RIP SLYME@Zepp DiverCity

RIP SLYME@Zepp DiverCity
RIP SLYMEにしか出来ない、凄いライヴだった。今春、グループ結成20周年を記念して『20th ANNIVERSARY COMPLETE SINGLE BOX』を限定生産リリースした彼らだが、大阪・名古屋・東京で計5公演が行われてきた今回のツアーのタイトルは「SINGLE JUKE BOX」。その東京ファイナルの模様をレポートしたい。開演前の場内では「3 minutes to go…」「30 seconds to go…」といったカウントダウンのアナウンスが期待感を膨らませ、とても12月とは思えない熱気が立ち籠めていた。

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オーディエンスの盛大なコールと共にカウントダウンがゼロに到達すると、ステージ中央、宝石型のシルエットに目玉が乗っかったようなロゴ・マークがDJ卓に煌めき、DJ FUMIYAが繰り出すトラックはメジャー・デビュー・シングル“STEPPER'S DELIGHT”だ。そこにRYO-Z→PES→SUとマイク・リレーでMC陣が順に登場して喝采を浴び、ILMARIはDJブース、FUMIYAの隣に姿を見せる。メンバーが身に纏うツナギにもロゴ・マークが配されており、シームレスに“Dandelion”へと繋いでコーラス・パートで一面のクラップを巻き起こしていた。「長い長い秋のnight timeに、一緒にスウィングしませんか!?」と、RYO-Zがリリックを引用しつつ傾れ込むのはもちろん“BLUE BE-BOP”。ステージ左右のリフターに乗って4MCが高台に上昇すると、“ロングバケーション”ではILMARIの美声が映え、一方“One”ではユニゾンのコーラスにキャリアの深みを滲ませている。

「SINGLE JUKE BOXにようこそー! 今日はこんな感じで、60分のノンストップ・ミックス! 激しいナンバーだけじゃなく、こんなふうにメロウなナンバーも。次は “Hey,Brother”(映画『間宮兄弟』主題歌)。監督と皆さんに捧げます!」とRYO-Zが挨拶するのも束の間、ヒット・シングル乱舞のミックスは続く。イントロでRYO-Z×SUが鮮やかなダンスを決める“黄昏サラウンド”は、個人的に好きなSUのヴァースがカットされていてちょっと残念だったけれども、それぐらい矢継ぎ早な展開なのである。で、文末に載せたセット・リストを見て頂ければ分かると思うのだが、この辺りの序盤戦はメロウ・チューンの固め撃ちになっている。ということは、このままシングル曲のノンストップ・ミックスが続くとなると、後半戦はマジで休む暇もないアッパー・チューンの連打となってしまうわけだ。

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案の定というべきか、“STAIRS”でメロウ・サイドが一段落すると、ホット・ロッド・ロックンロールな“SPEED KING”でフラッシュライトに包まれながら急加速。“Hot chocolate”でオーディエンスの小気味良い合いの手が加わり、“雑念エンタテインメント”を挟んで「東京のパーティーピーポー! 最終日です! 盛り上がっていきましょう!!」と披露される“楽園ベイベー”と、FUMIYAのスクラッチングもてんこ盛りで逃げ場のないパーティ・タイムが続く。ステージの背景には、メンバー5人を模したシンプルなイラストが描かれている(酒を飲むRYO-Z、サーフィンするPES、2枚皿を掲げたFUMIYA、ギターを抱えたILMARI、そしてワンワンポーズのSU)のだが、4MCは時折リフターに乗って、作品のアートワークに用いられていたシンボル(『SPEED KING』のヘルメットを被ったガイコツ、『Hot chocolate』のマグカップ、『楽園ベイベー』のペンギンなど)を背景に貼付けてゆく。そんな演出も楽しい。

くるりとコラボした“ラヴぃ”から“GALAXY”という繫ぎがいいなあ、と惚けていると、突然金髪のヘアピースを被ってシャ乱Q“いいわけ”を歌い出したり、縄跳びを始めてしまったりと予想外の遊び心が盛り込まれて気が抜けない。“FUNKASTIC”以降は熱く濃密なファンキー・タイムに突入し、「雨の中ありがとう。ビッチョビチョだねえ。そういうの大好きだ!」「今日は思う存分、嫌なモヤモヤとかを吐き出していってください、お手伝いします!」と言葉を投げ掛ける。更には、テック・ハウスに踊る“ブロウ”から纏わり付くような“熱帯夜”でコール&レスポンスを巻き起こし、ここに来て快速ドラムンベースとタオル回しでかっ飛ばす“JOINT”である。

