ライブレポート

2010.01.12 マイケル・シェンカー・グループ @ 中野サンプラザ

ライブレポートの前に、マイケル・シェンカー・グループとはなんぞや、ということをちゃんと説明した方がよさそうなので(昨日の私のブログ参照)、まず最初にそれを書いておきます。
ウィキとか見ずに、己の記憶と認識を頼りにトライしてみますね。

マイケル・シェンカー・グループとは、ドイツ人ギタリスト、マイケル・シェンカー(ドイツ読みではミヒャエル・シェンカー)が率いるロック・バンド。
1970年代、兄のルドルフ・シェンカーが在籍していたドイツのヘヴィ・メタル・バンド(って当時はまだヘヴィ・メタルって言葉はなかった気がするが)、スコーピオンズに加入して世にその存在を知られるようになる。のちに、UFOへの加入→脱退を経て、ソロ・デビュー。そのソロ・デビュー・アルバムを作ったメンバーが礎になってマイケル・シェンカー・グループというバンドが誕生、1980年代に主にヨーロッパと日本で吹き荒れた(アメリカでもちょっと吹き荒れた)NWOBHMブーム(ニュー・ウェイブ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィ・メタル・ブーム)の牽引者的存在となる。
特に日本では、レインボーのリッチー・ブラックモア、ヴァン・ヘイレンのエディ・ヴァン・ヘイレン、ラウドネスの高崎晃と並ぶギターヒーローとして、カリスマ的な人気を誇る。が、性格がめちゃくちゃだったり、ドラッグにはまったりというようなことなども含めて、メンバーがどんどん替わったりしているうちに、90年代、メタルというジャンル自体がグランジ/オルタナティヴに息の根を止められ、シーンの第一線から退く。
が、現在もヨーロッパや日本などの「あの頃」を知る熱いファンの前で、活動を続けている。
トレードマークはフライングVのギター。このギターを日本のメタル・キッズに根づかせたのは、この人と故ランディ・ローズ(オジー・オズボーン・バンド/クワイエット・ライオット)。

と、こんなところでしょうか。なお、MSG(という略称です)に限らず、この頃のメタル・バンドは本当にメンバーチェンジが激しいものですが、今回の来日のメンバーは、

ボーカル=ゲイリー・バーデン:オリジナルメンバー。のちに元レインボーのグラハム・ボネットにとって替わられる。
ベース=ニール・マーレイ:ホワイトスネイク、ゲイリー・ムーア・バンド、ブラック・サバスなどに在籍してきた、80年代メタルファンなら誰でも知ってる名ベーシスト。海外進出していた日本のバンド、VOWWOW(現BOWWOW)に在籍した時期もあり。
ドラム=サイモン・フィリップス:THE WHO、ミック・ジャガー、ホワイトスネイク、TOTOなどなど、70年代から現在まで活躍する超有名セッションドラマー。80年代には、スティーヴ・ガッド、村上ポンタ秀一と並んで、「最もドラムマガジンで特集される人物」だった。という認識です、私。
ギター&キーボード=ウェイン・フィンドレイ:すみません、私、この人だけ知りません。調べてみたら、1999年に加入して、3年後にはいなくなったけど、2006年に戻ってきた人のようです。

というラインナップ。つまり、80年代メタルキッズにとっては、「嘘ぉ!?」みたいな、いい意味で「こんなのMSGじゃない!」みたいなことになっているわけです。

どうする。行くしかないでしょう。MUSEの武道館と同じ日だけど。
というわけで、中野サンプラザへ。同じくサンプラへ詰めかけたのは、書くまでもないが、現在41歳の私がまったく浮かない客層。2F席から見下ろすと、スーツのジャケットを脱いでワイシャツ&ネクタイ姿になっているファンが、そこここに見受けられる。
要は、「洋楽の現役感ゼロ」な空間。ここに、「今日MUSEだったんだよな……」とか思っている人、たぶん俺以外誰もいないと思う。下手すると、「MUSE? 薬用石鹸?」って感じだと思います。

定刻より10分ほど遅れて、MSG登場。もう、火のついたように盛り上がる(そう、「アガる」というより「盛り上がる」感じです)客席。
で、セットリストは、こういう……はっきり言って「懐メロバンド」のセオリーに、極めて忠実なもの。翌日もここサンプラだし、あと渋谷C.C.レモンホールと大阪なんばHatchの公演もあるので、一応具体的には書かないでおきますが、もう、「あの頃」を再体験しに集まったファンたちが、やってほしい曲は全部やる、それ以外はやらない、という徹底した姿勢。少なくとも私に関しては、二度のアンコールが終わって客電がついた段階で「そういえばあの曲はやんなかったな」と思い当たるもの、ゼロでした。

