YOUR SONG IS GOOD@日比谷野外大音楽堂

「まるで オーティス! またはチャックD! 吾妻光良! 清志郎! ECD! または……今日ここにいる日比谷野外大音楽堂に集まってくれたモノホンの音楽好き!!!! みたいさーーー」

“THE LOVE SONG”の歌い始めで、いきなりこんなマイクパフォーマンスを繰り出し、夕暮れ時の涼風が心地よい野音に超陽気な熱風を巻き起こしたYOUR SONG IS GOOD。3月に発売された4枚目のアルバム『B.A.N.D』のリリースツアー最終日であり、ユアソン初の日比谷野外大音楽堂ワンマン。スペシャルな空気感があるのはもちろんだけど、何しろ全席自由!という思い思いの場所で、思い思いに楽しむことができるという開放感も手伝って、普段のライブハウスとも変わらないアットホームな空間を生み出していた。痛快なカリプソ・ナンバー“FIGHT BACK! FIGHT BACK! FIGHT BACK!”、息をもつかせぬ勢いで“A MAN FROM THE NEW TOWN”を立て続けにプレイし、初っ端からオーディエンスは両手を揺らしては、飛び跳ねて踊り狂う。

今回のアルバム『B.A.N.D』はメンバー6人それぞれの志向性が自由に放たれた作品で、ユアソンのバリエーションをさらに押し広げているのだけど、自由だからといって決してとっ散らかったものではない。それぞれが違う方向を進んでも、紆余曲折だったこれまでの12年の活動から生まれたバンドの結束力は揺ぎないし、むしろ、どこから切ってみてもユアソンはユアソンでしかないという核がどんどん広がって増大しているようだ。シライシの切り裂くようなギターで始まって、疾走感に乗って駆け抜けていくような“NAMAENSOU SHIMAKURI NO WEEKEND”も、スペイシーなシンセとキラキラのカッティング・ギターがグルーヴィーに絡み合う“DECK O TRACK”も、一瞬ユアソンぽくないのに、核がしっかりしているからすごくしっくりはまってるし、それでいて新鮮に響いてくる。

「野音はすごくスペシャルな場所でもあり、俺たちが今までやってきたライブハウスやスタジオと変わらないところもあり………まだ、あんまりよくわかんないっす!」と初の野音ワンマンにジュンジュンも動揺を隠せないようだったけど、いつもと変わらない肩肘張らないリラックスムードの中、ライブは繰り広げられていく。それでも、やっぱり野音で聴く“あいつによろしく”はやっぱり感慨深いものがある。野音が満面の笑顔とハンドクラップで包まれたハッピー感が充満した瞬間だった。そこから振り切れるように“WE ARE”で高速フルスロットル。ジュンジュンのスキャットも冴えている。

「ファイナル、最高です。ありがとうございます!曲をやろう、曲やります!」と限れられた時間内でやりたいだけ、詰めたいだけ、持てるパワーをすべて出し切るように「このまま突っ込んでいきますよ、ブガルー超特急ーーー!」といよいよ後半戦へ突入。“THE CATCHER IN HE MUSIC”では、いつものごとく、アンプによじ登って感謝の思いを熱弁するジュンジュン。「あとは、もうやるだけ。やったらなんか生まれるかもしれない。俺たちもちょっとだけこの先、前に進んでいこうと思います。そもそも勝手にやっちゃおうぜってことですよ! 勝手にやってください!」といつもなら全員に合図を出してジャンプするところを、タイミングも何もかも全てオーディエンスに委ねてしまったのだ。ユアソンのライブは楽しくて当然、まず間違いはないという図式の中で、知らず知らずのうちにこうあるべきという枠の中で凝り固まっていたところもあるのかもしれない。それを今全て解き放つように、それぞれが自由に、勝手に飛び出していくようだった。

その直後にプレイされた“UNBREAKABLE”は、きっとユアソンの「自由にやる」宣言でもあり、彼らの奥底に眠ったダークサイド的な姿が表に出た瞬間でもあった。ステージ一面に映し出された無数の星屑や惑星、流れ星。それらが演奏に没頭する6人に降り注ぐように流れ、はっと息を呑むような緊張を生み出していたのだ。今までユアソンのライブにこんな瞬間はなかった。そして、曲の後半、演奏に加速度が増すと同時にその無数の星が逆流して、まるで星が爆発するかように6人を中心に途轍もない力を発していった。

ラストでYOUR SONG IS GOODに関わる全ての人たちの名前を挙げて感謝を述べるジュンジュン。メンバー紹介で元メンバーのマツムラタケオ、モリヤヒロキの名前も呼ぶ。そして、「YOUR SONG IS GOODは都合上6人でやっていますが、この会場にいるすべてのみなさんはYOUR SONG IS GOODに強制加入で宜しくお願いします!」と、この会場にいた全員がYSIGメンバーに加入決定! 「毎週1回笹塚で練習ありますよ。練習代は割りカンですよ」なんて、冗談交じりに加入条件を提示すると、オーディエンスからは割れんばかりの大歓声が。「そこまで覚悟が決まっているなら、次の曲一緒にやりましょうよ」と言って“B.A.N.D”で締めくくり。ジュンジュンは客席に下りて《Let's play it all !!!!!!》の大合唱沸き起こるオーディエンスに囲まれながら大絶唱し、大団円を迎えた。

「野音は限りがあるからガツンとやらさせていただきます!」(※20:30までしか音が出せない)といってアンコールでは3曲プレイ。ライブ終了後もMU-STARSによるDJが繰り広げられ、デッドラインの20:30まであと残り5分しかないという中、なんと遊びに来ていたCOMEBACK MY DAUGHTERSの高本がDJブースに現れ、“NO STAR”を熱唱するというスペシャルなサービスも! ジュンジュンが言うところの「今日中にやらなきゃいけないことがあるのに、やらないで再生ボタンを押してしまうようなどうしようもない音楽好き」を喜ばせる最高なパーティータイムだった。アンコール前にカクバリズム・角張氏がステージに現れ、言葉にならない感謝の気持ちを伝えたのだが、そのどうにも言葉にならない感じというのがすごくよく分かる。たった一言、「最高」としか言いようがないっていうのはこのことだ。(阿部英理子)


1.THE LOVE SONG
2.FIGHT BACK! FIGHT BACK! FIGHT BACK!
3.A MAN FROM THE NEW TOWN
4.DANCE WITH ME
5.ACTION!!!!!!
6.MOVE OR DIE
7.NAMAENSOU SHIMAKURI NO WEEKEND
8.OUR LIFE
9.ONIROKU
10.I LIKE IT LIKE THAT
11.DECK O TRACK
12.あいつによろしく
13.WE ARE
14.SUPER SOUL MEETIN' ~超ソウルミーティン~
15.NETTAI BOY ~熱帯ボーイ~
16.MR.EVERYMAN
17.WALKIN' WALKIN'
18.CATCH-AS-CATCH-CAN
19.ブガルー超特急
20.THE CATCHER IN THE MUSIC
21.UNBREAKABLE
22.SIGNBOARDER TRIPPIN'
23.B.A.N.D

アンコール
1."2,4,6,6,1,64" number
2.GOOD BYE
3.THIS PLANETにて
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする