モーモールルギャバン@恵比寿LIQUIDROOM

モーモールルギャバン@恵比寿LIQUIDROOM - モーモールルギャバン/photo by ペータモーモールルギャバン/photo by ペータ
「みんなに会いたくて、寂しかった! みんなも寂しかっただろ?」とヴォイスチェンジャー越しに語りかけるT-マルガリータ(ベース)に続けて、「マルは『寂しい』って言ってたけど、俺は全然寂しくなかったよ! なぜなら……毎日エゴサしたら、誰かが絶対つぶやいてくれてたから!」とゲイリー・ビッチェ(ドラムス&ボーカル)が声の限りに叫び上げると、満場のフロアがさらなる熱気と歓声に包まれていく――。昨年5月の公演を最後にライヴ活動無期限休止を宣言していたモーモールルギャバンが、約10ヵ月ぶりにステージに復活!ということで、京都:tricot/東京:アルカラ/名古屋:キュウソネコカミをゲストに迎えて行われている復活ツアー「蘇る無茶と野獣ツアー2015」。その東京会場=LIQUIDROOM ebisuに開演前から濃密に渦巻いていたファンの期待感と、モーモールルギャバンのリミッター外れた高揚感がぶつかり合って灼熱の祝祭感を生み出した、至上のアクトだった。[※以下、セットリストおよび演奏内容についての記載があります]

モーモールルギャバン@恵比寿LIQUIDROOM - アルカラ/photo by Taichi Nishimakiアルカラ/photo by Taichi Nishimaki
モーモールルギャバン@恵比寿LIQUIDROOM - アルカラ/photo by Taichi Nishimakiアルカラ/photo by Taichi Nishimaki
モーモールルギャバン@恵比寿LIQUIDROOM - アルカラ/photo by Taichi Nishimakiアルカラ/photo by Taichi Nishimaki
まずは「ロック界の奇行師」アルカラ。いきなり冒頭の“開脚宣言”でモーモールルギャバンお馴染みの「パンティー!」コール&レスポンスを巻き起こし、“キャッチーを科学する”“癇癪玉のお宮ちゃん”“チクショー”と熾烈なアルカラ名曲群の連射で観る者の理性と統制のタガを外しにかかる。現在開催中のアルカラ全国ツアー「ついに来てしまいましたTOUR2015」に復活早々モーモールルギャバンも出演、そのファイナルではインビシブルマンズデスベッドが一夜限りで復活することに触れた稲村太佑(Vocal&Guitar)、「アルカラのライヴしてたら、対バンしてたバンド全部復活するんちゃうかなと思って。FUZZY CONTROL(「ガイコツアー2014」に出演)も活動休止しますけど、絶対復活させますから。そしたら、俺らのことザオリク(『ドラクエ』の蘇生の呪文)って呼んでください!」と煽り倒したところで、爆裂ナンバー“おうさまと機関車”からライヴは怒濤のクライマックスへ。ラストの“交差点”で再び「パンティー!」コール&レスポンスを巻き起こした稲村は、クラウドサーフを決めながら「J-POPの限界!」とアルカラのキャラ「くだけねこ」模様のパンツを露にするなど、モーモールルギャバンへ渾身のオマージュを捧げてみせた。

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そして、いよいよモーモールルギャバン登場! 1曲目“ユキちゃんの遺伝子”からジャンプとシンガロングでフロア激震の熱狂空間へ突入したLIQUIDROOMは、ユコ・カティ(キーボード&ボーカル&銅鑼)の「帰ってきたぞおおおおっ!」の絶叫でさらに熱を帯びていく。“裸族”のバスドラムのシンコペーション、ユコの多彩なエレピ使い、T-マルガリータのパワフルなベースラインが快楽中枢を刺激しながら、観る者すべてを狂騒の坩堝へと誘う……メンバーそれぞれが自身のリーダーバンドを率いてもおかしくない3つの才気がせめぎ合い絡み合いながら、「キーボードトリオ」の概念を超越したダイナミズム至上主義的なライヴ空間を描き出し、オーディエンスとともに歓喜の頂めがけて爆進するモーモールルギャバン。その潔いまでのバンド哲学に裏打ちされた爆発的なエモーションが、この日のステージの随所から轟々とあふれ出していた。「ザオリクさんのおかげで、今日復活を迎えることができました!」とゲスト、アルカラへの感謝を伝えるゲイリーの言葉もはちきれんばかりの熱量に満ちている。

モーモールルギャバン@恵比寿LIQUIDROOM - モーモールルギャバン/photo by ペータモーモールルギャバン/photo by ペータ
“ハイヒールブルース”など『モーモールル・℃・ギャバーノ』(2014年6月)の楽曲を交えつつ、“細胞9”“POP! 烏龍ハイ”など一撃必躍のライヴ・アンセムを次々に撃ち放っていく3人。「俺たち今日のために、京都から東京に引っ越してきたんだよ!」と意気込みを叫ぶゲイリーは序盤から全身を汗で光らせまくっているし、ハードコアダンスナンバー“野口、久津川で爆死”ではT-マルガリータ柵前突撃だけでなくユコ・カティも鍵盤を担ぎ上げオーディエンスに挑んでいく。終始ハイテンションモードのまま、“LoVe SHouT!”“ユキちゃん”“サノバ・ビッチェ”でなおもフロアを揺らし、“サイケな恋人”では圧巻の「パンティー!」コール&レスポンスやゲイリーの「パンツを脱いだ下にパンツ」のモーモー名物「J-POPの限界」も披露。3人のアンサンブルがカオティックに極まり、ユコの銅鑼が鳴り渡って……本編終了。

アンコールではT-マルガリータが「お知らせがあります!」と、6月24日にフルアルバムをリリースすることを発表。アルバムタイトル『シャンゼリゼ』をマル/ユコ/ゲイリーが三者三様に叫び上げ、会場一面の熱気が天井知らずに高まっていく中、“パンティー泥棒の唄”から“スシェンコ・トロブリスキー”の一大シンガロングで大団円! 「ライヴ完全復活」どころではない超弩級の感激と躍動感を呼び起こした、最高のステージだった。次回公演はキュウソネコカミを迎え4月28日、名古屋CLUB QUATTROにて!(高橋智樹)

[SET LIST]

■アルカラ
1.開脚宣言
2.キャッチーを科学する
3.癇癪玉のお宮ちゃん
4.チクショー
5.おうさまと機関車
6.どうでもいいウタ
7.夢見る少女でいたい。
8.半径30cmの中を知らない
9.交差点

■モーモールルギャバン
1.ユキちゃんの遺伝子
2.裸族
3.細胞9
4. POP! 烏龍ハイ
5.頭が臭いと君にいわれ5日振りに風呂に入った
6.ハイヒールブルース
7.野口、久津川で爆死
8.愛のテーマ
9. LoVe SHouT!
10.ユキちゃん
11.サノバ・ビッチェ
12.サイケな恋人
en1.パンティー泥棒の唄
en2.スシェンコ・トロブリスキー
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