RADWIMPS × ONE OK ROCK@ 横浜アリーナ

RADWIMPS × ONE OK ROCK@ 横浜アリーナ - RADWIMPS/pic by 植本一子RADWIMPS/pic by 植本一子
「10th ANNIVERSARY LIVE TOUR RADWIMPSの胎盤」。11月23日のメジャーデビュー10周年記念日から始まった横浜アリーナ3デイズの最終日に、RADWIMPSと対バンを繰り広げるのはONE OK ROCKである。最高峰のアリーナロックバンドが、お互いに刺激を与え合ってきた歴史も振り返りつつ天井知らずの熱狂を育むという、素晴らしい一夜になった。

RADWIMPS × ONE OK ROCK@ 横浜アリーナ - ONE OK ROCK/pic by 橋本 塁ONE OK ROCK/pic by 橋本 塁
先攻はONE OK ROCK。場内に立ち込めた期待感をまとめて吸い上げながら、Tomoya(Dr)、Ryota(B)、Toru(G)が “3xxxv5”のセッションを始める。そしてTaka(Vo)がステージに躍り出ると、“Take me to the top”が繰り出される。4人の音と声がクッキリと浮かび上がる音響も素晴らしく、ToruとRyotaは揃って楽器を抱えたまま片足でスピンを決めていた。Takaは「今日は俺たちと皆さんで、RADWIMPSというバンドを最高に盛り上げましょう!」と、この夜の目的を提示する。

RADWIMPS × ONE OK ROCK@ 横浜アリーナ - ONE OK ROCK/pic by 橋本 塁ONE OK ROCK/pic by 橋本 塁
“Cry out”ののち、“Clock Strikes”ではTomoyaのビートもToruのギターフレーズも、音の響きと会場の空間をすべて計り尽くしたように絶妙なタイム感で余韻を残してゆく。ONE OK ROCKは紛れもなく最新型のアリーナロックをプレイするバンドだが、こうした雄弁な音のコントロールはロック史の偉大な遺産を継承しているところがある。「彼らが10年歩んでこれたのは本当に素晴らしいことだと思うし、これからも一緒に音楽を奏でて、日々を生きて、RADWIMPSはきっと続いていくんだろうと思います。とにかく、今日の僕たちは前座です!」とTakaは告げていた。

RADWIMPS × ONE OK ROCK@ 横浜アリーナ - ONE OK ROCK/pic by 橋本 塁ONE OK ROCK/pic by 橋本 塁
ただし、その直後にはライヴ初披露の“Last Dance”や、Taka+Toruのみの繊細なアコースティックセットでアリーナを掌握する“Heartache”といったように、バンドの懐の深さを見せつける。Takaは「実は俺らも来年、10周年でさあ…」と語り出し、バンド同士で意見交換する機会の素晴らしさや、優れたバンドを育てるのはオーディエンスだという想いも告げていた。“The Beginning”の音像の前では、銀河を駆け抜けるようなCGアニメーションの演出ですら大袈裟に見えないほどで、「RADは好きですかー!?」と問いかけながらの“完全感覚Dreamer”まで、怒涛の11曲を披露した。

RADWIMPS × ONE OK ROCK@ 横浜アリーナ - RADWIMPS/pic by 植本一子RADWIMPS/pic by 植本一子
一方この日のRADWIMPSは、野田洋次郎(Vo・G)が優しく慈しむようなピアノ弾き語りの“音の葉”からパフォーマンスをスタート。そして“DADA”から驚異のロックアンサンブルが立ち上がってくる。山口智史(Dr・Cho)休養中につき、サポートを務める刄田綴色と森瑞希のツインドラム編成、個人的には初めての体験だったがこれは凄まじい。もちろんリズムセクションとしても凄いのだが、前衛的なアンサンブルをガンガンとこなす上に、あの“ギミギミック”の歌詞が乗るのを目の当たりにして、バンド単位での成果が強く浮かび上がるのを感じた。

“DARMA GRAND PRIX”の盛り上がりに「いいなあ、お前らあああ!!」と高ぶった声を上げる野田。ギラギラとしたギターサウンドをぶっ放していた桑原彰(G・Cho)は、オーディエンスに歓迎の言葉を投げかけ、「ONE OK ROCKがもの凄いライヴ見せてくれたんで、めちゃめちゃ気合い入ってます! お前らもそのつもりで付いてきてください!」と呼びかけていた。興奮の余りかぴょんぴょんと飛び跳ねていた野田は、「やべーなやべーなおい! なんか奇跡みたいなことが起こりそうな気がしてるのは俺だけか!? どうせお前ら、数十年しか生きてないだろ? 100年も生きてないだろ? まだ会ったことのない自分を見せてみろ!」と言葉を続ける。

