ディジー・ミズ・リジー @ CLUB CITTA’

ディジー・ミズ・リジー @ CLUB CITTA’ - All pics by Yuki KuroyanagiAll pics by Yuki Kuroyanagi
ディジー・ミズ・リジーは1998年に解散した後、6年前に1度リユニオン・ツアーを行なっている。その際にも今回と同じく川崎クラブチッタで日本公演が行われたのだが、あくまで限定的なリユニオンであり、「新曲を作るつもりもなく、ただもう本当にファンと集まってパーティーを開いて昔の曲を楽しもうってだけ。それ以上は何もなく、年明けに始めて年末には終了することも最初から決まっていた」という話だった。それが今度は、新作『フォワード・イン・リヴァース』を完成させて4月にリリースし、これからもずっとバンド活動を続けていくと表明しての再来日。当日ティム・クリステンセン(ヴォーカル/ギター)はMCで「前回ここで演った時は、これでおしまいだと思ってたけど、新しいアルバムを作ってまた来たよ!」というようなことを話していた。

ディジー・ミズ・リジー @ CLUB CITTA’
昨年にもラウドパークに出演する形で来日は実現していたものの、今回の単独公演については、実に20年ぶりとなる最新アルバムの持つ意味が、とにかく大きかったと思う。オープニングにはイントロとして『フォワード・イン・リヴァース』8曲目のピンク・フロイドっぽい雰囲気を感じさせるインストゥルメンタル・ナンバー“フレイ”が流れ、そこからバンドは新作の1曲目~4曲目までを立て続けにプレイ。ファースト・アルバムからの2曲を挟んで、再び新譜から“ラヴ・アット・セカンド・サイト”が披露された頃には、曲名の通り一目惚れならぬ「2度目惚れ」してしまったような気持ちになった。それ以降も、過去の代表曲をポイントで抑えつつ、セットリスト的には完全に現在進行形のディジー・ミズ・リジーを提示する内容になっていた。

ノスタルジック一辺倒の同窓会的なライヴとは根本的に違うものだし、そのうえで、現役感をムリヤリ出そうとしてリスナーの期待に応えきれてない残念なケースにもなっていない。これはつまり最新アルバムが、解散後の時間の経過など問題とせず、劣化どころか、戸惑いを呼ぶ方向での変化さえ感じさせずに、膨れ上がった期待に対して十分すぎるほど応えられる内容だったから、という点につきる。再結成バンドは山ほどいる昨今だが、これだけのことをできるバンドはそうそういない。控えめに言っても感嘆すべき偉業だと思う。

熱い想いを胸に会場へ集まったオーディエンスはフロアを埋め尽くし(※当日のチケットは完全ソールドアウト)、再びリアルタイムの存在として登場したバンドに熱いリアクションで応え、心の底からその音を楽しんでいた。ここぞという場面では見事な大合唱も沸き起こり、このところ行なわれた海外アーティストのライヴの中でも、これだけスペシャルな空気に溢れていたものはそう多くはないはずだ。

ディジー・ミズ・リジー @ CLUB CITTA’
ディジー・ミズ・リジー @ CLUB CITTA’
パフォーマンスに関しても申し分のない内容で、ソレン・フリスのドラムと、マーティン・ニールセンのベースによるタイトでパワフルなリズム隊は、どっしりとボトムを固めながら、確かな推進力で各曲をぐんぐんドライヴさせる。そして、それにのっかったティムのヴォーカルとギターは、どこまでも伸びやかに天空を駆け抜けていくようなメロディを次々に紡ぎ出していった。シンプルなトリオ編成で、サポート・メンバーや同期音源なども必要としないスタイルであることに加え、派手な舞台装置を使ったような演出もなく、ミュージシャンとしての実力だけで、楽曲の持つ良さを最大限以上に引き出してみせる姿は、ライヴという表現の場におけるひとつの理想形だろう。(鈴木喜之)

ディジー・ミズ・リジー @ CLUB CITTA’
〈SETLIST〉
01. Intro (Frey)
02. Phlying Pharaoh
03. Forward In Reverse
04. Terrified In Paradise
05. Brainless
06. Barbedwired Baby’s Dream
07. Love Is A Loser’s Game
08. Love At Second Sight
09. Made To Believe
10. Rotator
11. 11:07pm
12. Find My Way
13. 67 Seas In Your Eyes
14. Glory
15. Say It To Me Anyway
16. Waterline

En1. Mindgasm
En2. Thorn In My Pride
En3. Silverflame
En4. I Would If I Could But I Can’t
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