THE BAWDIES@日本武道館

THE BAWDIES@日本武道館
ステージを隠す紗幕には、THE BAWDIESのレコードを少年が拾い集めていくうちに武道館に辿り着くという内容のムービー。4人のシルエット映像が実物に変わった直後に幕が落ち、グレーのスーツを着たメンバーが姿を現し、同時に真っ白な照明が溢れ出した。――昨年末に発売された、結成10周年&メジャーデビュー5周年を締め括るアルバム『Boys!』を引っ提げた「『Boys!』TOUR 2014-2015」、ツアーファイナルにしてバンドにとって2度目の日本武道館単独公演。「ビートルズがここで生のロックンロールを伝えたことによって、日本のロックンロールの歴史が始まったんですよ!」と上気した様子でROY(Vo・B)も言っていた通り、武道館がロックの殿堂と言われているのは衆知の事実。加えて、愛するロックンロールを根付かせるために表舞台に立ち続けるTHE BAWDIESにとっては非常に重大な場所なのだが、そうして自らがステージに立つ意義をしっかり理解して突き進んできたバンドだからこそ、武道館のステージ上で最高に輝くことができたのではないだろうか。

アルバムの曲順通り、“NO WAY”“WHAT YOU GONNA DO”でスタート。開始早々アッパーチューンが続くなか、特に印象的だったのは、音・アクションの一つひとつがキマるたびに起こる大歓声。ROYがシャウトを轟かせれば、ライトアップされた花道をTAXMAN(G・Vo)が駆け抜ければ、JIM(G・Cho)が膝立ち状態で渾身のプレイをかませば、MARCY(Dr・Cho)がスネアを連打すれば、黄色い声も力強い声もあちこちから聞こえてくる。ひとつのバンドとして息を合わせて熱量を上げつつも、個と個のぶつかり合いで火花輝くようなサウンド。髪まで汗で濡らしながら「ロックンロールは感情の爆発です。考える前に腕が上がったり、勝手に涙が出てきたり、留まることができなくなって表に飛び出た感情をロックンロールと呼ぶんじゃありませんか!?」とROYは叫んでいたが、そんなバンドだからこそ観衆を駆り立て昂らせることができるのだろう。ROYが「全国のロック兄ちゃん姉ちゃん、心を裸にする準備はいいですか!?」と問いかけた頃にはもはやとっくにホーム状態。1曲終えるたびに空へ拳を掲げるメンバーのしぐさからも、手応えの良さが伝わってくる。

西遊記風の寸劇のあとに「伸びろ如意棒」ならぬ「伸びろソーセージ」で突入した“HOT DOG”。満天の星空のような照明が美しかった“CHERRY MASH”。音と光のシンクロが見事だったドラムソロ。レコーディングにも参加した女性ゴスペルシンガー・Olivia Burrellがゲスト出演した“LOVE YOU NEED YOU”“RECORD PLAYER”……などの中盤を経て、インディーズ期のアルバム『Awaking of Rhythm And Blues』収録曲のみで構成するメドレーから後半戦へ。4人それぞれがオフマイクでシャウトを炸裂させた“EMOTION POTION”、大合唱必至の“SING YOUR SONG”では特に客席の様子をよく見渡している4人である。また、先のMCにてROYに「ツアー中にテンションが上がりすぎて『札幌ー!』ではなく『スーパーロック』と叫んでいたから、今日は『武道館ー!』ではなく『お父さんー!』になるだろう」とフラれたTAXMANは、自身のメインヴォーカル曲“B.P.B”で「おとーさぁあああん!!」と絶叫! 爆笑と熱狂の波に乗って、オーディエンス、バンド共にさらにテンションを上昇させるのだった。そして「BAWDIESだけじゃなくてロックンロールを愛してくれてありがとう。これだけのパワーがロックンロールで生まれるなら、日本のポピュラーミュージックに食い込めると実感したツアーでした」(ROY)と、最新アルバムのラストチューン“TWISTIN' ANNIE”で本編終了。

アンコールでは、Olivia Burrell、ハマ・オカモト(B/OKAMOTO'S)、そして2年前にともにツアーを廻ったEli "Paperboy" ReedのサポートメンバーであるPatriq Moody(Trumpet)とMichael Roberts(Sax)を呼び込み、8人編成で演奏。さらにダブルアンコールではメンバーがアリーナフロアに登場、そのまま通路を通ってステージに上がる……という演出も行い、この日限定の掛け声「お父さんワッショイ!」でライヴを締め括ったのだった。前回とは異なり、ド派手な舞台装置とゲストを携えた武道館ワンマン。やりたいことすべて詰め込んだこれまでの結晶であると同時に、まだまだ続く未来をも予感させてくれた。新曲も披露されたし、バンド史上初となるホール公演「Shake! Shout! & Soul!」も発表されたし、バンドは既に先を見ている。それならばこれからも、それこそ80歳になるまで「Boys!」=少年であり続けながらロックンロールしていてほしいと心から思った。(蜂須賀ちなみ)

■セットリスト

01.NO WAY
02.WHAT YOU GONNA DO
03.ROCK ME BABY
04.HOLD ON
05.NICE AND SLOW
06.ANYTHING YOU WANT
07.CHERRY MASH
08.COME ON
09.KEEP YOU HAPPY
10.DANCING SHOES(新曲)
11.HOT DOG
12.KICKS!
13.LOVER BOY
---(Drum solo)---
14.A NEW DAY IS COMIN'
15.メドレー I Beg You~I'm In Love With You~My Little Joe~Shake Your Hips
16.LEMONADE
17.LOVE YOU NEED YOU
18.RECORD PLAYER
19.EMOTION POTION
20.B.P.B
21.IT'S TOO LATE
22.SING YOUR SONG
23.TWISTIN' ANNIE

(encore)
24.SHAKE A TAIL FEATHER
25.SOUL MAN

(encore2)
26.THE SEVEN SEAS
27.YOU GOTTA DANCE
28.JUST BE COOL
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