でんぱ組.inc×9mm Parabellum Bullet@富山・クロスランドおやべ

でんぱ組.inc×9mm Parabellum Bullet@富山・クロスランドおやべ
北陸新幹線沿線エリアを巡るでんぱ組.incの対バンツアー「かがやきツアー2015」は早くもセミファイナル。この日のゲストアーティストは9mm Parabellum Bullet! 片や極彩色ポップ、片や紅蓮のメタリック轟音、とまったく異なる色調のカオス同士の対決のような、それでいて「オーディエンスを日常から引きずり出して怒濤の歓喜の真っ只中へ叩き込む」という点においては共通しているような2組の競演が、絶妙のシンクロニシティを生み出していた。

この日の舞台は「クロスランドおやべ」。北陸新幹線・富山駅からさらに電車とバス(またはタクシー)を乗り継いで計1時間ほど離れた立地ながら、北陸自動車道/能越自動車道のインターチェンジからほど近いこの複合施設は言わば、北陸新幹線という新たな大動脈とクルマ文化との結節点でもある。今回の会場となった円形のメインホールは、1Fアリーナ/2F席/3F席と三層のオーディエンスが舞台に迫るような独特の雰囲気(9mm・菅原卓郎(Vo・G)いわく「なんか、武道館に似てるよね」)を醸し出している。そして――。

でんぱ組.inc×9mm Parabellum Bullet@富山・クロスランドおやべ
先攻は9mm Parabellum Bullet! 冒頭の“Vampiregirl”からいきなり「9mmのワンマンライヴか?」ってくらいの大歓声と《You're Vampiregirl》のシンガロングが湧き起こり、“Cold Edge”のヘヴィなキメが全身を震撼させ、「みんな、もっと輝いてこうぜ!」(卓郎)と雪崩れ込んだ爆走アンセム“新しい光”で、場内は早くもむせ返るような熱気に包まれていく。「俺たち富山に来るのも2年ぶり」と卓郎も言っていた通り、会場にはこの日に照準を合わせた9mmファンも少なくなかったようだが、ホーム/アウェイといった区別を無効化するには十分すぎる一体感と熱量が、ホールの隅々にまで満ちあふれている。

でんぱ組.inc×9mm Parabellum Bullet@富山・クロスランドおやべ
そもそも、メタル/ハードコア/ロックンロールからラテン/歌謡まで融かし尽くして「9mmのロック」を構築し、ライヴではパンクキッズもメタルマニアもJ-POPファンも熱狂の渦に巻き込んできた9mmにとっては、でんぱ組.incとの異種格闘戦はその真価を発揮し得るまたとない舞台でもある。9月リリースのクアトロA-Sideシングルから披露したジャンル無用の新曲=滝 善充(G)作曲の“反逆のマーチ”&かみじょうちひろ(Dr)作詞作曲の“Mad Pierrot”はまさにその象徴だろう。中村和彦(B)のアップライトベースがうねる“キャンドルの灯を”の熾烈なるロックンロール。“Black Market Blues”“ハートに火をつけて”“Discommunication”の一撃必躍ナンバー連射。滝がハイパワーなギター「ULTRATONE」に持ち替えて轟かせた、稀代のスラッシュワルツ“生命のワルツ”……4人の持てる爆発力を高純度凝縮させたような、圧巻のアクトだった。

でんぱ組.inc×9mm Parabellum Bullet@富山・クロスランドおやべ
そして20:05頃、場内狭しとサイリウムがきらめき、でんでんバンドのアンサンブルが響く中、いよいよでんぱ組.incの登場! “VANDALISM”の目映い熱唱とダンスが、ヒップホップ/狂騒2ビート/祭り囃子が交錯するリズムの中で弾み回り、“NEO JAPONISM”の《産まれたからには生きなきゃね!/地獄の底まで楽しむぞ!》のキラーフレーズが満場のコールと熱い歌声を誘っていく。あらゆる統制や予定調和を取っ払った楽曲展開に、ヴァイタリティあふれるアクトで祝祭感を過積載して多幸感の彼方へぶっ飛ばしていく6人の姿が、会場の温度を刻一刻と高めていくし、「平日からみなさん集まってくれてありがとうございます!」(古川未鈴)、「9mmさんのライヴ観てたら、みんなめちゃめちゃ盛り上がってて!」(相沢梨紗)と呼びかけるMCの数々も、オーディエンスの情熱をさらに煽り立てていく。

でんぱ組.inc×9mm Parabellum Bullet@富山・クロスランドおやべ
でんぱ組.inc×9mm Parabellum Bullet@富山・クロスランドおやべ
アリーナから客席まで一面のハイジャンプを呼び起こした“Future Diver”から“FD2 ~レゾンデートル大冒険~”へ雪崩れ込み、ロックバラード調のイントロからエモーショナルなメロディとともに加速し高揚の極みへ到達する“ブランニューワールド”へ。「みんなの熱気が超アツくて! イヤモニの中が自分の汗でいっぱいになって聴こえなくなって(笑)。でも、みんなの声は聴こえてた!」(相沢)と会場に語りかける言葉からも、6人の充実感がリアルに伝わってくる。見渡す限りに色とりどりのタオルが渦を巻く情熱風力発電所状態に突入した“おつかれサマー”、さらに“でんでんぱっしょん”炸裂! 6色のリボンが宙を舞い、輝度と彩度の結晶のような歌が速射砲のように快楽中枢をばんばん撃ち抜いていく。レゲエ/2ビート/ダンスロック入り乱れる“ちゅるりちゅるりら”を鮮やかに乗りこなし、「みんな、輝いていくよーっ!!」のコールとともにラストは“でんぱれーどJAPAN”でヘヴィ→カラフルの極致を体現して、舞台を後にした。

でんぱ組.inc×9mm Parabellum Bullet@富山・クロスランドおやべ
アンコールを求める会場の「富山! 9mm! でんぱ組!」コールに応えて、ツアーTシャツ姿の6人+バンドメンバーが再登場。“バリ3共和国”でひときわパワフルにフィナーレを飾ったところで、9mmのメンバーも舞台に登場。メンバーと同じTシャツを着ていた卓郎に、「初の男性メンバー!」「あ、しまじろうがいたわ(笑)」とにわかに沸き返るでんぱ組の6人。「後はカラーだけです。何色にしますか?」と問われた卓郎、「真っ黒にしてください!」。次回公演はついにファイナル、8月6日Zepp Tokyo vsサンボマスター!(高橋智樹)
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