「Seven's-Leaf Clover」(GOOD ON THE REEL、Suck a Stew Dry)@LIQUIDROOM

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ライブ制作会社SEVEN’S ENTERTAINMENTが企画するライヴイベント「SEVEN’S ENTERTAINMENT presents “Seven’s-Leaf Clover vol.1”」。記念すべき第1回目としてSuck a Stew Dry、GOOD ON THE REELのツーマンライヴが行われた。希望も絶望も照らし出しながら「生きたい」「生きよう」と歌い続ける2組だからこそ生み出せた、輝きに満ちた光景が会場いっぱいに広がったのだった。

「Seven's-Leaf Clover」(GOOD ON THE REEL、Suck a Stew Dry)@LIQUIDROOM
「Seven's-Leaf Clover」(GOOD ON THE REEL、Suck a Stew Dry)@LIQUIDROOM
先手はSuck a Stew Dry。シノヤマコウセイ(Vo・G)が両手を大きく広げながら一言挨拶したあと、1曲目“世界にひとりぼっち”へ突入した。真っ白な照明とともにバンドのサウンドが溢れ出し、それを受けたオーディエンスが高らかに腕を上がる。「今日はSuck a Stew Dryは6人、GOOD ON THE REELは5人ということで人数では勝っているから……分からないかもしれないから説明するけど、この5人と客席にいるみんなとでSuck a Stew Dryなんだよ!」とMC担当・フセタツアキ(G・Cho)が熱く語るなか、弾むリズムが楽しいカントリーテイストの“アイドントラブユー”ではハンドクラップが発生し、会場はあっという間にハッピーなムードに包まれた。「GOOD ON THE REELはみんなイケメンで千野くんは歌が上手くて。いいなぁと思うけどそうなれるわけでもなく、自分には自分の良さがあると信じようとしても難しいなぁって。世の中には欲しくても手に入らないものがあるっていう曲を」(シノヤマ)という言葉が添えられたのは“ないものねだり”。ポジティヴにはなりきれない、というかむしろ歌っていることはネガティヴだけど、だからこそこの歌が響く人がいるし、誰かにとっての光になりえる――オーディエンスと笑いあう5人の様子は、まるで、彼ら流のポップの在り方の具現化そのもののようだった。終盤にかけてぶ厚くなるサウンドが聴き手の胸に迫る“空想少女リリー”を経て、「フセタツアキの不思議なお話」と題したMCコーナーへ。フセが「バスマットを脱衣所に敷いたまま家を出たはずなのに、帰ってきたら玄関に移動していた」というエピソードを語るなか、PAがその声に程よいリバーブをかけ、さらにハジオキクチ(G・Cho)が効果音を加え、シノヤマが合間にすかさずツッコミを入れる……と、演奏以外の場面からもチームプレーが垣間見られた。「また生きて会いましょう」と“遺失物取扱所”でオーディエンスとの再会を約束し、GOOD ON THE REELにバトンタッチだ。

「Seven's-Leaf Clover」(GOOD ON THE REEL、Suck a Stew Dry)@LIQUIDROOM
「Seven's-Leaf Clover」(GOOD ON THE REEL、Suck a Stew Dry)@LIQUIDROOM
ピアノが流麗なフレーズを奏でるSEが鳴り、舞台幕がゆっくりと開き、ステージから青色の光が漏れるなかメンバーが登場。そのまま“カルキニクハ”へ――というオープニングが幻想的だったGOOD ON THE REEL。「今日は待ちに待ったSuck a Stew Dryとのツーマン! もっともっと素晴らしい今日にしようよ!」と千野隆尋(Vo)が語りかけ、盟友との共演を祝うかのように“素晴らしき今日の始まり”が鳴らされた。続く“シャワー”では、歌詞に合わせてオーディエンスが腕をぐるんと回し、千野はフロアへ手を振ったりジャンプしたりと大きく動き回る。宇佐美友啓(B)は「6人目のSuck a Stew Dryのみなさん、こんばんは」とオーディエンスに挨拶。ツーマンライヴをやることの特別さに触れながら、2バンドの関係性についてもはや「恋人のようなもの」だと語った。千野の絶唱が胸を抉るようだった“花”、高橋誠(Dr)のビートを筆頭にバンド全体のサウンドが一段階ヘビーになった“アイスランド”と、曲間を途切れさせない構成に、食い入るようにステージを見つめるオーディエンス。迸る熱量がピークに達した“ホワイトライン”では込み上げてくる想いがあったのだろうか、伊丸岡亮太(G)はギュッと目を閉じながら演奏し、岡崎広平(G)も衝動的に拳を突き上げていた。そして、「素敵だなと思ったからみんなに話したくて」と、本イベント名:7つ葉のクローバーには「無限の幸福」という花言葉があるということ、4つ葉のクローバーができる要因のひとつに「人に踏まれて傷がついたところを守るように葉が生えてくるから」というものがあるということを語る千野。「痛みがないと幸福って分かりにくいじゃん。だから最後にみんなに幸福を持って帰ってもらうために、僕たちから痛みを贈りたいと思います」と喪失の悲しみを描いた“24時間”を最後に届けた。鳴りやまない拍手に応えて再登場した5人はアンコールにて“ハッピーエンド”を演奏。【「無限の幸福」を予感させる音楽が集う】という本イベントのコンセプトに相応しいフィナーレだった。(蜂須賀ちなみ)

■セットリスト

〈Suck a Stew Dry〉
01. 世界に一人ぼっち
02. アイドントラブユー
03. ユーズドクロージング
04. ないものねだり
05. 七階
06. 空想少女リリー
07. モラトリアムスパイラル
08. 僕らの自分戦争
09. 遺失物取扱所

〈GOOD ON THE REEL〉
01. カルキニクハ
02. 素晴らしき今日の始まり
03. シャワー
04.202
05.花
06.アイスランド
07.ホワイトライン
08.24時間
(encore)
09.ハッピーエンド
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