ライブレポート

2009.07.11 電気グルーヴ @ 恵比寿リキッドルーム

pic by Kazuhiro Kitaokapic by Kazuhiro Kitaoka電気グルーヴ 7月11日(土)恵比寿リキッドルーム

最初にお詫びしておきます。ムダに長いです。お許しください。

結成20周年記念アルバム『20』のリリースを8月19日に控えての、20周年記念ライブ。なんで出てからじゃなくて先にやるのか、なんで20周年なのにもっとでっかいハコじゃないのか、なんでツアーとかやらないのか、というのは、電気側が今日のライブを「まあ、そういうもの」と位置づけている、ということだと思います。

どういうものなのか。というとですね。
19:00きっかりにスタート。で、20時20分くらいに、石野卓球が「今何時くらい?」ときいて、お客さんが答えた時の、ピエール瀧のひとこと。

「うっそお!? もう20時20分なのお!?」

その次は21時頃、瀧のひとこと。

「まだあと半分くらいあるんだよね……」

で。22:49、アンコールが終わり、卓球&瀧&おなじみサポートのKAGAMIがステージを降りた時。普通、たとえ「もうやんないだろうな」と思っても、フロアの何割かは、もう一度アンコールを求めて手拍子とか始めるもんですが、リキッドルーム超満員のお客さん、本当に、まじで、誰ひとりとして、それをしませんでした。全員が一様に、心身ともに疲れはてた表情で、粛々と出口へと向かいました。
大笑いでした。と言いたいが、そう言う私からも疲れはてており、「あっはっは!」ではなく「んんふんんん……」と、声にならない笑いをもらすのみでした。

全部でほぼ3時間50分。そのうち、確実に1時間30分以上が、しゃべり。と、昨日のブログに書いたけど、もっとだったな。2時間近くだったかも。特にアンコール、『20』に入っている新曲1曲と“カメライフ”でしたが、その2曲をやる前に、卓球、30分ぐらいしゃべっていました。「もう曲いこう」って言って「あ……」ってまたしゃべりだす、というのを何度も何度もくり返し、挙句、瀧に「曲にいくんじゃねえのかよおおお!!」とキレられていました。

つまり、そういうライブだったわけです。ファンは「ああ、卓球、あのテンションだったのかあ」とご理解いただけると思うが、ファン以外からしたら、「何をそんなにしゃべることがあるの?」って話だろうな。
石野卓球という人は、なんか思いついてしゃべりだすと、そのしゃべってるうちにそこから連想される別のことを思いついて、それを口にするとまた別のネタを……と、毛細血管が枝分かれしていくように、ものすごい頭の回転数でもって、まるで消費者金融の金利のごとき、そして斜面を転がり落ちる雪玉のごとき歯止めが効かない勢いで、しゃべり続ける人なのです。特に、ビール飲みながらやってるとそうなります。ライブが進むのと比例して酒が回っていき、酒が回っていくのと同時にしゃべりが長くなっていく、という事態になるのです。

例えばですね。

今はやってないけど、昔タモリが『笑っていいとも!』で「友達の輪!」ってやってたでしょ。あれやりながら「いいとも!」って言う奴いなかった?台詞とポーズの組み合わせを間違えてるっていう。→そういえば明大前に『笑っていいとも!』って居酒屋があって、タモリが「友達の輪!」やってる絵が描いてあるんだよ。→こないだ『タモリ倶楽部』観てたら、そのすぐそばでロケしてんの!「あと少し行けばタモリがその店に気づくのに! あああっ」ってなったよ。

というような話が、延々と続くわけです。で、その合間に、瀧に対するむちゃぶりが唐突にはさみこまれたり、ゲストに対する度を過ぎたいじりが炸裂したりするので、さらに尺が長くなるわけです。
いや、もちろん面白いんだよ? もう腹筋が痛くなるほど笑いっぱなしだったし、かつての『電気グルーヴのオールナイトニッポン』や今の『メロン牧場』を生で観ているようなもんであって、贅沢この上ない時間なんだけど、どんなに面白い漫才でも、2時間立ちっ放しで観るとくたびれるでしょ? そういうことです。

