the telephones@Zepp Tokyo

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the telephonesによる「〜Japan Tour 2014〜 ”SUPER HIGH TENSION DISCO!!!”」の特別公演「Keep Standing, ISHIGE」。サブタイトルに「?」が浮かんだ人のために説明しておくと、昨年の今日、Zepp DiverCityでのワンマン公演中に石毛輝(Vo・G・Syn)が酸欠で倒れるというアクシデントが起こった。そのリベンジとして、1年後の今日、最新アルバム『SUPER HIGH TENSION!!!』を引っ提げた全国ツアーの追加公演として行われたのが「立ち続けろ、石毛」というサブタイトルを冠したこの日のステージなのである。そんなイベント趣旨を物語るように、暗転と同時にスタートしたのは昨年の事件を振り返ったオープニング映像。大爆笑に包まれる場内に、お馴染みのSE“happiness,happiness,happiness”が流れてミラーボールが回り出し、石毛を乗せたタンカを運び込んでメンバー入場! タンカから降りた石毛の「去年は倒れたけど今年は倒れねぇぜ! 倒れないように一緒にみんなで踊ってくれー!」というシャウトに満場のオーディエンスから大歓声が沸き起こり、1曲目の“Take Me Higher”から会場のZepp Tokyoはいきなりレッドゾーン振り切れんばかりの熱狂に包まれてしまった。

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スペシャル公演のためか、メンバーもオーディエンスも異常なほどのハイテンション。ノブこと岡本伸明(Syn・Cowbell・Shriek)は1曲目で早くも上着を脱ぎ捨て、タンクトップ1枚でステージを所狭しと飛びまわる。“D.A.N.C.E to the telephones!!!”“Hot Hot Summer”では盛大なクラップとオイコールが沸き起こり、ありったけの歓喜を爆発させるオーディエンス。続く“Fire,Fire,Fire”ではステージ背後で4本の火柱が噴き上がり、むせ返るような場内の熱気をさらに熱く燃え上がらせていく。そのまま雪崩れ込んだ“D.E.N.W.A”で、ライヴは早くも最初のピークポイントに。ビュンビュン飛び交うビートとシンセ音に乗せて、バンドとオーディエンスが一体になって叫び踊りまくる図は、何度観ても壮観だ。さらに石毛の痛烈なギター音からスタートした“Ex-Boyfriend”で一気に昇天してしまったのだが――この序盤の流れを観ただけで感じたのは、最新アルバムの楽曲が加わることで、ライヴ全体の奥行きがグッと増していること。最新アルバムはどっしりとした重みを感じさせる楽曲が多い印象だが、それが従来のアゲアゲの楽曲と折り重なることで、明と暗のコントラストが際立ち、アップチューンでのダイナミックな跳躍力に繋がっているような気がした。ツアーを終えたばかりということもあり、バンドの演奏も肉体性を増している様子。まさしくライヴバンドとして更なる進化を遂げたthe telephonesの「今」を鮮烈に見せつけるような怪演に、思わずニンマリさせられる序盤であった。

「石毛さん、大丈夫?」というお客さんの問いかけに、「まだまだ大丈夫だぁ!」と応える石毛。実は今回のツアーは頭の2本を石毛がインフルエンザに倒れたために延期していて、その話に触れつつ「最初から倒れたぞ、石毛って感じなんですけど……」という自虐トークで笑わせる。しかし「色々ドラマがあった分、今の俺たちの音は重みがありますよ」と再び演奏をスタートさせると、一転してシリアスな展開に。“It’s Alright To Dance(Yes!!! Happy Monday!!!)”で深淵たる世界に誘い、“electric girl”でオーディエンスを一心不乱に踊らせると、青く眩い音像が広がるインタールード“Space Communication”からの“Starship Romance”で一気に宇宙へと上り詰める。それまでバンドのバックドロップが掲げられていたステージ背景にスペイシーな映像が流れる中、堂々と、壮麗に鳴り響くバンドサウンド。1曲ごとにアゲ倒していくようなアッパーな展開ではないけれど、どこかコンセプチュアルな匂いすら感じる展開に、自然と心と身体が持っていかれるような感覚に陥る。その後、浮遊感溢れるダンスタイムを築いた“My Final Fantasy”に至るまで、壮大なドラマとファンタジーが重みあるサウンドによって描かれた緊張感漂う名演だった。これも、最新アルバムツアーを経ての進化の表れと言えるのかもしれない。

