「CUT NIGHT」lukiスペシャルライブ/下北沢シャングリラ

「CUT NIGHT」lukiスペシャルライブ/下北沢シャングリラ - All photo by 落合由夏(Ochiai Yuka)All photo by 落合由夏(Ochiai Yuka)


●セットリスト
01. モノクロームの恋人たち
02. FAKE
03. more
04. KISS OR KILL
05. 落ちた林檎(新曲)
06. ユナイタマ
07. 壁の一週間
08. Thanks
09. ハイエナ

(アンコール)
10. フーチー・クーチー・マン(マディ・ウォーターズカバー)
11. Boom Boom(ドクター・フィールグッドカバー)
12. 都会の漂流者


『CUT』主催によるトーク&ライブ複合イベント「CUT NIGHT Vol.9」が7月4日、前回に引き続き下北沢シャングリラにて開催を迎えた。『CUT』編集長・渋谷陽一によるトークのテーマは、先日6月9日に生誕70年を迎え、そして1972年の『ロッキング・オン』創刊から50年目に突入した2021年という大きな節目について。時代の変化に対応する、そして受け手が求めるものに誠実であるという、ロック/ポップ・ミュージックの原理に基づいて駆け抜けてきたこの50年、そして「第二の創刊」とも言える新たなプロジェクトにまで触れられたあまりにも濃い1時間となった。

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そしてシンガーソングライターlukiによるミニライブ。実は前回3月6日の時、彼女は体調を崩していて(全くそれを感じさせないパワフルなライブだったが)、その後に入院と手術を経験していたそうだが、そこから完全復活を遂げる強力なライブを展開した。

「CUT NIGHT」lukiスペシャルライブ/下北沢シャングリラ

本を片手に朗読劇のような佇まいでの歌い出しも印象的だったのは2014年のアルバム『東京物語』から“モノクロームの恋人たち”。“FAKE”、“more”、“KISS OR KILL”と、楽曲ごとの世界観を美しく大胆に表現する光の演出の中を泳ぎながら、力強く伸びのある歌声で1曲1曲のドラマを紡ぎ上げていく。バックを支える円山天使(G)、山本哲也(Key・G)、張替智広(Dr)の演奏は、最新ミニアルバム『ユナイタマ』を経て、タイトなリズムと柔らかと激しさを併せ持つサウンドのコンビネーションが、より洗練されている。

「CUT NIGHT」lukiスペシャルライブ/下北沢シャングリラ

そして圧巻だったのは新曲“落ちた林檎”。映画『ファーザー』のアンソニー・ホプキンス演じる認知症の老人の目線で見た世界にインスパイアされた楽曲とのことだが、大切だからこそ消えていくものへの愛しさに溢れた、音楽の持つ魔法を感じさせる新たな名曲だった。最新作からの“ユナイタマ”、“壁の一週間”、そして深い慈しみに満ちた“Thanks”と強力なナンバーが続き、本編ラストの“ハイエナ”は、トークコーナーで語られた「死を想う気持ちや狂気をなくしたらロックに何が残る」ということをlukiが身を持って表現しているかのようだった。

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そしてアンコールでは、マディ・ウォーターズ(ウィリー・ディクソン作)の“フーチー・クーチー・マン”を日本語カバーした、その名も“フーチー・クーチー・ウーマン”(!)、そして前回も披露したドクター・フィールグッド(ジョン・リー・フッカー作)の“Boom Boom”の連発に会場は大興奮。演奏も歌も、そしてlukiのブルースハープも大炸裂したところからのラスト“都会の漂流者”は、勇ましく、知的に、そして情熱的に音楽でできることをこれからも追い続けていく意志に満ちていた。(古河晋)

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