どうよ。こんなに書いたのに、卓球のしゃべりのことだけで、音楽のこといっこも触ってないよ。
えー、セットリストは、頭からたて続けに数曲『20』の曲をやって、その後「過去の代表曲ブロック」「最近の曲、つまり『J-POP』『YELLOW』ブロック」が入れ替わり立ち替わり現われ、後半さらに『20』の曲が披露された、もう大満足なもんでした。
今日しか聴けない、観れない、レアな曲も色々あり。今思うと、“Shangri-La”“N.O.”も“虹”もやらなかったけど、まったく食い足りなさを感じなかった。感じなかったが、電気の、というか卓球の、徹底した「トータルプロデュース放棄」「今日のリキッドは俺の部屋、もしくは俺の行きつけの飲み屋」化によって、観終わったあとの印象が「長かったなあ……」一色に、塗りつぶされてしまったのでした。

卓球につられて、このレポートもこんなに長くなってしまいました。ええと、あと何を書くべきだっけ。覚えてること全部書くと本1冊分くらいになってしまうので、昨日ブログに書いたことを、補足説明して終わります。


●まったく似せる気のないニセ古畑任三郎(ハリウッドザコシショウという芸人)の前説あり

という芸人さんが、前説を務めたのでした。電気の大ファンで、2008年4月1日のリキッドルーム超プレミアム・ライブにも、必死でチケットを入手して来ていたそうです。ただ、今いちウケてなかった感じで、後半で卓球、「おまえらわかんないの?」とファン一同を罵倒しておられました。なお、「ゲッツ!」のダンディ坂野にしろ、ゆってぃにしろ、やや残念気味というか、スベリ気味な芸人さんに、人よりも早く目をつけて大ファンになるという傾向が、石野さんにはあります。


●瀧の「体操42歳」あり

瀧が30歳を迎えた時、高輪プリンスホテルだったっけ、関係者を招いて「ピエール瀧生誕30年祭」というパーティーが行われ、私も山崎洋一郎も足を運びましたが、その時の引き出物として制作されたビデオ『体操30歳』が、そもそもの始まりでした。この、瀧がさまざまな仮装とさまざまな場所でさまざまな動きの体操をする、という作品は、のちにリリースされ、さらに6年後、『体操36歳』も制作されました。今回のは『20』にも収録される第3弾で、前説に続いてそれが初披露されたわけです。フロア爆笑。最高でした。

なお、それに続いてライブ本編がスタート。白タキシード姿の瀧と黒タキシード姿の卓球が登場、『20』収録の新曲でスタート(その歌詞に合わせた内容の、ものすごく手のこんだオリジナルストーリーの映像つき)……と思ったら、歌いだすかださないかのところで、卓球、「俺間違えたからもう一回やるわ」とひっこむ。フロア大笑い。2回目もミスって、またひっこんで、やり直してました。


●瀧勝の「人生」あり

電気デビュー直後だから1991年、瀧が演歌歌手「瀧勝」として、シングル“人生”でデビューしました。同曲はその5年くらい後、『ドリルキングアンソロジー』にも収録されました。「Produced by 犬」というのが売りで、8cm CDの裏面には、ミキサーに向かう犬の写真(大森克己撮影)が掲載されていたものです。その曲を、久々にやったのでした。間奏で瀧の台詞があり、それは「ハチミツ持ってこーい!」で終わるのですが、そこに至るまでの語りが新バージョンになっていました。


●瀧と天久聖一のイボピアスあり

ゲストで天久聖一が登場。この人と瀧はイボピアスというユニットであり、前にもステージに立ったことがあるのです。建て直す前の赤坂BLITZだったっけ。瀧プレゼンツの新宿リキッドルーム『7HOURS』も出たかも。とにかく、天久氏はその時と同じ、バニーガール・頭にはカブト・片手にはアタッシェケースで中にはチアリーダーのボンボンが入っている、という、つくづく「いいセンスだなあ」と唸りたくなるいでたち。瀧は、今日はオレンジのレオタードという姿で、持ち歌“モテたくて…”を披露。

