凛として時雨 @ さいたまスーパーアリーナ

凛として時雨 @ さいたまスーパーアリーナ
凛として時雨 @ さいたまスーパーアリーナ
凛として時雨 @ さいたまスーパーアリーナ
凛として時雨 @ さいたまスーパーアリーナ - pics by Yuki Kawamotopics by Yuki Kawamoto
ハコのサイズを上げても上げてもそのたびに瞬殺でソールドアウト、という状態が続いていたとはいえ、いきなり!? ZEPPの次が!? と、最初に知った時はびっくりした、凛として時雨のさいたまスーパーアリーナのワンマン。
が、いわゆるそういう、バンド業界のセオリーや常識に沿ったワンマンではないことが、入場した瞬間に、半分わかった。で、恒例の、ピエール中野による、下ネタや事件ネタや悪口がふんだんに盛り込まれた、スペースシャワーとかでのトークだったらまるごとカットされるであろう陰アナ(開演前の注意事項とかを言うやつね)でひとしきり笑ったあと(特に個人的にツボだったのは、「今日のこのライブは、LIVとJ-WALKのガチンコ2マンライブの振替公演です」というネタと、最後に「それでは開演まで、少々お待ちを~」と、もう中学生の真似で言ったところでした)、18:15に客電が落ち、3人がステージに現れ、プレイがスタートしてから、あとの半分がわかった。

この会場で、アリーナ部分がスタンディング。というのは、メタル・フェス『LOUD PARK』や東京スカパラダイスオーケストラで経験ずみだけど、ステージ上を映し出す画面がない、というのは、僕は初めてでした。待てよ、スカパラの時もなかったっけ。いや、あったよな。誰にきいてるのか。あと、僕はこの会場で何度か、総合格闘技とかK-1とかも観たことあるけど、そういうのも含めて「画面なし」っていうのは初めてです。
でも、画面がなくても、そんなに困らない。なんでかというと、普段から、ステージの上は暗くて、照明もほぼずっと逆光で、つまり「3人があんまりよく見えない」ライブをやる人たちだから。
で、画面がないわけだからVJもなし。ステージセットらしきものもなし。照明の豪華さと、レーザーの量と、それらの音とのリンクのさせかたはアリーナ規模だったけど、あと、でっかいミラーボールが2個天井に設置されていたけど(でもあんまり使われてなかった気が)、それ以外はすべて、これまでZEPPやSHIBUYA-AXでやってきたライブを、ただそのまんま、さいたまスーパーアリーナに持ってきたライブだったのだ。

って書くと、「ああ、いつもどおりだったってことね」って思われるだろうが、あのでっかいたまアリの中にZEPPがある光景なわけで、かなり異様でした。ちょっとショックですらあった。こんなハコで、こんなことやる人たち、いない。
で、さらにショックだったのが、その、いわば「照明とか以外は大会場仕様にすることを放棄したライブ」が、とんでもなくよかったことだ。3人の姿はほとんどシルエットしか見えない、映像もない、VJもない、その上音がとんでもなくでかいので、細かいプレイのディティールは把握できなかったりする(そう、僕がここで観たすべてのライブの中で一番音がでかかった)。そんな、2時間弱・全18曲にわたり、ただただ爆音を浴び続けるしかないライブが、すさまじく気持ちがよかったし、すさまじく深かったし、すさまじく生々しかった。
メロディのせいか、あの悲鳴のようなTKと345の声のせいか、凛として時雨の爆音って、とても繊細で、アンビエントな感じがする。本当に、UKにもアメリカにもない音だと思う。もちろん、日本にも、他にはどこにもない。
とか観ながら考えていて、初めてこのバンドのライブを観た時に受けた時のショックも、こんな感じだったのを思い出した。つまり、そんなワン&オンリーなバンドとして登場した凛として時雨の、今のフォーマットでの最高のライブだった、ということなんだと思う。


セットリストはこうでした。

1.鮮やかな殺人
2.Sadistic Summer
3.ハカイヨノユメ
4.DISCO FLIGHT
5.I was music(新曲)
6.Tremolo+A
7.想像のSecurity
8.CRAZY 感情 STYLE
9.テレキャスターの真実
10.ラストダンスレボリューション
11.a 7 days wonder
12.moment A rhythm
── P’s CORNER ~LONG DRUM MC SOLO~ ──
13.JPOP Xfile
14.Telecastic fake show
15.nakano kill you
16.感覚UFO
17.夕景の記憶
── 345 MC ──
18.傍観


「P’s CORNER」というのは、おなじみピエール中野のドラムソロ→MC→またドラムソロのコーナー。おなじみ「SAY VIBES!」のコール&レスポンスや、「SAY タマスジ!」のコール&レスポンスや、そしてその「タマスジ」コールについて「Yahoo知恵袋」で相談しているファンがいたという話や、地元なので今日は両親が来ているということや、こないだ駅で同級生のお父さんとばったり会って飲みに行った話や、俺がドラムをこう叩いたら「ランランルー!」ってコールしろ、などなど、もう、その時頭に浮かんだことが口からだだもれになっているみたいな、爆笑&失笑ネタを多数披露してくださいました。
そのあとの345のMCは、グッズの宣伝でした。実物を持ってきて見せればいいのに、それはせず、どういうものなのかを懸命に口で説明するさまには、ほほえましいものがありました。

なお、このあとは作品の制作活動に集中するそうで、ライブはしばらくないと思われます。で、さっき書いたみたいに、ちょっと「これで完成」みたいなニュアンスを感じたライブだったので、次の作品で、音楽性や方法論が、結構変わりそうな気もします。新曲に、それをちょっと感じたりした。
という意味でも、いいもの観せてもらいました。次のアクションも楽しみ。(兵庫慎司)
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