ライブレポート

2009.02.10 「少年メリケンサック」イベント @ 赤坂BLITZ

少年メリケンサック少年メリケンサック少年メリケンサック少年メリケンサック少年メリケンサック少年メリケンサック少年メリケンサック少年メリケンサック「少年メリケンサック」公開直前 栗田かんなのバレンタインナイト

というタイトルどおり「少年メリケンサック」の公開が今週末ということでのイベント。出演は、司会というかMCが宮藤官九郎(監督)、宮崎あおい(主演:栗田かんな役)、三宅弘城(少年メリケンサックのドラマー=ヤング役)の3人。出演バンドは、JAPAN-狂撃-SPECIAL/ZAZEN BOYS/SAKEROCK/ライムサワー/銀杏BOYZの5組。プラス、アンコールでねらわれた学園(とは何か、ご存知ない方は2月10日の私のブログをご参照ください)が1曲。以下、時間軸に沿って、レポート&説明します。

1.JAPAN-狂撃-SPECIAL
まずMCの3人が登場、宮崎あおいの宣誓でイベントが開幕。で、トップバッター、くるう登場。「くるう」というのはこのバンドの公式な略称です。このような、長い上に省略しづらいバンド名に対して、こうして「公式略称」というものを定めて、バンド側から告知した例は、私の知る限り初めてですが、はっきり言って、すごく助かります。

で、くるう、もう矢のように、突風のように、千本ノックのようにやつぎばやに曲を連打する、そんな勢いで約30分プレイ。前に観た時にも思ったし、ここに書いた気もするが、観れば観るほど、80年代中期のラフィン・ノーズに、とても似ている。パクってるとかコピーしているとか、そういう嫌な似方ではない。アレンジやメロディやコード進行やテンポや各楽器の出音などの、あの時代のパンクのフォーマットのひとつがこのスタイルであって、それをあの頃のラフィンも今のくるうも使っている、というような感じの近さだと思う。そしてその感じは、80年代のニッポンインディーズパンクが重要なキーになっているこの映画にとても合う、と改めて思った。好ましいです。ギターのラン坊がギブソンのファイヤーバード使ってるのも好ましいです。ラフィン・ノーズ→コブラ→DOG FIGHT→またコブラ→今はSAのギタリスト、NAOKIが使っているギターです。

あ。ラフィンで思い出した。前にクドカン、ラフィンのことを書いていた。確か、雑誌「hon-nin」に連載の、高校時代をふり返った自伝的小説だったと思うが、「気仙沼出身なのに大阪出身みたいにふるまっているのが宮城県民として許せない」みたいな内容だった気がする。でも絶対、当時ラフィン聴いてたはず。

ちなみにくるう、4人とも映画にも出演。どこにどう出ているかは、くるうの場合言わないほうがいいか。映画館で「あっここだ!」って探すのを楽しんでいただければと思います。

なお、終了後、三宅がステージに登場。楽屋でクドカン&宮崎あおいと、出番を終えたばかりのバンドが会話する模様をスクリーンで流し、さらに、それとステージ上の三宅がやりとりする、というのが、このあと毎回ありました。

2.ZAZEN BOYS
向井秀徳がこの作品の音楽を担当している縁で登場。“KIMOCHI”で始まり“I DON\'T WANNA BE WITH YOU”“RIFF MAN”など、約30分プレイ。ちょっと久しぶりに観たんだけど、いやあ、もう、口あんぐり。すごすぎ。たまに、ごくたまに、ものすごい演奏力やものすごい音やものすごいアンサンブルやものすごいグルーヴのバンドを観た時に、「音で重いものが動いたりしそうだなあ」と思うことが僕はあるんだけど、もうまさにそれ。2トン車ぐらいだったらふっとびそう、音で。4人で顔を見合わせて、ガッ!ガッ!ガッ!と音を合わせていくたびに、BLITZの空気が変わっていく。どんどんすごくなる、このバンド。ギターとベースとドラムとちょっとの鍵盤と、人間の声で、こんな音が出せる、という衝撃。僕はレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンを、フジロックのグリーン・ステージとか幕張メッセとかの、でっかい会場でしか観たことないんだけど、BLITZ規模のハコで観たらこんな感じなのかも。いや、もしかしたら勝ってるかも、とすら思ってしまった。前にニューヨークでも絶賛されたという話をきいたが、ほんと、そろそろ海外を視野に入れたほうがいいかも。

ちなみに、向井のMCのうち、最もさえてたの。
「宮藤官九郎監督、世紀の傑作、『デトロイト・メタル・シティ』。ぜひ」

なお、これもMCで言っていたが、このあと深夜に新宿ロフトで、『ダイノジロックフェス4外伝』で、ZAZEN BOYS、ライブあり。ダブルヘッダーでした。この日のすべてのアクトが終わった後、全出演者がステージに出てきたんだけど、ZAZENだけは向井しかいなかった。他の3人はセッティング&リハのために、ロフトに移動したんだと思う。

3.SAKEROCK
まず、今日は、4人とも普段着バージョンで登場。で、しばし演奏して、1回目のMCでの、ハマケンの第一声。
「BLITZ、せめーなー。ただいま!」
それを受けた星野源のひとこと。
「意味がわからない」
前回のツアーのワンマンの東京公演は、ここ赤坂BLITZでソールドアウト、にもかかわらず今日のお客さんは「じっと聴く」「見る」感じだったので、何かやりにくさを感じて、そしてそのせいで赤坂BLITZがとても広く感じて、その反動でついそういうことを言ってしまった、とお見受けします。ハマケンはそう感じたかもしれないが、実際フロアはそりゃ大騒ぎにはなっていなかったけどとても真剣に聴き入っていた感じだったから、そんなこと言わずに普通にやればよかったのに。と思いました。

