レミオロメン@渋谷C.C.Lemonホール

レミオロメン@渋谷C.C.Lemonホール
レミオロメン@渋谷C.C.Lemonホール
「いくぜ東京!」という藤巻亮太(Vo・G)のコールから、開演と同時に満員のC.C.Lemonホールに吹き荒れるクラップの嵐! 5月13日から足掛け8ヵ月にも及ぶ全国ホール・ツアー=『レミオロメン 10th Anniversary TOUR 2010 “花鳥風月”』。その名の通り、レミオロメンの新作アルバム『花鳥風月』の全国お披露目ツアーであると同時に、今年で結成10周年を迎える彼らが、全国各地のファンへ直接「ありがとう」を伝える一大感謝祭ツアーでもある。藤巻の風邪による喉の不調で5月21日に予定されていた八王子市民会館公演が9月1日に延期される、というアクシデントもあったが、序盤からがんがんアゲまくっていく藤巻の歌声にも、「すごい長いツアーの10本目! そして(C.C.Lemonホール)2デイズの2日目! 今日も熱いね! こっちまでホットな気分に……『ホットな』ってあんまり言わないか。あの、ムラムラと……(笑)」という藤巻の軽やかなMCにも、オーディエンスのさらなる熱気を誘う膨大なエネルギーが宿っている。

前田啓介(B・Cho)「ツアーを通して、日に日に成長してる気が……治さんのMCとか(笑)」
神宮司治(Dr・Cho)「……昨日は家帰って、ライブ後とは思えないくらい、夜通しゲームをやって過ごして。で、今日はライブ前にうどん食べたんで、今はお腹いっぱいで……」
藤巻「あの、そういう話はTwitterでやってもらえます?(笑)」

なんていう3人のいたって天然で和気藹々とした掛け合いも、その心地好い「ムラムラ」に拍車をかけていくし、そんな3人+サポート・プレイヤー:皆川真人(Key)&河口修二(G)の豊潤で力強いアンサンブルが、会場の歓喜をさらに高気圧の彼方まで飛ばしてくれるように鳴り響き、幾度もホールいっぱいの大合唱を生み出していく。

ポップ・ミュージックを背負い続ける者としてのハード・エッジな闘争宣言ソング“ロックンロール”。フルアコ・ギターの清冽なコード・ストロークと年越し蕎麦をめぐる風景描写でもって「僕らの日常」をじっくり抱き締めあっためていくバラード“大晦日の歌”。タイト&ハイパーなビートとともに、ミュージシャン/アーティストとしての自分たちの使命を《昨日より今日を 今日より明日を 輝かせるための命だ》と強く歌い上げる“花になる”……ツアーはあと50本以上残っているため、ライブのセットリストや演出に関してはここでは割愛させていただくが、『花鳥風月』の楽曲が随所でゆったりと、しかしダイナミックな流れを作っていくような曲順であることは間違いない。

非日常の狂騒の中ではなく、ともすればストーリーにすらならないようなひっそりとした日常の中にこそ、音楽であっためるべき「小さな幸せ」がある……音楽シーンのど真ん中で闘い続けた果てに「音楽で何ができるか」を極限まで突き詰めたレミオロメンだからこそ鳴らせる、シンプルで迷いのない楽曲の数々。それが今、結成10周年というタイミングで、僕らとレミオ自身をともに祝福するように雄大に響き渡っている。「今日はライブという大きな幸せをありがとうございます!」という藤巻の言葉に、今の彼らが到達した「悟り」にも似た静かな覚悟が滲んでいる――その一方で、前田の「神宮司は昔からコンビニの買い物の時に『2円』とか端数を借りに来てた。それが積もり積もって2億円くらい!」という話から「そんなせこい我々がCMに!」と7月28日発売のニュー・シングル曲“立つんだジョー”と自身出演のCMへ話をつなぐ藤巻の姿からは、今のレミオを取り巻く境遇を少年のようなイノセントな感度でもって謳歌している彼らのポジティブなモードも窺える。最高だ。

ツアーは12月6日(この日がちょうど結成10周年の記念日だ)・山梨県立県民文化ホール 大ホール公演まで続いていく。次のライブは6月4日・京都/京都会館 第一ホール!(高橋智樹)
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