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「今日は特別公演なんだよ、まだまだ行こうぜー!」というノブの煽りを経て、「1年前の今日、俺はこの曲で倒れた。今日は倒れないぜー!」という石毛の絶叫から“Keep Your DISCO!!!”スタート! ステージ背後には再びバンドのバックドロップが掲げられ、けたたましいオイコール巻き起こる場内は疾風怒濤のディスコ・タイムへと雪崩れ込んでいく――のだが、曲の途中でバタリと倒れる石毛! すかさずノブ、長島涼平(B・Cho)、松本誠治(Dr)が駆け寄り、ドクターとナースに扮したスタッフがステージ袖から登場する。そして「石毛がまた倒れた!」とノブ。勿論これは小芝居で、お客さんの石毛コールで立ち上がり、ドクターの許可を得てプレイ再開!――しようとするも再び倒れて石毛コールで復活!というクダリを経て、なんとか曲を演奏しきる。でもこれでライヴのテンションが急激に高まったのは明らかで、“HABANERO”では揉みくちゃになって踊り狂うオーディエンス。続く“Lucky People 2014”の途中では「皆の中から一人だけLucky Peopleを選びます!」とお客さん一人をステージに上げ、段ボール職人・涼平特製の段ボール東京タワーギターを持たせて一緒にプレイする。ちなみにこのギター、東京タワーの実寸の100分の1のサイズ、つまり3.33mで作られているそうです。本当に、こんな小ネタにまで異常に手が込んでいる。

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そしてあっという間にライヴは終盤、“Monkey Discooooooo”で一糸乱れぬコールを引き起こし、“I Hate DISCOOOOOOO!!!”で頂点へ! “Hyper Jump”では黒服を着た4人の「JUMP審査員」が入場し、彼らの厳重なる審査の元でフロア一丸のハイジャンプが勃発する。そして「あと1曲だ! この1曲で声も身体も心も解放しようぜー!」というノブの絶叫から“Don’t Stop The Move, Keep On Dancing!!!”発射! あらん限りのエネルギーを使って歌い踊るオーディエンスを前に、永遠に止まることないダンス熱を力強く解き放って本編を締めくくった。アンコールでは、毎年12月23日に開催している年末恒例ワンマンについても言及。結成10周年イヤーとなる来年に向けた様々な告知をそのライヴで行うので、是非とも足を運んでほしいと告げる。そして“urban disco”で再びフロアを熱狂のダンス空間に落とし込むと、巨大なミラーボールが回る中の“Love&DISCO”で圧巻のフィナーレ! 恒例のオーディエンスとの記念撮影を行い、「12月23日にまた会いましょう!」という石毛の絶叫とともにこの日のステージは幕を閉じた。

1年前の事件も笑いに変えて、the telephonesの「今」をパワフルかつコミカルに解き放った2時間。ツアーに属さない特別公演だったからこそ、彼らのライヴバンドとしてのポテンシャルの高さがあらゆる方面から発揮されたアクトだったと思う。12月23日の年末ワンマンの前には、先述した石毛のインフルエンザにより延期となっていた埼玉の川口・越谷での振替公演も控えている。1年前のリベンジを見事に果たしたこのステージを経てのライヴ、乞うご期待である。(齋藤美穂)

■セットリスト

01.Take Me Higher
02.D.A.N.C.E to the telephones!!!
03.Hot Hot Summer
04.Fire,Fire,Fire
05.D.E.N.W.A
06.Ex-Boyfriend
07.It’s Alright To Dance(Yes!!! Happy Monday!!!)
08.electric girl
09.Space Communication
10.Starship Romance
11.My Final Fantasy
12.Keep Your DISCO!!!
13.HABANERO
14.Lucky People 2014
15.Monkey Discooooooo
16.I Hate DISCOOOOOOO!!!
17.Hyper Jump
18.Don’t Stop The Move, Keep On Dancing!!!

(encore)
19.urban disco
20.Love&DISCO
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