グループ魂 @ 渋谷C.C.Lemonホール

グループ魂 @ 渋谷C.C.Lemonホール
グループ魂 @ 渋谷C.C.Lemonホール
グループ魂 @ 渋谷C.C.Lemonホール
グループ魂 @ 渋谷C.C.Lemonホール
グループ魂 @ 渋谷C.C.Lemonホール - pic by Toshikazu Ogurumapic by Toshikazu Oguruma
グループ魂結成15周年ライブ。というか、結成15周年なので今年はいろいろやります、というのの一発目のライブであり、その「いろいろ」とは何か、を発表するライブでもあった。ということが、観てわかりました。
なので、全体に、ここ1、2年、いやもっとかもしれないな、とにかく、長い間定番となっていた、「グループ魂のライブってこういう感じ」「こういう段取り」「こういうネタ」という、お約束のパッケージに収まらない演出や、構成や、展開が、いろいろあった。さらに、今年これからリリースすると思われる新曲も、3曲やった。

その分、不慣れなネタや不慣れな段取りが多くて、大変そうでした。大変さのあまり、フロントのメンバーたちがトークで盛り上げているのに、後ろでドラム石鹸が一生懸命次にやる新曲の脳内おさらいをしていて(エアドラムみたいにうつむいてスティックを動かしている)、「おいっ!」とつっこまれる一幕や、途中、新曲→旧曲を2曲はさんでまた新曲、というパートで、暴動が曲順を間違えた結果、新曲を2曲続けてやらなきゃいけないことになり、「どうしましょう?」と本気で困る一幕や、今日はいつにもまして「客席から登場」とか「客席に乱入」とか「客席をヒモパン一丁で全力疾走で駆け抜ける」などなどが多かった港カヲルが、お客さんに身体をばんばんはたかれまくって「触るなこの野郎! 俺はプロレスラーじゃねえぞ!!」とキレる一幕などなど、ほんとにもう、いろいろありました。
その分、予定調和じゃなくて、観ているこっちは大変に楽しかったですが、やってる方はとても大変そうでした。

その他、細かい演出など、全部書いていくとキリがないので、冒頭だけ書きますね。

予定時刻の18:30を5分過ぎた頃、客電が落ち、開演。ステージに下ろされていた幕、いや、緞帳といったほうがいいな、緞帳が上がる。

と、歌舞伎の襲名披露の形で、板付けで、客席に向けて土下座の形になっているメンバー一同。ただし港カヲルはいない。本来彼がいるべき位置で、港カヲルみたいなキンキラの衣裳とサングラスを身につけた、やけに体格の小さい人が土下座している。メンバー一同の上には、「グループ魂15周年記念 及び 二代目港カヲル襲名披露興行」と書かれた看板が。

司会:バイト君が挨拶。今日は15周年ライブであり、「先代の老朽化に伴い」二代目を継いだ、新しい港カヲルの襲名披露興行であることを告げる。続いて、メンバー1人ずつ挨拶。暴動→小園→石鹸→遅刻→破壊の順。冒頭になぜか村下孝蔵“初恋”の歌詞をひとしきり吟じた石鹸の言葉で、二代目港カヲルがムラタヨシヒトという名前であることと、8歳であることが明かされる。あと、破壊はなぜか終始ビートたけしの真似で押し通す。

再び司会:バイト君。今年は15周年なのでいろいろ活動すること、7月21日に阿部義晴をサウンド・プロデューサーに迎えてシングルをリリースすること、秋にもシングルを出して冬にはアルバムを出すこと、そして15周年を記念して全15本の全国ツアーを行うこと、その東京公演は初の日本武道館で行うことを、発表。
なお、「阿部義晴」や「武道館」といった肝心のワードは、二代目港カヲルに言わせるも、その度に声が高すぎて(子供なので)マイクへの乗りが悪かったり、声を発した瞬間に歓声にかき消されたりして、ちょっとぐだぐだになる。

で、その二代目が、「がんばります」とかなんとか挨拶したところで、暗転。2F席に初代港カヲルが現れ、ライトセーバーを振り回しつつ“都会の山賊”を熱唱しながら客席の端から端まで横断し、消えたと思ったら1F席に現れて、前述の通りお客にバシバシはたかれながらステージへ上がり、「俺はプロレスラーじゃねえぞ!」とキレ、いつもの「おっぱい元気?」で始まるコール&レスポンスを行う。で、バイト君がプラカードで、お客さんに言わせるフレーズを見せて、で、言わせて、録音する。今年出す作品に使うそうです。
その「客に言わせて録音、そのまま作品で使う」のは、18曲目でも行われました。

