オーイェーズ @ 秋葉原CLUB GOODMAN

オーイェーズ @ 秋葉原CLUB GOODMAN
オーイェーズ @ 秋葉原CLUB GOODMAN
オーイェーズ @ 秋葉原CLUB GOODMAN
2008年暮れの「COUNTDOWN JACK」で優勝バンドに選ばれ、COUNTDOWN JAPAN08/09幕張に出演した、そしてわが「JACKMAN RECORDS」よりミニ・アルバム『パラダイム』をリリースしたオーイェーズ。このライブは、そのリリース・イベントで、『オーイェーズpresents “パラダイム発売記念イベント~僕たち夢も希望もクソもあります~”』という長いタイトルがついています。
『パラダイム』の帯についている、「夢も希望もクソもない現実を生きている3人による、夢と希望とロマンに満ちたメロディとハーモニー」というコピーに対して、こういうタイトルをつけたということですね。って、そのコピーつけたの私ですが。我ながらいいコピーだと思うんですが、このバンドの感じがよく表れていて。

ゲストで、ビイドロ、e-sound speaker、the HANGOVERSが出演。いずれもライブハウス・シーンでは、全国区に名の知られたバンドばかりで「うわ、豪華」とちょっとびっくり。いずれも、メンバー誰かの友達だったり知り合いだったりするそうです。
MCでカルメン(vo&g)、「最初にゲストでオファーして、断られると別のバンドにオファーして、だんだんランクが下がっていくんですけど、今回は最初にオファーしたバンド全部が一発でOKくれました!」という、明らかに言わなくていいことを口走っておられました。今日はいいけど、次からどうすんのよ。

ただし。1バンドごとに、オーイェーズのメンバーが紹介MCを入れながらイベントが進んだんだけど、ビイドロ、e-sound speaker、the HANGOVERSの順で、ゲスト・タイムが終わった時には、私、正直言って「あっちゃあ」という気持ちになっていた。
よくなかったわけではない。よすぎたのだ、どのバンドも。これ、メインのオーイェーズ、かすまない? 特にやばかったのがthe HANGOVERS。曲いい、演奏うまい、パワーある、もうどこをとっても「うっわあ、いいバンドだなあやっぱり」ってライブだったんだけど、さらにですね。基本的な音楽性や曲調が、オーイェーズと似ているのです。いや、どっちかがどっちかに似ているって話じゃないか。友達同士だし、元々the HANGOVERSの某メンバーは昔オーイェーズにいたことがあったりして、つまりたとえるなら、WEEZERとTHE RENTALSが似ているようなものだと思います。
ただし、悪いけど、演奏力は明らかにthe HANGOVERSのほうが上。あと、さらに悪いけど、歌ってギターを弾く担当の人の、ルックスもそうです。うわあ。やばい。客に比べられるなあこれ。大丈夫かなあ。そう思ってしまったのでした。

しかし。結論からいうと、大丈夫だった。というか、すんげえいいライブだった。予想通り、演奏はthe HANGOVERSよりも粗かったし、アンサンブルの乱れとかもあったけど、爆音っぷりと、勢いと、楽しさと、全能感で、もうすべてを押し倒していくようなステージだったのだ。音が、声が、もうとにかくいきいきとしている。スピーカーから生命力が放たれている感じ。
にしても、この人たちの歌って、基本的にポジティヴだし、明るいし、勢いあるのに、聴いているとすごく切ない気持ちになってしまう。っていうとこが武器であるし不思議なところでもあるんだけど、その理由が、ちょっとわかった気がした。
歌の中に、「ネガティヴ」や「バッド」や「ダウン」な要素が、ないからだ。いや、むなしい思いを歌ったり、悲しい失恋をモチーフにした曲とかもあるんだけど、その上で、でも、音楽といういわば「自分を救ってくれる魔法」に対する信頼がゆらぐ瞬間が、まったくないのだ。10代とかならわかるけど、いい年した、そして必ずしも恵まれた状況にいない、でも長いことやっている、そんな社会人おっさんバンドなのに。
その、無防備なまでの妄信ぶりと純粋さが、メロディとハーモニーにこめられているから、こっちはつい涙腺がゆるんでしまうんだと思う。

何をやっても意味がない、と無力感にうちのめされながら、でも俺は「フューチャーマン」だと言い切る “フューチャーマン”という代表曲に、その感じがとてもよく表れている。彼らはこの曲で『COUNTDOWN JACK』で優勝を勝ちとったんだけど、何度聴いてもこれ、ほんっとにいい曲だよなあ。と、生で聴きながら、改めて思った。
当サイト、「JACKMAN RECORDS」内のオーイェーズのページで試聴できます( ここ →http://jack.ro69.jp/contents/records/artist/ohyeahs.html )。まだ触れていない方、ぜひ聴いてみてください。(兵庫慎司)
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