ライブレポート

2010.02.05 GLORY HILL@赤坂BLITZ

「おっはぁー!」

唐突かつ微妙にオールド・ファッションドな上、皆様のRO69閲覧時刻を完全に無視した挨拶の理由については後ほど。さておきGLORY HILL、昨年9月にリリースしたアルバムを引っ提げての『Signs TOUR 2009-2010』。全国35箇所+ファイナル・シリーズ東名阪3公演の千秋楽である。長い。何よりも先に言いたいことは、半年ほど前の初のワンマン・ツアーのときとは、ほとんど別物のような素晴らしいライブ・アクトになっていたということだ。ソング・ライティングの才能やメンバー個々の演奏スキルの高さは元々だとしても、バンドとしてのアンサンブルの頑強さが、飛躍的に向上している。COUNTDOWN JAPAN 09/10で観たときも「あれっ?」と思ったが、今回のステージではっきりとそれが分かった。長期ツアーの収穫は、殊の外大きい。

まずは、ファイナル・シリーズでサポート・アクトを務めてきたNorthern19が今回のステージにも登場。笠原(G.&Vo.)と井村(B.&Vo.)が代わる代わるリード・ボーカルを聴かせつつ、3ピースのエネルギッシュなメロディック・パンクでフロアを温めてゆく。オーディエンスの反応は上々で、フロアからは「楽しいー!もう疲れちゃったよー」などといった声もあがる。笠原が「今日は新曲を持ってきました!」と告げて、3/10に発売予定のニュー・アルバム『SMILE』からの楽曲“TRUTH”なども披露してくれた。サポート・アクトと言いながらも約1時間、たっぷりと楽しめたステージであった。

そしていよいよグロヒルが登場。開演と同時に伸びやかなメロディとハーモニーが走り出し、Ko-01(B.&Cho.)は縦横無尽にステージ上を動き回ってはオーディエンスを煽り立てる。序盤はアルバム『Signs』の曲順をそのままに放っていった。逆に言えば、ライブのセット・リストを意識したアルバムになっていたということだ。驚きは少ないが、その代わりにオーディエンスが「飛び込み易い」仕掛けになっている。“Funny boys School”では早くも《ウォーオオーオー》と大きなシンガロングが広がっていった。

ここで「来ましたよー、ツアー・ファイナル。殺すつもりでかかって来いよ!いけるかトーキョー!」とTAKUYAが火に油を注ぐ。前半はまさにアッパーなナンバーの固め撃ちで、後半になってミディアム・テンポの美曲を絡めてゆくという流れも良かった。閃光のような早弾きフレーズと大振りのダイナミックなリフを使い分けるJUNYAのギター、自由闊達にしなやかにドライブしてゆくKo-01のベース、そしてアンサンブルを支えるというよりも突き飛ばして押し進めるようなKENSAKUのドラム。それらが最高のバランスで見せつけられてゆく。ステージに立ってバン、と音を出すだけで3割増しでカッコ良く見える(失礼)、ロック・スターの特性のようなものまで備えてしまっている印象だ。「今日は集大成ですよ。でもおれらは一本一本をファイナルのつもりでやってきたから、今日はツアーの中で積み上げてきたものを見せるだけです」とKo-01。いや、だからこそ、これだけの素晴らしいステージになっているのではないだろうか。

TAKUYAがリハーサル前に、会場近くで(赤坂ACTシアターでのミュージカルに出演中の)香取慎吾がやってくるのを見かけたと言う。「おっはー、って」。微妙な空気が場内に立ち込める。「おれ、ここから盛り上げる自信がありません!」と嘆くのはKo-01である。「でもみんな今日帰ったらさ、ミクシィとかの書き込みは、おっはー、でいこうぜ! おっはー!」。涙が出るくらいイイ奴だ。バンド愛とはかくあるべし。俺もこのライブレポートでノらせて頂きました。求められるのは「ノリにいく勇気」だ。何事も。終盤はドラマティックに展開する“I Believe”やシンガロングを求めた“イノセント”などを経て、「辿り着きたいゴールの前に壁が立ちはだかったとき、人は目を背けてしまうけど、俺たちGLORY HILLは何度も4人で、壁をぶち壊してきました。みんなも、ゆっくりでいいから、夢に向かって歩いていってください」というTAKUYAのメッセージとともに、『Signs』のクライマックスでもある名曲“DAYS”が届けられたのだった。

アンコールに応じて再びステージ上に姿を見せたグロヒル。Ko-01はタオルなどをプレゼントとしてフロアに投げ込んだあと、演奏を再開する前にこう告げた。「ツアー初日の千葉LOOKで、盗難があったんです。でもおれは、盗難とか痴漢とか怪我とか、みんなで助け合えば防げると思うんだ。おれらも助けてもらってるし。嫌なこととかさあ、全部GLORY HILLにぶつけて帰ってくれ、よろしくー!」。ツアーの初っ端にそんなロクでもない形で水を差されながら、グロヒルはまた一回り成長してきたのだ。ダブルアンコールでのNorthern19/笠原がギターで加わった“Go for Break!!”が最後にプレイされ終えると、時刻は22時を回っていた。成長したアンサンブルが、笑いとバンド愛が、真っ直ぐなメッセージが、そして何よりも熱狂があった。真に見事なツアー・ファイナルであった。(小池宏和)


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