関係ありませんが、3月までやっていたBS-JAPANの松尾スズキプレゼンツのバラエティ番組『美しい男性』に、天久氏は構成作家として参加しており、3月19日に行われた同番組最終回の公開録画『美しい男性ライブ』で、前説を務められておられました。「どうも、オードリー春日のニセモノです」と、衣装・動き・しゃべり、すべて春日を完コピしておられました。天久氏にとって、その日以来の「客前仕事」だったのでは、と思い、その両方を生で観ているのは俺くらいだろう、と、誇らしい気持ちになりました。


●CMJKあり

デビュー直前に加入して卓球&瀧と共に1stアルバム『FLASH PAPA』を作り、そのリリース前に記者会見を開いて脱退したCMJKが、このためだけにトラックを作ってきたという“電気グルーヴインフォメーションのうた”をひっさげて登場。その曲と、えーと、確か“マイアミ天国”だったと思うが、計2曲、電気と一緒にやりました。あと、昔話でさんざんいじられていました。特に「1stのレコーディングでマンチェスターに行く時、空港までお母さんが見送りにきた」という話を暴露されたのが大笑いでした。


●卓球の瀧へのむちゃぶり、数え切れないほどあり

さっきもちらっと書いたが、MCの時に突然「瀧、『ゲッツ!!』やって」とか振るのでした。しかも2回目は「『ゲッツ!!』を逆回転でゆっくりやって」となるなど、どんどんハードルが上がっていくのでした。昨年のツアーで「エドはるみの『グー!』やって」とか振られた時は、瀧さん、多少抵抗した上でやっていましたが、今日はすべての要求に粛々と答えておられました。後半、「グー!」も出ました。


●篠原ともえあり

またゲスト。どういう方かは説明の必要ないですね。もう30歳だそうです。電気と一緒に“クルクルミラクル”“電気ビリビリ”を歌った後、やはりMCでさんざんいじられてました。CMJKの時もそうでしたが、卓球と瀧以外にゲストがひとり現れると、瞬時に瀧も卓球と化し、ふたりがかりでボコボコにする、という傾向あり。特に強烈だったのが、瀧が篠原の心境を勝手に代弁したこのひとこと。

「あーあ、もっとテレビ出たいなー」


●瀧の「くりいむ有田の真似するアントニオ猪木の真似」あり

これも卓球のむちゃぶり。他の人がやる猪木の真似とは違い、「元気ですかー!」とか「元気があればなんでもできる」とか言わない。言葉の合間に「むふふふ」とか「んふふふ」とか笑いをはさみながらしゃべる、有田が発明した猪木の真似が卓球&瀧ともお気に入りで、何度もやってました。しまいにはふたりがかりでやってました。関係ありませんが、有田がやる高田総統の真似も、私はとても好きです。


●アンコールで未発表CD-Rばらまきもありました

アンコールでステージに戻ってきた卓球&瀧、お客さんへのサービスで、「このためだけに作った」「このあとも発表の予定なし」という何かが入ったCD-Rを数十枚、フロアに投入。「どんどんコピーしていいからね。拾った奴は、まわりの奴に連絡先教えてねー」と卓球。で、「おいそこのおまえ!拾ったろ! まわりに電話番号教えろよ! 電話番号、今言え!」とエスカレート。で、先にも書きましたが、そこから30分以上しゃべってから、2曲やって終わりました。


他にも、卓球による立川談志の真似とか、『20』の新曲たちを聴いて、「ああ、『20』って要は2009年版『ドリルキングアンソロジー』なんだな」とうれしい気持ちになったりとか、色々ありましたが、さすがにもうやめます。なお、今年のライブは、今日が最後だそうです。

あといっこだけ。お客さん全員に、入場時に引換券が配られ、帰りにそれと交換で記念品がプレゼントされました。されましたが、出口で引換券を回収するスタッフと、プレゼントをくれるスタッフが別だったので、「これ、引換券なくてももらえるなあ」「もう一往復してもういっこもらおうかなあ」と、ちょっと思いました。やりませんでしたが。なお、いただいたのは下敷きでした。(兵庫慎司)


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