武田祐介(B・Cho)の猛烈なスラップショットと桑原のギターがスリリングな応酬を繰り広げる“遠恋”に続いては、抑制を効かせてタイトに決める楽曲が続く。ただ圧倒するだけでなく、オーディエンスを引き込むための技術が光っていた。「楽しくて楽しくて、あんま喋ることないっす……RADWIMPS、10周年なんですけど、さっきもワンオクのライヴで泣きそうになったし。10年前に契約した時に、今日までやって来れるなんて、しかもこんなにたくさんの人の前でやってるなんて誰も思ってなかったし、飽きっぽい俺が、命よりも大切だって思えるものができました。今日は来てくれて、どうもありがとう」。そう語った野田は、ONE OK ROCKの“Wherever you are”の冒頭部分を弾き語りして場内をどよめかせ、そして“ふたりごと”へと向かっていった。

RADWIMPS × ONE OK ROCK@ 横浜アリーナ - RADWIMPS/pic by 植本一子RADWIMPS/pic by 植本一子
“夢見月に何想ふ”が情感たっぷりに届けられた後、武田は「めっちゃ楽しいなー! 本当に幸せです」と告げ、数年前、RADWIMPSとONE OK ROCKのリズム隊同士で「いつか一緒にやりたいね」と語り合っていたことを伝えた。サポートドラマー2人が改めて紹介されると、今度は野田が、以前、喉を痛めたときに、Takaが「いいとこ連れてってやる」と鍼治療院に一緒に行き、その時に対バン話が持ち上がったことを明かした。「それが最初で、そのあといろんなバンドに声を掛けて。今日、みんなは宝くじに当たったようなもんです。もう一生買わなくていいよ、絶対当たんないから! 今日は何のわだかまりも悔しさも残さず、全部出し切ってください!」と告げて、スキル全開のジャムを絡めた“おしゃかしゃま”へと傾れ込んで行った。

ちょうどこの日にリリースされたニューシングルの1曲“‘I’ Novel”は、縦書きの歌詞をスクリーンに映しながら、これまでの道程に思いを馳せるようにして届けられる。そして3人が口々に、この日のステージへと寄せる想いを伝えると、野田は「RADWIMPSの曲を1曲も知らなくても関係なくて、あなたのおかげです。これからも音楽の目を見て、なんの迷いもなく、1ミリの狂いもなく、自分たちの音楽を作っていきます。それだけは約束します。これからも、RADWIMPSをよろしくお願いします!」と語り、温かな歓喜の声に包まれながら“会心の一撃”までの本編を駆け抜けていった。

客席からの“もしも”コールに応えて野田が再登場すると、「せっかくだから、特別なことやっちゃう?」とTakaを呼び込む。そのTakaは「やらなかったら一生後悔するから」とステージ袖で野田にコラボを提案したそうだ。以前、横浜アリーナでRADWIMPSを観た時、凄すぎて立てなかった、と語りながらも、野田のエレクトリックギター一本による伴奏でRADWIMPSの“バイ・マイ・サイ”を美しく伸びやかに歌い上げる。2人のハーモニーが美しい。そして「もう1曲やっちゃう? 全員でやっちゃう?」とRADWIMPS&ONE OK ROCKの全員が揃い、スペシャルな合体バンド(ドラマーはTomoya)で賑々しく“有心論”を披露。ここでのTakaは「あれ、ちょっと俺間違えた!」とオーディエンスを笑わせたりもしていたが、2組のバンドの喜びがひしひしと伝わるクライマックスであった。(小池宏和)

●セットリスト

■ONE OK ROCK
01. 3xxxv5
02. Take me to the top
03. Cry out
04. Clock Strikes
05. Last Dance
06. Heartache
07. Decision
08. The Beginning
09. Mighty Long Fall
10. 完全感覚Dreamer

■RADWIMPS
01. 音の葉
02. DADA
03. ギミギミック
04. DARMA GRAND PRIX
05. 05410-(ん)
06. 遠恋
07. ヒキコモリロリン
08. アイアンバイブル
09. ふたりごと
10. 夢見月に何想ふ
11. おしゃかしゃま
12. ます。
13. ‘I’ Novel
14. いいんですか?
15. 25コ目の染色体
16. 君と羊と青
17. 会心の一撃
(encore)
18. バイ・マイ・サイ(野田洋次郎 w/Taka)
19. 有心論(RADWIMPS w/ ONE OK ROCK)
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