で、1曲目からいきなり新曲でスタートするが、もういいかげん長いので割愛します。
でも、あんまり割愛してもあれか。ちょっと書こう。

・前半、2曲目と3曲目の間くらいだったか、破壊と暴動が掛け合い→バイト君がボケてスリッパでひっぱたかれて、そのツッコミをハードコアパンクな曲にのせて10秒くらい歌う、というのをくり返す、いつもおなじみのあれ、ありました。

・で、13曲目で、サックス=遅番が登場し、演奏したあと、そのボケ→ハードコアパンク、の遅番バージョンがありました。これも、おなじみですね。

・カヲルさんの衣裳替えは全部で6回か7回くらい。6曲目の女子高生姿は、響・長友のミチコ(ってキャラになるコント)に通じるものがありました。

・8曲目では、石鹸こと三宅弘城が、吉本の渋谷公園通り劇場で、初期のグループ魂と、ピン芸人として共演していた(そうです。びっくり)頃のネタを披露。ステージの上も下も失笑に包まれたが、私、素直に「おもしろいじゃん」と思ってしまいました。

・アンコールの18曲目で、さっき書いた、コーラス部分をお客に歌わせて録音する、というのをやる。何度か歌わせてみるが、お客さんの「ちゃんと歌える」っぷりにメンバーびっくり。暴動、思わずバイト君&カヲルさんに「きみたちとはえらい違い」と言い放つ。

・昨日私のブログにも書きましたが、二度目のアンコールで、自転車に乗って中村屋華右左門(に扮した破壊)、登場。そう、「大江戸コールアンドレスポンス」です。「このそばにNHKあるでしょ? 私は最近初台に引っ越して、近いもんで通りかかったんです」という設定で始まったんだけど、ちょっとこれがもう、それまでのドタバタをマイナスだとしたら(って、個人的にはおもしろかったからマイナスには感じてないんだけど、暴動的には気にしてると思う)、それをひっくり返してあまりあるくらい、プラスだった。このネタ、何度も観てるけど、その中でも屈指の出来。
私、すんげえ笑った時、よく「血を吐くほど笑った」って書きますが、それを超えて、両手の平の握力がゼロになるほど笑いました。
って、ご存知ない方からすると、「どんなパフォーマンスなのか書けよ」って話だけど、文字で説明不可能です、これ。グループ魂のCDを聴くか、もしくは、ご本人曰く「グループだましいさんのYoutubeで、一番視聴回数が多いのが、『大江戸コールアンドレスポンス・結婚式スピーチ編』なんだよ? 700,000回だよ? だから、一番人気あるの、あたしなんだよ!」だそうですので、観てみてください。

とにかく。1曲目の新曲が、「新・グループ魂のテーマ」みたいな歌詞で、その中に「台本があるロック・バンド」とか、「ロック・バンドなのに段取りがある」というくだりがあって、笑ってしまった。
そうなのだ。グループ魂は、構造としてはバンドではなく、演出家である宮藤官九郎作・演出の芝居と同じであって、メンバーはそこに出ている役者であり音楽担当者である、というのは知られているが、ゆえに、しばらくの間、同じ方向性の台本や演出でやっていると、完成度が上がるのと比例して、舞台でやることが固まって、予定調和になっていく。現に、僕は破壊に「グループ魂、完成しちゃいましたよね。このあとどうするんですか?」「そう、確かにそうなんですよねえ」みたいなインタビューをしたことがあるんだけど、それももう、3、4年くらい前の話だ。
だけど、15周年を機に、それを壊して新しいことを始めようとしている、次のグループ魂になろうとしている、そんな手応えを感じるライブでした。だから、まだ完成していなかったんだ、とも思います。

今年のこれからの活動、楽しみにしています。いますが、この人たちがやっているすべての仕事の中で、最も「手間がかかるわりに金にならない」のが、これであることは明らかであって、そのことを思うと、少しだけ複雑な気持ちになるというか、「俺スタッフじゃなくてよかった」と思ったりもします。(兵庫慎司)


セットリスト
1 新曲
2 アイサツはハイセツよりタイセツ
3 半日消防署長
4 スシ喰うな!
5 SHIKAN
6 High School
7 TAXI乗りたて
8 筋肉PUNX~三宅弘城40歳記念ソング~
9 くん兄さん VS アン姉さん
10 君にジュースを買ってあげる❤
11 新曲
12 ラブラブエッサイム'82(新曲/7月21日リリースのシングル)
13 欧陽菲菲
14 ともかず~バイト君40歳記念ソング~
15 ペニスJAPAN
16 チャーのフェンダー
17 グループ魂のテーマ

アンコール1
18 新曲
19 Over 30 Do The 魂
20 沖縄行きたい

アンコール2
(大江戸コールアンドレスポンスをはさんで)
21 TMC
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