tricot@Zepp DiverCity

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「『tricotのワクワク変拍子旅行 2015』、ついに来たぜZepp DiverCity! 今日はワクワクしてきましたか、みなさん?」と序盤からハイテンションなキダ モティフォ(G)のコールにも、「10代の方どれぐらいいますか?(前方で挙手多数)大丈夫、こんなとこ来て? お母さんに『変拍子のバンド観に行くねん』ってちゃんと言った?」とフロアを沸かせる中嶋イッキュウ(Vo・G)の表情にも、この日のステージへの万感の想いがあふれている。3月18日にリリースした2ndフルアルバム『A N D』を携えて、名古屋/大阪/札幌/東京/広島/福岡の6都市を巡るツアー『tricotのワクワク変拍子旅行 2015』の東京:Zepp DiverCity公演。結成当時から目標に掲げてきた夢のZeppワンマンの舞台で、tricotが研ぎ澄ませてきた変拍子アンサンブルと情熱が渦巻いていた。[以下、一部曲目について記述があります]

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凄絶なキメから鋭利な9拍子へと流れ込んでみせた“E”。アグレッシヴな躍動感を全開放してフロアを揺らした“Noradrenaline”。そして、御輿状態でフロア中央まで運ばれたキダがホイッスル、中嶋がマラカス、ヒロミ・ヒロヒロ(B・Cho)がカウベルを手にZepp DiverCityを一大サンバ天国へと塗り替えてみせた“庭”……最新作『A N D』収録曲をセットリストの軸に据えつつ、5拍子/シャッフル3拍子/狂騒ダンス・ビートが入り乱れる“POOL”、中嶋の歌い上げる狂おしいメロディと美麗コーラスが胸に迫る“おやすみ”をはじめとする前作アルバム『T H E』の楽曲なども含め、サポート・ドラマー=山口美代子とともに結成以降の4年半の足跡をこの一夜に深々と刻み込むような、渾身のステージだった。

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5拍子や7拍子など「非3拍子・非4拍子系」の変拍子も盛り込みながら、同じ楽曲の中でもリズムを変えBPMを変え、ミステリアスかつドラマチックな音楽世界を構築するtricot。勢いや惰性の「ノリ」を排し、己の感情や思考のうごめきを大胆かつ精緻なプレイ越しにひとつひとつ描き出すことで、彼女たちは独自のグルーヴ感と緊迫感と熱量を生み出してきた。異形を描くツールとしての変拍子ではなく、三角形と四角形を組み合わせてダイヤモンドの如き輝度と強度に到達するような切実な表現……幾何学模様のように観る者の交感神経を刺激するキダのギターフレーズも、力強くうねるヒロミのベースも、時にエモーショナルに/時にコケティッシュに響く中嶋のヴォーカルも、そのすべてが「tricotの音楽」という一点に向かって炸裂し、フロアを熾烈な高揚感で包み込んでいた。

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「tricot結成した時の目標を『2年でZeppワンマンする』って言ってて……4年半かかりました!」とキダはフロアを見渡してその感慨を露にしていたし、中嶋は「4年半、心の糧にしてきた今日は、どんな景色でしょうか? かかってこいやああああっ!」の絶叫で本編の終わりを大歓声とクラウドサーフの嵐で飾ってみせた。「tricotは、すごい速さで遠回りしたバンドだと思ってて」と中嶋がアンコールで語る。「だから、誰にも見つけられへんような近道を見つけられると思ってます。遠回りした間に、いろいろ犠牲にしたし……まあでもこうやって、良い時も悪い時も味方でいてくれたみなさんを、裏切ることはしないと思っておりますので。ありがとう!」。そんな中嶋の言葉に、惜しみない拍手喝采が降り注いでいた。

同ツアーでは会場のスケッチブックに「一番好きなtricotの曲とその理由」を書いて参加するSNS連動アート企画「ワクワク変拍子旅行 旅のスケッチブック」も実施中。ツアーは残すところ4月25日:広島・ナミキジャンクション/4月26日:福岡・LIVEHOUSE CBの2公演のみ。そして、「JAPAN JAM BEACH 2015」の5月5日出演&5月3日のZAZEN BOYS×中嶋イッキュウ共演も目前!(高橋智樹)
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