こういう懐メロ中の懐メロみたいないにしえの洋楽の来日公演、いっぱいあるけど、一応現役のロック・ファンであり音楽業界関係者である身としては、それらの中でもっとも「行く自分を正当化しづらい」のが、このへんの80年代メタルものや産業ロックものである。
AC/DCストーンズやTHE WHOは、普通に現役ファンも行くものだし、THE POLICEは「まさかの再結成」という意味においてレジェント感がでかかったため、そのへんのうしろめたさをうやむやにできたし、こないだ高橋智樹が行ったアース・ウインド&ファイアーだと「でも音楽の歴史に残るすばらしいもの」みたいな位置づけが可能だし、ビルボードライブ東京に来るスティーリー・ダンとかクール&ザ・ギャングとかロディ・フレイムなら「来る方も行く方もわかってんだから外野はウダウダ言うな」と開き直ることができる。
というような「ごまかし」が効かないのです。悪い意味で「三つ子の魂百までも」な、イタい自分と向き合わざるをえなくなるのです。

で。本当にイタいのは、「というわけなので、懐かしかったけど居心地悪くてなんか気まずい2時間弱でした」ってことは、全然なかったという事実です。つまり、本当に、本気で、楽しかったのです、私は。
だって、やっぱり曲いいんだもん。で、マイケル・シェンカーのギタープレイ、おそろしく衰えていないんだもん。次から次へとくり出される代表曲。そしてあの「フライングVで足をはさむ」ポーズからくり出され、次から次へとびしびしキマる、あのリフ、あのギターソロ、あのインスト。
当時の80 年代メタルの再発CDを今聴くと「あちゃあ、なんでこんなの一生懸命聴いてたかなあ俺は」ってことがよくあるんだけど、MSGはそれにあてはまらない。そして、年とともにすっかり衰えて、「かつて自分の作ったリフなのに全然弾けない」という一時期のジミー・ペイジのような人もいらっしゃるが、マイケル・シェンカーはバリバリ現役なのだ。他のメンバーも。

でも、ボーカルのゲイリー・バーデン、歌、弱かったじゃん。という声もあるやもしれぬが、この人は全盛期からそうだったから、大丈夫です。「声域狭い」「声量ない」って、当時UKのプレスとかにさんざん叩かれて、挙句追い出された人だから。
ってことを考えると、むしろ、若い頃よりよくなっているとすら言えます。

基本的に懐メロバンドとはいえ、そのいわば「懐メロ規模」を、日本だけでなくヨーロッパ全土で展開している、つまりずっと活動を続けているので、衰えないんだなあ。と、聴きながら、つくづく思った。
特に、リフのキレ。マイケル・シェンカーって、「速弾き」とか「泣きのギター」とかいう以上に「とにかくかっこいいリフを作る人」という認識を僕個人はしていて、そこが好きだったんだけど、そのあたりをもうほんと、堪能できるライブでした。

なお、MSG、今年、30周年だそうです。ステージのバックのバンド・ロゴのところにも、それが謳われていました。

にしても。
このRO69のライブレポートのコーナー、半年前とか1年前に比べて、どんどん原稿が長くなる傾向にある。で、誰よりも僕がそうで、他のライターのみなさんがそれにつられているフシがあったので、年明けに「ちょっと意識して短く書くようにしましょう。まず私が率先してそうします」と宣言して、だからエレカシDIR EN GREYは、意識してタイトに書いた。
その努力が、こうして水泡に帰してしまいました。しかもMSGで。
ライターのみなさん、くれぐれも見習わないでください。(兵庫慎司)


BEAT CRUSADERS 散開を惜しんで大特集! 『RO69JACK 10/11』エントリー受付中! 『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2010』出演アーティストライブ・コメント映像配信中 『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2010』、全行程終了しました!フェスの模様を徹底レポート! RO69 mobile オープン!

ニュース
ディスクレビュー一覧
ライブレポート
ブログ
特集
RO69JACK
JACKMAN RECORDS

株式会社ロッキング・オン 契約社員募集

RO69の最新情報をTwitterでフォロー!

日本最大の冬の祭典 COUNTDOWN JAPAN 10/11

RO69JACK 10/11

JACKMAN RECORDS

8569 オンライン・Tシャツ ショップ


ロッキング・オンの出版物

ROCKIN'ON JAPAN10月増刊号『ROCK IN JAPAN FES. 2010』
ROCKIN'ON JAPAN
10月増刊号『ROCK IN JAPAN FES. 2010』

rockin'on 10月号
rockin'on
10月号

ROCKIN'ON JAPAN 10月号
ROCKIN'ON JAPAN
10月号

CUT 9月号
CUT
9月号

bridge 64号
bridge
64号

H105号
H
105号

SIGHT44号
SIGHT
44号

うぬぼれ刑事 公式本
うぬぼれ刑事 公式本

rockin'on BOOKS vol.4 THE ROLLING STONES
rockin'on BOOKS vol.4 THE ROLLING STONES

MY R&R 仲井戸麗市全詞集 1971-2010
MY R&R
仲井戸麗市全詞集 1971-2010