snap @ 下北沢THREE

JACKMAN RECORDSから4月7日にリリースしたミニアルバム『TOKYO SOUND』のレコ発イベント。snapとは何か、『TOKYO SOUND』とはどんな作品か、については、ぜひJACKMAN RECORDSのページをご覧ください。
ゲスト・バンドは、同じくJACKMAN RECORDSから『TOKYO SOUND』の1ヶ月前にミニ・アルバム『パラダイム』をリリースしたオーイェーズ、住所不定無職、pamlemousse、の3バンド。

オーイェーズ、すべてを解き放っていくメロディとハーモニーっぷり、相変わらずすばらしかった。あと、これまでの「白ワイシャツとネクタイ」という、THE WHO→KNACK→アナログフィッシュ健太郎、というラインに連なる衣裳だったんだけど、今回それぞれ色の違うカラーシャツになっていて、カルメン(vo&g)のヘアスタイルも変わって、心なしか体型もスリムになっていて、つまりちょっとイメチェンしていて、それが大正解でした。ぐっとあかぬけました。今後もこのままがよいと思います。

で、女の子(だけじゃないが)ガレージバンド、住所不定無職のやりたい放題のステージと、和製フェアグランド・アトラクションといった風情のpamlemousseのあと、snapのステージに。
ちょっと驚くくらい、圧倒的だった。いや、正しくいうと、その前のpamlemousseの最後の曲で、ボーカル&ギターの佐古勇気がステージに上がって一緒に歌ったんだけど、その段階で既に「うわ、こいつ圧倒的」ということがバレた、そういう感じだった。
佐古、歌、つええ。声のでかさ、声の張り、音程の確かさ、歌詞がはっきり耳にとびこんでくる発音のクリアさ、「あー」って声を伸ばした時のビブラート。すべてがもう強靭。否応なしにこっちの耳を持っていく。

これ、歌う人の歌だ、と思った。なんていうんでしょう。こういうことを書くといろいろ差し障りがあるけど、「歌う人じゃないのに歌っている」っていうの、ありません? 歌いたい、だから歌っていい、というものではない。歌いたい人と、歌うべき人・歌わなくちゃいけない人、というのは、違うのです。技術の問題じゃなくて。下手でも歌うべき人はいるし、うまいけど「それ、趣味で歌ってればいいんじゃない?」と言いたくなる人もいる。歌いたいのはわかるけど、歌いたいからって歌われちゃ困る、というか。
何を書いているんだかわからなくなってきたが、つまり佐古の歌は、明らかに歌わなくちゃいけない人のそれだ、ということです。あ、上手くもあります、この人の場合。
ちなみに、オーイェーズのカルメンの場合は、「歌わないとしょうがない人」という感じがする。

あと、この佐古くん、メロディやコード進行や言葉選びのセンス、明らかにマーシー・チルドレン(真島昌利ね)なんだけど、聴けば影響がわかるにもかかわらず、ちゃんと違うものになっているのも、とてもいい。たぶん、この声のおかげだと思う。
そういえば、日本マドンナのギター:まりなも、ギターを弾く形、モロにマーシーの影響受けてるけど、「あっちゃあ、マネだあ」で終わっていなくて、しっかり自分のものになっていて、観ていると「キャー!」って叫びたくなるほどかっこいい。マーシーって「フォロワーをフォロワーで終わらせない何か」を持っているのかも。なんだそれは。

というわけで、そんな佐古のボーカルにしばらくは耳を奪われていたが、よく聴くと、よけいなことは一切やらないしたぶんできない、しかし確実に歌を支え、歌を立たせる泉太郎(b)と佐藤拓明(ds)のリズム隊も、いい仕事をしていることに気づく。
唯一残念なのは、以前は調子っぱずれな音を出すことでクラッシャーの機能をはたしていた、このバンドに入るためにバイオリンを始めた男=宗村ほくとが、まともに弾けるようになり、サウンド面で重要な役割を担うようになってしまったこと。
「なってしまった」って、いいんじゃん、じゃあ。いや、いいんですが。

という、終始大充実のライブでした。この強い強い歌は、これからもっともっと遠く広くまで、届いていくと思う。JACKMAN RECORDSのページで試聴できるので、ぜひ聴いてみてください。

あ、あともうひとつ。snap、CDと別に、物販でレトルトカレーを売っていました。宗村くんが、連休返上で作ったそうです。「カレーのうた」って曲があるので(今日もやってた)、それにかけているんだと思うが、そしてMCで宣伝したおかげで見事に完売していましたが、保健所とか衛生とか、そういうのの許可、大丈夫なんだろうか。と、ちょっと心配になりました。(兵庫慎司)
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