でんぱ組.inc×神聖かまってちゃん@埼玉・本庄市民文化会館

でんぱ組.imcの今回のツアー詳細が発表になった時から、各日程の異色の対バンが大きな話題となった。なかでも、ツアー2目となるこの日の組み合わせには、特別なものを感じた人も多いと思う。そう、神聖かまってちゃんとでんぱ組.inc。お互いが、そしてお互いのファンが、シンパシーを感じないわけがない。果たして、それは予想以上の熱い相乗効果を生み出したのである。

でんぱ組.inc×神聖かまってちゃん@埼玉・本庄市民文化会館
でんぱ組.inc×神聖かまってちゃん@埼玉・本庄市民文化会館
定刻を5分ほど過ぎ、“アラレちゃん音頭”のSEが流れる中、まずは神聖かまってちゃんの登場。でんぱ組.incファンで埋め尽くされた会場で、彼らがどのように受け入れられるのか、思わず客席の反応が気になってしまう。しかしそんな心配はもちろん無用であった。歓声とともに出迎えられると「今日はでんぱ組さんとやらせてもらえて、すっげえテンション上がってます!」と、の子(Vo・G)はすでに気合い十分。“美ちなる方へ”で幕を開ける。続いて“ゆーれいみマン”“熱いハートがそうさせないよ”と畳み掛けると、客席の反応も熱くなって、振り上げられるペンライトの数もどんどん増えていく。「いいね〜。前にかまってちゃんのライヴでもサイリウムを持ってきてやってほしいって言ったんだけど、前の方で3人くらいしかやってくれなくて」と、の子は念願が叶ってとても嬉しそうだ。そして「次はでんぱな曲を」と言って“Os-宇宙人”に突入。さらに“フロントメモリー”“自分らしく”“ロックンロールは鳴り止まないっ”と進み、気づけば観客のペンライトはほとんどが点灯され、その光がステージへと向けられている。ギターを放り捨ててモニターの上に立つの子。会場の最後列から眺めたその光景は鳥肌が立つほどに美しかった。

でんぱ組.inc×神聖かまってちゃん@埼玉・本庄市民文化会館
そして最後の曲。「今日が命日でもいいだろ? みんな死ぬぞ〜〜!」と煽ると、「みんなをぶっ殺してくれるメンバーを紹介しよう。でんぱ組.inc!」。会場中に響く歓声。そう、6月に発売された『ベストかまってちゃん』の初回特典に収録された“23才の夏休み”で、かまってちゃんはでんぱ組.incと共演しているのだ。この共演をライヴで目撃することを楽しみにしていたファンも多かったはずで、ステージも客席も最高潮の盛り上がりを見せた。

でんぱ組.inc×神聖かまってちゃん@埼玉・本庄市民文化会館
セットチェンジの間も会場はさっきまでの余韻が残っている。すでにひとつのクライマックスを迎えた後の本編待ち。ステージライトが明るくなり、客席の照明が落とされると和太鼓をフィーチャーしたオープニングSEをバックに、でんでんバンドのメンバー、そしてでんぱ組.incのメンバーが登場。7月14日に誕生日を迎えた夢眠ねむのために、客席のペンライトはオールグリーン。“でんぱーりーナイト”でスタートした。続く“NEO JAPONISM”では、ペンライトはそれぞれの推しメン色に変わり、《地獄の底まで楽しむぞ!》と、まさに絶好調! エンディングでステージが暗転し、メンバーが次の曲のフォーメーションを取ると、すぐさま次の曲は“ちゅるりちゅるりら”だと察知し歓声がわく客席(笑)。《せっせせーのよいよいよい》からの最上もがのソロパート。美しい歌声に思わず聴き入ってしまう。

でんぱ組.inc×神聖かまってちゃん@埼玉・本庄市民文化会館
相沢梨紗が「かがやきツアー2015、2日目だよ〜! みんな、どうにか生き残ってくれててありがとう」と客席に語りかける。そして、「次の曲、久々じゃない?」と、“ブランニューワールド”へ。静かな歌い出しからサビへと続く流れは、エモさ全開。こういう曲をしっかりと聴かせる実力に、改めて感服させられる。ライヴでも、曲の持つ物語がしっかりと耳に入ってくるのだ。続く、“W.W.D”はまさに圧巻! 古川未鈴→夢眠ねむ→相沢梨紗→藤崎彩音→成瀬瑛美→最上もがの順でソロパートが進行していくのに合わせ、客席のペンライトの色も赤→緑→白→青→黄→紫とスイッチングされていき、そのタイミングの完璧さたるや! 《マイナスからのスタート 舐めんな!》。そうだ、この気持ちこそ、神聖かまってちゃんのメンバーやファンもシンパシーを感じる所以なのだと思う。マズイ、泣きそう。さらに“キラキラチューン”“でんでんぱっしょん”と、ストーリー性の高い曲が続く。そして夏らしく“おつかれサマー!”では会場中でタオルがぶんぶん振り回されて、屋内ながら一足早い夏フェス気分も満喫。迎えるラストは“サクラあっぱれーしょん”。ペンライトの色はピンク一色。底抜けに明るいこの曲で、祭りの終わりを惜しむように会場中が飛び跳ねる。メンバー全員のヴォーカルとダンスは最後まで乱れることなくキレキレだった。

でんぱ組.inc×神聖かまってちゃん@埼玉・本庄市民文化会館
アンコールでは全員が「かがやきツアー」Tシャツに着替えて登場。曲前にはヨーロッパツアーでのエピソードなども語ってくれた。「クロワッサンを食べすぎたみたいで、ほんとはもっと太ももに隙間があったはずなのに……」と夢眠ねむがボソリと笑いを取ったり、フランスやイタリアでのMCが大変だったことなどを聞くにつけ、マイナスからのスタートがいまや世界に広がっていることに思わず胸がアツくなる。「全力でいきますか〜!」と始まったアンコール曲は“でんぱれーどJAPAN”。余力を残すことなど考えないパフォーマンス。曲のエンディングで倒れ込むと、しばらく起き上がれないほどの全力を目の当たりにして、心拍数は上がりっぱなしだった。

でんぱ組.inc×神聖かまってちゃん@埼玉・本庄市民文化会館
すべての曲が終わり、最後に神聖かまってちゃんのメンバーをステージに呼び込む。の子はずっと舞台袖でライヴに見入っていたらしい。出演者全員が客席をバックに記念写真を撮影し、本日の公演は終了。しかしまだまだ名残惜しそうなの子。見かねたちばぎんが、の子の足をつかんで強引に引きずっていこうとすると、「か、かがやいてたぞ〜、みんな!」と、引きずられた体勢のままで、でんぱ組.inc、そして今日の観客への感謝のメッセージを叫んでいたのが印象的だった。本当にこの組み合わせのライヴは、この一夜だけではもったいない。ぜひ、2組での全国ツアーを実現すべきだと思ったのは、私だけではないはずである。(杉浦美恵)
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