神聖かまってちゃん @ 渋谷屋根裏

神聖かまってちゃん @ 渋谷屋根裏 - pic by RYOTA MORIpic by RYOTA MORI
神聖かまってちゃん @ 渋谷屋根裏 - pic by RYOTA MORIpic by RYOTA MORI
神聖かまってちゃん @ 渋谷屋根裏 - pic by RYOTA MORIpic by RYOTA MORI
神聖かまってちゃん @ 渋谷屋根裏 - pic by RYOTA MORIpic by RYOTA MORI
アルバム『友だちを殺してまで。』のレコ発ライブ、渋谷屋根裏。チケットはソールドアウト、プラス我々のような関係者や取材陣などが殺到したため、何度もスタッフが「すみません、もう一歩前にお詰めくださーい」とアナウンスしてもしてもなお混み続けるくらいの、朝8時代のイスがひっこんでる時間帯の山手線のような超満員。申し訳ございません、ちゃんとチケットを買ったみなさん。
オープニング・アクトは撃鉄、ゲストは、田渕ひさ子がツインボーカル&ツインギターの片翼を務めるtoddle。その2アクトが終わり、かまってちゃんがステージに立ったのは21:10頃。そこから1時間10分くらいのライブでした。
以下、今日のライブの、いつもと違ったポイント。

・バンド、登場するなり超満員のフロアに熱狂的に迎えられる。そのホームな空気と、「ステージから見るフロアがギュウギュウな光景」に明らかに慣れていないようで、各メンバー、ちょっとうわずった表情。「こんなの初めて」みたいなことをつぶやくメンバーもいた。1曲やり終わったあたりだったっけ、「ありがとうございます。でも、今、鬱の時期なんで、実は全然テンション上がってないんですけど」みたいなことを言ってその空気に水を差すの子(vo&g)も、そう言いながら顔はうれしそう。

・いつものライブだと、の子(vo&g)と、ウイスキーをストレートでラッパ飲みしながらキーボードを弾くmono(key)が中心の、ののしり合いのような、じゃれ合いのような、遊びのような、時折マジな憎悪がのぞくような、そんなぐだぐだなかけ合いMCが延々と続くのですが、そしてそれにみさこ(ds)がわりこんだりするのですが、今日はの子があまりしゃべらず、さくさくとライブが進みました。後半、ちばぎん(b)が、「……あんまりMCなくて、曲をいっぱいやると、ライブが長いねえ」と口にするほど。みさこも「そうだよね、いつも気がついたら1時間ぐらい経ってるもんね」と同意。

・なお、ちばぎんによると、前回ここ渋谷屋根裏でやったのは1年前で、トリで、持ち時間30分だったのに1時間やって、しかも4曲だけだったそうです。しかもその4曲も、同じ曲を2回ずつやったそうです。という例などに比べれば、今日のこのライブは、かまってちゃん的には、すごく特異なものと言えましょう。他のバンドからしたら普通なんだけど。
そういえばmonoも、後半、「ああっ、もう何曲やったのかわかんねえ!」と叫んでいました。いつも4曲とか5曲なので、それを超えるとカウントできなくなるようです。

・ただ、そんなふうにぐだぐだに、行き当たりばったりに進むのが、本来のかまってちゃんのライブである。ということを、象徴する瞬間がありました。本編終了の時です。「後半戦です」とか「次で最後です」とか、そういうことを言わないバンドなもんだから、曲が終わってメンバーがステージを下りようとするまで、それが最後の曲だとお客さんは誰も思っておらず(始まって1時間経っていなかったし)、去ろうとする4人に向かって「ええーっ! ?」というマジのブーイングが飛ぶ。だもんで、あわてて1曲追加して、本編終了。
アンコールがかかる。すぐにメンバー登場して、アンコールをやる。4人ともうれしそう。特にうれしそうなの子、アンコールを終えて、フロアをあおって「うぉーっ!!」って言わせて、『笑っていいとも!』式の3本ジメをしようとするも、発音とかタイミングとかが異常にわかりづらく、何をやろうとしているのかがフロアに伝わらなくて、手拍子が全然揃わず、3回もやり直していました。この人の、この人らしさを目の当たりにした思いでした。

・の子、アンコールなどで、何度もダイブ&クラウドサーフに挑んでいましたが、お客さんがみんな「ケガさせないようにしなきゃ、この華奢な人を」みたいに、彼の身体を高めに掲げるよう気を配っている感じで、愛されているなあと思いました。なお、二度目のアンコールの最後、の子に強いられてダイブしたmonoは、あっさり床に落ちていました。重かったんだと思います。


で。ライブそのものは、もうとにかく、すばらしかった。どしゃどしゃと曲の背骨を形作っていく、ちばぎん&みさこのリズム隊。徳永英明のカバー・アルバムでもそこまでしねえぞ、って言いたくなるくらい、ひたすらドラマチックかつロマンチックに響くmonoのキーボード(MCによると、「キーボードマガジンの取材で、CDでは僕は弾いてません、全部の子がやってます、って正直に言ったぞ!」だそうですが)。チューニング狂いっぱなし&音が歪みすぎで終始ノイズまきちらし状態の、の子のギター。やたらとボイスチェンジャーを多用する、同じくの子のボーカル。1曲に1ヶ所くらいしかメロディがなくて、他の部分は朗読のようなつぶやきのような呪詛のような状態が延々続く、だから逆にサビで爆発する構成になっている楽曲が、それらをまといながら、そして時にダッシュしたり、時にけつまずいたり、時に立ち止まりそうになったりしながら、進んでいくパフォーマンス。
それは、ただ「いい曲を聴かせる」のではないし、もちろん「いい演奏を聴かせる」ものではない。でも「ただただジャンクなものをぶちまける」だけでもない。だから、気持ちがいいわけじゃないし、安心して身をまかせられることもない。つまり、こっちはライブの間中、気持ちをどこに置いていいんだかわからなくなる上に、プラス、ちょっとなんか、見てはいけないものを見ているような、人体実験とか事故現場とかを目の当たりにしているような、居心地の悪さが常にある。でも、というか、だから、強烈にひきつけられてしまう。で、終わると「いやあ最高だった!」とか「よかったあ!!」みたいな後味ではないのに、すぐにまた観たくなる。

というのが、神聖かまってちゃんというバンドの「いい時の」ライブだが、「ちゃんと構成しよう」とか「パッケージとして完成したものを見せよう」という意志が、あまりにもない人たちなので、ちょっとした拍子で「ただぐだぐだのライブ」とか「ただ淡々としたライブ」とかになってしまうことがあるのだが、この夜は何か、奇跡的にすべてがうまくいっていた。単に、MCでしゃべりすぎなかったのがよかったのでは、という気もするけど。

あと、観ていて、このバンドについて、の子という人について、いろいろ考えたし、考えた分いろいろ何かを書きたくなるライブでした。でも、もうずいぶん長いライブレポになったので、このへんでやめときます。また改めて、このサイトのどこかに書きます。(兵庫慎司)

1.ゆーれいみマン
2.死にたい季節
3.ロックンロールは鳴り止まないっ
4.自分らしく
5.ちりとり
6.夕方のピアノ
7.いかれたneet
8.怒鳴るゆめ
9.学校にいきたくない

アンコール1
10.23才の夏休み

アンコール2.
11.あるてぃめっとレイザー
公式SNSアカウントをフォローする

最新ブログ

フォローする