でんぱ組.inc@Zepp Tokyo

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でんぱ組.incが初めて訪れる地域を含む全30公演をまわるツアー「GOGO DEMPA TOUR 2016 ~ まだまだ夢で終わらんよっ! ~」。ツアー中盤のZeppシリーズのひとつであるZepp Tokyo公演では、サポートバンドの「でんでんバンド」と共にライヴを敢行。ホール公演とは一味違う趣で楽曲が届けられていった。(以下、演出や曲目に関する表記を一部含みます。今後の公演に参加予定で内容をまだ知りたくないという方は、ライヴ終了後にご覧いただけますと幸いです)

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「日本昔ばなし」に独自のアレンジを加えたような世界観をテーマにした今回のツアー。肩に鶴の頭を乗せていたり、背中に甲羅を背負っていたり、キツネ耳&尻尾をはためかせていたり……とメンバーの個性的な衣装も特徴的。さらにアニメーションや選曲などでもその世界を強く印象づけていく。そんな中、紗幕越しにでんでんバンドが音出しを始めただけで大歓声が起こるほど、開演前からハイテンションだったこの日のオーディエンス。その昂揚っぷりはメンバーも驚くほどのものだったが、ステージを駆け巡る6人の熱のこもった歌とダンスが、さらにはギター/ベース/ドラム/パーカッション/キーボードという編成のでんでんバンドによる重厚なサウンドが、フロアをさらに燃焼させていった。特に「バンドでやるには史上最難関の曲」と語られた超高速チューン“破!to the Future”、複雑に展開する曲調を息つく間もなく走り抜けるようなパフォーマンスは一種のスポーツのようで、会場全体の熱気が限界突破を重ねていく様子は圧巻だった。

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“あした地球がこなごなになっても”では、前日の2月16日に誕生日を迎えた成瀬瑛美のバースデーサプライズを敢行。彼女がメインヴォーカルを務めるパートに突入するとフロアから一斉に黄色のフラッグが掲げられ、曲の終了後には会場一体となっての「お誕生日おめでとう!」と共にスタッフから花束が贈呈された。驚きながらも満面の笑顔を咲かせた成瀬は「この幸せな気持ちをでんぱ組.incの活動に繋げていきたいと思います!」と頼もしく宣言。そのままライヴは後半戦へ突入していった。

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さて、そもそもなぜこのタイミングで大規模なツアーを行ったのかを考えてみたとき、今回のツアーの根底には、ワールドツアーや大きな会場でのライヴが続いた昨年が飛躍の年となったからこそ、「あなたの街まで元気を届けに行きたい」「原点を見つめ直してから次へ進みたい」という意志があったのでは、と思わされた。この日のシンプルなステージングから見えたのは、もともとひとりぼっちだった6人だからこそ、ひたむきなその姿が目の前の「ひとり」を確かに勇気づける——という本質の部分だった。だからこそ、ストレートなメッセージを投げかけるセットリスト中盤(“W.W.D”“Dear☆Stageへようこそ♡”“ブランニューワールド”)は特に感動的だったのだろう。でんぱ組.incの物語はもはや6人だけのものではないし、そのことを彼女たちが自覚しているからこそ、「自分たちができるエンターテインメントとは?」という視点でステージに挑んでいる。今の6人を突き動かすのは、コンプレックスの払拭や過去へのリベンジではなく、アイドルとしての「覚悟」に他ならない。

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そしてアンコールでは4月27日にフルアルバム『GOGO DEMPA』(今回のツアーと同タイトル!)をリリースすることが発表された。「6人体制になって5年目になったでんぱ組.inc、今しかできないアルバムを作ろうと頑張っています!」と語る古川未鈴の言葉を聞いて、この日のライヴで受け取った切実な想いはネクストステージの片鱗だったのかもしれないと気づかされたのだった。(蜂須賀ちなみ)
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