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そして「メジャー・シングル21タイトル、次が21タイトル目!」と放たれる“SLY”では、ファンキーなファルセット・ヴォイスも絡めてオーディエンスを魅了。急にジャジーなトラックが差し込まれ、「タモリさんが言ってました。ジャズという音楽があるんじゃない。ジャズな人が演奏すると、ジャズになるんだ」。そう語るRYO-Zの傍らには、スマホのトランペット・アプリを奏でるFUMIYAが。「ヒップ・ホップだろうがドラムンベースだろうが、EDMみたいに激しいのだろうが乗りこなせる皆さん、メンバーを代表して言わせてください。愛してるぜみんな!」とRYO-Zが続けて、“SLY”に戻る。未知の「楽しい」を開拓し続けて来たヒット・シングルの数々だからこそ成し得る、脅威のノンストップ・ミックスであった。

ロレッタ・ハロウェイ“Runaway”が鳴り響く中、ツナギの上半身をはだけて半袖シャツ姿になり、意気揚々と「お風呂に入るためだけにジムに行くんですが、昨日のライヴが終わって、今日またジムに行ったら、体重が2キロ減ってました。楽しく遊んで、楽しく痩せる、RIP SLYMEです」と語るRYO-Z。FUMIYAは、メンバーから飛び交う言葉をカットアップして遊んだりしている。そしてこの後には、このところ制作に打ち込んでいたという新曲のお披露目タイムへ。「身も心も移り気な女の子の歌で、でも俺のものにはならない、みたいな……」「ヤリマンですね」「ヤリマンて言うな。まあビッチですね」と紹介された“POPCORN NANCY”は、ギター・リフ押しのブギーなトラックかと思えば、後半はラテン・パーカッションが前面にせり出すという、リップの雑食グルーヴが全開になったナンバーだ。続いてもう一曲のシングル“FEEL”は、「自分だけの高まり、俺たちだけの高まり。“SLY”に続く、オトナなダンス・チューン」と説明された、ピアノのリフレインにも彩られる煌めきの一曲である。

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そしてRYO-Zは、ラップの難しさを引き合いに、自分の声で、自分の言葉で語るコミュニケーションの大切さを伝えると“Tales”を披露。SUがシャ乱Q“シングルベッド”の一節をアカペラで歌い上げる一幕の後には、再びノンストップ・ミックスを放つ終盤戦へと向かう。チアリーディング風の振りで踊りまくる“RUN with...”や情熱的なスパニッシュ・ギターが燃え盛る“SCAR”、「今日はもちろん、俺たちにとっても最高です!」と締め括られる“Good Times”まで、スキルと体力をすべて注ぎ込むかのようなステージ本編を駆け抜けるのであった。

アンコールでは、シングル・ボックスを模したディスプレイ用オブジェを来場者にプレゼントするための抽選が行われ、はたまたPESが「縄跳びを成功させたい。出来るはずなのに、出来ないと思われるのが嫌だな」と負けん気を発揮。ILMARIの縄跳びの中に飛び込んで見事に二人跳びを成功させていた。「自分たちで大道具も兼ねるという、身ひとつで見せるライヴでした(笑)」という言葉の後には、インディーズ時代からのフレッシュなラップ・リレー“UNDERLINE NO.5”を決め、あらためてスタッフとファンに感謝の言葉を投げ掛ける。来年にはニュー・アイテムを届けてビシッとツアーしたい、という意気込みも語ると、コール&レスポンスから突入する“マタ逢ウ日マデ”で、今回のパフォーマンスはフィニッシュ。FUMIYAがリフターに乗り、「ADIOS!」の文字を貼付けて手を振るのだった。

RIP SLYMEは12/23に、所属レーベル主催の「unBORDE Xmas PARTY 2014」に出演を予定し、その翌日12/24には恒例のクリスマス・ライヴ(今回のタイトルは「CHRISTMAS ON THE BEACH」)を開催する。さて、こうなると年末COUNTDOWN JAPAN 14/15のライヴはどんなパフォーマンスを見せてくれるのだろうか。こちらの出演は12/28、18:00からEARTH STAGE。ぜひお楽しみに。(小池宏和)

■セットリスト

01.STEPPER'S DELIGHT
02.Dandelion
03.BLUE BE-BOP
04.ロングバケーション
05.One
06.Hey,Brother
07.黄昏サラウンド
08.STAIRS
09.SPEED KING
10.Hot chocolate
11.雑念エンタテインメント
12.楽園ベイベー
13.ラヴぃ
14.GALAXY
15.FUNKASTIC
16.ジャングルフィーバー
17.太陽とビキニ
18.ブロウ
19.熱帯夜
20.JOINT
21.SLY
22.POPCORN NANCY
23.FEEL
24.Tales
25.I・N・G
26.RUN with...
27.SCAR
28.Good Day Remix
29.Good Times

(encore)
30.UNDERLINE NO.5
31.マタ逢ウ日マデ
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