ちなみに、SAKEROCKのこの映画での役どころは、すっごくいいです。ハマケン以外の3人は、栗田かんなの勤務するレコード会社、メイプルレコードの人気ギター・バンド、GOA。ハマケンはそれにからむ警官の役。そのバンドの曲は向井が書いていて、映画では3人が演奏して星野くんが歌うんだけど、この日の向井曰く「前に私がやってたバンドのパクリみたいな感じ」。これ以上詳しく言うとネタバレになってしまうのでやめますが、見ると大爆笑、しかし私のようなバンド業界人の立場からすると、ただ他人事として笑っていられなくて、同時にグサッとくるような、そんな感じでした。ああ、書きてえ。でもがまん。ぜひ、観ていただきたいと思います。

4.ライムサワー
という名前のヒップホップ?グループ。MC SOAP(三宅弘城。グループ魂では石鹸という名前だから)、MC HEALTH(宮藤官九郎。ソープに合わせてヘルスにしたと思われます)、DJ ウメッシュ(大人計画の荒川良々)とDJトッシュ(何者なのか私も知りません。デブでメガネでボウズの中年)の4人。初舞台は、6月22日秩父ミューズパークで行われた『グループ魂ぱつんぱつんフェスティバル』で、今日が2回目のライブだそうです。その2回とも観ている上に、2回ともこうしてRO69でレポートしている私は何なのか。

というわけなので、詳しくはこの「最速ライブレポート」の2008年6月22日をご覧ください。ほぼ同じ内容だったので。最も前回と違ったのは、新曲を披露していたことでした。映画の中に何度も出てくる“さくら”って歌をサンプリングした曲と、ふじそば(東京にいっぱいある立ち食いそばチェーン)の曲。後者をやるとき、MC SOAPとMC HEALTH、あのソバをお湯からあげてチャッチャやるやつ、なんていうんだっけ、そう湯切り、あの湯切りを振り回してジャンプしながらMCしておられました。

5.銀杏BOYZ
少年メリケンサックの若い頃のボーカル役を務めた峯田和伸が所属する、そして他の3人もかなり重要な役で出演している(これもほんと大笑い。特に村井くん。ぜひ映画館で観てほしい)バンド、銀杏BOYZがトリ。昨年12月24日渋谷ラ・ママ以来、つまり今年初めてのライブ。まず、SEにびっくりした。たぶん、今日からだと思う。1980年代初頭、漫才ブーム絶頂期の頃の、ツービートの漫才を回転数上げて速くしたものを、SEに使っていた。

それが鳴り響く中、村井くんが登場、必要以上に高いライザー(ドラムセットがのっかっている台ね)に上がり、どったんどったん叩き始める。続いてベース、アビちゃん登場。髪が伸びて、なんだかかっこよくなっている。続いてチンくん、なんかハミガキ粉みたいなチューブに入った白い粘液を、頭にぶっかけながら登場、ギターを構えた時点で髪も顔もべったべた。最後に、変なTシャツと穴だらけのジーンズで峯田登場。

始まった1曲目は、おお!少年メリケンサックの代表曲であり映画の中で何度も演奏する“ニューヨークマラソン”だ! 自分たちの曲じゃないせいか、演奏かなりぐっしゃぐしゃ。PAもつられてぐしゃぐしゃ。僕は2階で観ていたんだけど、2階で聴いていると低音がぶわーって回っちゃってるし、演奏もモロに「しばらくライブやってませんでした」って感じ。曲の後半、峯田、マイクをごっつんごっつんオデコにたたきつけ、流血。続いて“SKOOL KILL”。さらにぐしゃぐしゃ。ってことは、今日は自分たちの曲でも、そうだってことです。曲の後半、峯田早くもアビちゃんに恒例のジャンピング回し蹴り。肩口にヒットしたからよかったけど、角度的に顔面に入りそうに見えて、一瞬ひやっとしました。そして“若者たち”。もっともっとぐしゃぐしゃ。コードもメロディもろくに聴きとれなくて、初めて聴いた人は一体どういう曲なんだかわからないままだったと思う。が、それが「あり」どころか「最高!」になってしまうあたりが、ほんと、得なバンドだと思う。というか、すごいバンドだと思う。

後半は聴かせるモード、というか「いい曲をいい曲としてやる」モードになり、“銀河鉄道の夜 第二章”“あいどんわなだい”“BABY BABY BABY”をプレイ。相変わらず演奏はぐしゃぐしゃ気味だったが、もう、曲が終わるのが悲しくて死にたくなるほどの切なさと美しさが、フロアを支配した。ほんと得なバンドだなあ。というか、いいバンドだなあ。しつこいが。

アンコール。銀杏ではなく、峯田と向井秀徳のふたりによるアコースティック・ユニット「ねらわれた学園」が登場、この映画のエンディング・テーマである「守ってあげたい」を歌う。最後に、ZAZENの向井以外の3人をのぞく、本日の出演者全員がステージに登場してあいさつ、4時間弱にわたるイベントは、幕を閉じたのでした。

あと、転換中にずーっとBGMが流れていたのですが、すべて映画の中に出てくる楽曲でした。どの曲が誰がどういうシーンで歌っているのか、そしてそれぞれの曲が一体どういうものなのか、正直、説明したくてたまらないのですが、ネタバレになるのでやめときます。公開は14日なので、ぜひ映画館で確かめていただければと思います。

でもやっぱり、書きたいこといっぱいあるなあ。公開が終わったら、ブログかなんかでサントラの全曲解説やろうかな。(兵庫慎司)


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