ライブレポート

2009.10.30 Perfume @横浜アリーナ

全国11ヵ所19公演の『Perfume Second Tour 2009 直角二等辺三角形TOUR』、追加公演横浜アリーナ2デイズの2日目、つまりファイナル。先にセットリスト書きます。

1 Take off
2 NIGHT FLIGHT
3 エレクトロ・ワールド
4 Dream Fighter
5 love the world
-MC-
6 Zero Gravity
7 マカロニ
8 SEVENTH HEAVEN
9 Kiss and Music
-Speed of Sound(インスト、3人ははける)-
10 edge(△-mix)
11 シークレットシークレット
12 コンピューターシティ
13 I still love U
-MC-
14 ワンルーム・ディスコ
15 セラミックガール
16 ジェニーはご機嫌ななめ
-「P.T.A」のコーナー-
17 チョコレイト・ディスコ
18 ポリリズム
19 Puppy love

アンコール
20 パーフェクトスター・パーフェクトスタイル
21 Perfume
22 願い(Album-mix)


以下、特記事項。

・ステージ上には3つボックスみたいなのが建っていて、3人がその上に立ったり、その前に立ったり、そのボックスがLEDになってそこにいろいろ映像が出たり、そこに映る3人の映像と、その上に立つ生の3人のダンスが完全にシンクロしていたり、という演出……今読み直してみたけど、全然伝わらないなこれ。10月15日の横浜アリーナの模様が12月にMUSIC-ON! TVで放映されるし、1月13日にはライブDVDも出るそうなので、ぜひ観てみてください。
とにかく、照明・映像・ステージセット・アリーナのY字型にのびた花道ステージ・レーザー光線・3人のダンスや表情やその時々の立ち位置まで含めて、演出のどれもがいちいち、「あっこうくる!?」「えっこう見せる!?」みたいな、刺激的なかっこよさに満ちていた。
さっき書いた「映像の3人と生の3人がシンクロ」というのは10曲目だったんだけど、とりあえず、私は初めて観ました、こんなの。「よく思いつくなあこんなアイディア」と唸ってしまった。

・16曲目と17曲目の間の“「P.T.A」のコーナー”というのは、コール&レスポンスとか振り付けとかをやるコーナー(「P.T.A」というのはPerfumeのファンクラブの名前。念のため)。

・衣装替えは2回。最初は白の衣裳で登場、9曲目と10曲目の間のインストのところでひっこみ、10曲目で黒を基調の衣裳で登場。あと、アンコールで出てくる時にもう1回替えていました。

・MCは3回。1回目は約30分にわたり延々と客いじり(「こんな人がいる!」っていうとカメラがその人のところまで行って画面に映し、その人にいろいろ話しかける、というコーナー)。その中の1人が前にもライブに来た女装の人(というかちゃんとオカマの人)で、Perfumeの3人、その人をやたらフィーチャー。終演後、外に出たら、その人を囲んで撮影会が行われていて、笑いました。
2回目は、のっちの「子供の頃、アゴはヒジだと思っていた」という相当わけのわからない話や、『ジョジョ』の話などが続き、かなりぐだぐだでした。
3回目は、セットリストには書かれていないけど、アンコールで登場して曲をやる前の時間。ツアー最終日ということで、客席をバックに記念撮影したり、これから出るこのツアーの写真集やDVDや、来年春に決まったファンクラブ・ツアーの告知をしたり、長いMCでした。最も長かったのは、3人それぞれが述べた、ファンとスタッフへの感謝の意。3人とも涙を見せました。そりゃ泣くよなあ、と素直に思いました。

というのも。
すばらしいプロレスや、すばらしい格闘技や、すばらしい演劇や、すばらしいお笑いライブを観に行った時に、「バンドのライブって何なの?」と思ってしまったことが、僕は何度かある。
命を賭した闘いで金をとる格闘技、細部まで練りに練られたストーリーと構成で客を別の世界へ連れていく演劇、「とにかく笑わせる」という目的に血が出るほど邁進するお笑い。それらに比べて、ただ出てきて演奏して歌うだけじゃん、バンドのライブって。何それ。趣味? 「人から金とって見せるもの」として、あまりにも脆弱じゃないか?
と思ってしまうことが、たまにあるのです。バンドを批判したいわけじゃなくて、自分は完全にバンド側の人間なので、なんかとても敗北感を覚えてしまうのです。
そういう敗北感を覚えなくてすむのは、マドンナとかサザンとかみたいに、ダンサーいっぱい出てきたり、いろいろ演出があったりするゴージャスなライブの時か、BRAHMANのように出てきて演奏するだけでバケモンレベルに圧倒的なライブか、RIP SLYMEのように「ライブ」というより「ショー」としてすばらしいライブか、その3つのどれかの時だけです。

で。要は、その究極のサンプルみたいなライブだったわけです、今のPerfumeは。
もう、圧倒的な敗北感。「うわ、これWIRE!?」って言いたくなる、すごい音のサウンドシステム。先にちょっと書いた、ステージセットや照明やレーザー光線や映像なんかの演出全般。3人のダンス。3人の、立ち位置やポーズや表情やアドリブのしゃべりまで含めた、パフォーマンス全般。もういちいちがすばらしい。
で、そのすばらしさが、何ゆえにすばらしくなっているのかというと、明らかに「客をなめてないから」であることが観ているとわかるところが、またさらにすばらしいと思う。
すごくあったかい、すごく熱い、Perfumeの音楽とPerfumeを心から愛しているファンがこんなに集まっているのに、その愛情に寄りかかったり甘えたりしていないのだ。その愛情に応えるためには、その期待のさらに上をいかなければならない、という決意と覚悟と実行力に満ちているのだ。
これ、3人もだけど、スタッフもみんなそういう意志なんだと思う。変な言い方だけど、ファンの期待に追いつかれた瞬間に終わる、と思っている感じなのだ。だったらどうするか、という高い志に貫かれたライブだった。客が敵だ、というのではなく、愛し、尊重しているからこそ、闘わなくてはならない、ということだ。

すごく楽しくて、すごくあたたかくて、感動や涙もあるような、とてもいい空気のライブだったにもかかわらず、ステージの上のPerfumeの3人を観ながら、僕は終始「うわあ、闘ってるなあ」と感じていた。僕は総合格闘技が好きなんだけど、なんか、その試合を観ているのに近い気持ちだった。これ、横浜アリーナという会場のせいかなあ、とその時は思ったんだけど、家に帰ってよく考えたら、そういう理由だったことがわかった。

Perfumeって、3人以外の人間がステージに立つことはない。昔はともかく、今だったら、曲によっていっぱいダンサーが出てくるとか、後ろにDJとかマニュピレーターがいるとか、あるいはバンドをつけてみるとか、そういうことをやってもおかしくないのに、かたくなにやらない。
だから、ロック・イン・ジャパンみたいなでかいフェスの時や、今日みたいな大会場で、万単位の人の前でパフォーマンスする時って、すごい画になる。
あの、「たった3人で世界と対峙している」「3人だけで世界と闘っている」感じ、いつも本当に、壮絶なものを感じる。でも、このまま行くとこまで行ってほしい、と思う。(兵庫慎司)


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