女王蜂@赤坂BLITZ

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女王蜂の約3年ぶりの全国ツアーにしてアルバム『奇麗』のレコ発ツアー「女神たちの売春」。そのファイナル公演が赤坂BLITZにて行われた。開演時刻ちょうど、童謡“春が来た”をバックに現れたアヴちゃん(Vo)/やしちゃん(B)/ルリちゃん(Dr)/ひばりくん(G)、そしてサポートのキーボーディストの5人。アルバムの1曲目でもある“一騎討ち”でライヴを始めた。

女王蜂@赤坂BLITZ
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“火の鳥”のあとはアルバム収録曲を連続で演奏。観客はジャンプしたりジュリ扇を振ったりと早くもテンション最高潮だ。重厚かつカラフルに咲き乱れるサウンド。そのなかでアイコンタクトを取りながら音を合わせたり、晴れやかな表情でフロアを見渡したり、メンバーたちの楽しげな姿が印象に残る。「化けの皮を剥いでもいいでしょうか」と“ヴィーナス”に突入すると肌を痺れさせる轟音が炸裂だ。キーボーディストが学校のチャイムのメロディを奏で“折り鶴”“告げ口”へ。静寂と激情を行き来し、観る者すべてを石にしてしまいそうなほどの気迫に満ちた演奏。女王蜂のなかにあるアク――人間の腹の底で煮えているドロドロした部分――に焦点を当てたこの2曲に、会場中が固唾を飲んで見入ったのだった。アヴちゃんが一人二役的に歌う“売春”以降、脳天直下のアッパーチューンで畳み掛ける。13曲目“イミテヰション”のあとにこの日初のMC。赤坂BLITZは3年前にもライヴを行った思い出の地であることに触れ、「楽屋に行くにもここに下りてくるにも感慨深かったけど、この素敵なフロアよ!」と共にその場を作り上げた観客を讃えたのだった。そしてバラード “始発”“鉄壁”で本編は終了した。

女王蜂@赤坂BLITZ
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盛りだくさんのアンコールではまずアヴちゃんとひばりくんが登場し、アコースティック編成で“髪の毛”を届ける。再び5人が揃うとゲストの篠崎愛を呼び込み、コラボ曲“売旬”を披露。本編でも演奏した“売春”の表記を変え、女役:篠崎、男役:アヴちゃんで歌い進める同曲。互いの手と手を合わせたり一緒に手拍子をしたりと、活き活きと歌いきる2人である。篠崎が去ると『美少女戦士セーラームーンCrystal キャラクター音楽集Crystal Collection』に提供した火野レイのキャラソン“火の海”、さらに、7月22日リリースのEP『失神』(詳細はこちら→http://ro69.jp/news/detail/126440)に収録の新曲“スリラ”を演奏。狂乱を醒ますことないまま“バブル”へと繋げた。

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「1回活動休止を挟んで、3年ぶりに全国ツアーをして各地満員御礼で。当たり前なことではないと思います」とアヴちゃん。40代男性から貰った手紙に書かれていた「俺のために歌ってくれてるんじゃないかと涙が止まりませんでした」という言葉が嬉しかったと言いながら、「みんなの歌を作るために今までやってきたんだなと思ったツアーでした」と真っ直ぐに伝えたのだった。彼女がハイヒールを脱ぎ捨てギターを構えると“緊急事態”へ。フロアからは大音量の歌声。「自分が作ったものを一斉に歌われるとクるものがありますね」と言葉を詰まらせたあと、歌詞の〈あなた〉を〈あなたたち〉に替えた瞬間はあまりにも美しかった。鳴りやまない拍手に応えて急遽演奏されたダブルアンコールの“人魚姫”まで、『奇麗』から始まる新しいモードを謳歌していくバンドが鮮やかな熱狂を生み出していくような、潔さを感じる快演だった。なお、女王蜂は8月1日、ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2015に出演。彼女たちの新章をぜひ体感してほしい。(蜂須賀ちなみ)

●セットリスト

01. 一騎討ち
02. 火の鳥
03. 泡姫様
04. ワンダーキス
05. もう一度欲しがって
06. ヴィーナス
07. Ψ
08. 折り鶴
09. 告げ口
10. 売春
11. 80年代
12. デスコ
13. イミテヰション
14. 始発
15. 鉄壁

(encore)
01. 髪の毛
02. 売旬
03. 火の海
04. スリラ
05. バブル
06. 緊急事態
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