸っぱくもあり、ヒリヒリとした刺激を多分に含んだ疾走感を全身で受けとめようと客席もヒートアップしていく。これまで以上に筋肉質になった4人のバンドアンサンブルが生々しく響いた“ELECTRIC SUMMER”に入る直前のセッションは本当に素晴らしかった。そこからの小出は何か吹っ切れるかのように、すべてを解き放ちラスト・チューン“LOVE MATHEMATICS”まで突っ走った。

アンコールでは野音へ来た人へのとっておきのプレゼントのような新曲“Kimino-me”を披露。重めのミディアム・テンポな楽曲かと思いきや、「ここでこの曲のゲストを呼びたいと思います」とサカナクション山口一郎を呼び込んだ。その瞬間から、一気にテンポアップし、『日比谷ノンフィクション2』のフラッグが落ちて現れたのは巨大ミラーボール! 色鮮やかなライティングとレーザー光線が降り注ぎ野音が一気にクラブ空間へと様変わりした。山口がぴょんぴょんジャンプしながら歌うと、客席もたまらずジャンプで応戦し、歓喜の渦に包まれる。1回聴いただけで、すぐに耳に馴染んでいくんだけど、ベボベ特有の瑞々しい王道ポップとはまた違う路線をいった本当にいい曲だった。

終演のアナウンスが流れても、鳴り止まない拍手。客電もついて、もう終わりかと思った瞬間、ステージに再び明かりがついた。「そんなに言うなら、最後にもう1回だけ。今年もまたこの季節がやってきますね…」と夏のアンセム“BREEEEZE GIRL”をプレイ。小出は最後に「絶対また会おうね」と繰り返し叫び、再会を約束してステージを後にした。まだ先のことではあるが11月19日には新木場STUDIO COASTでのワンマンも決定! きっとその日までには今日やった新曲も含めて何かしらの形になることが期待できるので、楽しみに待っていたい。(阿部英理子)


サカナクション
1.21.1
2.明日から
3.表参道26時
4.セントレイ
5.Klee
6.アンダー
7.シーラカンスと僕
8.インナーワールド
9.サンプル
10.ネイティブダンサー
11.アルクアラウンド
12.ナイトフィッシングイズグッド


Base Ball Bear
1.Stairway Generation
2.SOSOS
3.changes
4.神々LOOKS YOU
5.SCHOOL GIRL FANTASY
6.YUME is VISION
7.東京ピラミッド
8.FICTION ONCE MORE
9.夕方ジェネレーション
10.ドラマチック
11.CRAZY FOR YOUの季節
12.海になりたい part.2
13.ELECTRIC SUMMER
14.LOVE MATHEMATICS

アンコール1
1.Kimino-me(新曲)
2.祭りのあと

アンコール2
1.BREEEEZE GIRL
公式SNSアカウントをフォローする

最新ブログ

フォローする