MANNISH BOYS@Zepp Tokyo

MANNISH BOYS@Zepp Tokyo
斉藤和義と中村達也によるユニット=MANNISH BOYSの、セカンド・アルバム『Mu? Mu? Mu? MANNISH BOYS!!!』を携えた、ワンマンとしては初めての全国ツアー。9/22の赤坂ブリッツに始まり、ファイナルとなるZepp Tokyoは14本目に当たる。10/23の札幌公演と10/25の帯広公演の合間には、せっちゃんが奥田民生のツアー・ファイナル(10/24)に参加するといったニュースもあった(こちらのニュース記事参照→http://ro69.jp/news/detail/112459)。周知の通りメンバー2人それぞれが多忙を極める中にあっても、こうしてMANNISH BOYSが活動を続けていることは喜ばしいかぎりだ。

MANNISH BOYS@Zepp Tokyo
MANNISH BOYS@Zepp Tokyo
MANNISH BOYS@Zepp Tokyo
開演時間を迎えると、暗転した場内には雨垂れのSEが鳴り響き、先にせっちゃんがドラム・セットに収まって両腕を掲げながら歓声に応える。サポート・メンバーとしてステージに加わる堀江博久(B・Key)が静謐なピアノを奏で、最後に傘をさした達也が姿を見せると、披露されるのは新作収録のポエトリー・リーディング“本を捨てるなら雨降りの日に”だ。息遣いと言葉、そして音楽がドンピシャリのコンビネーションで「歌」の根源的な力を導き出し、匂い立つような男の哀愁と激情、情景描写が場内に広がる。傘と詩を綴った紙を放り投げ、殴りつけるようなベース・プレイに向かう達也も凄かったが、斉藤和義もさすがのマルチ・プレイヤーぶりを発揮しながらヒート・アップしていった。ちょっと意外ではあったけれど、ものの見事に引き摺り込まれるオープニングである。喝采に応えて「イエエエエエ!!」と咆哮を上げる達也であった。

さあ、斉藤和義(Vo・G)、中村達也(Vo・Dr)、堀江博久(B)という編成で向かうのは、愛憎入り混じった爆走“GS750”に始まる新作のロックンロール・ナンバーたちだ。青い男子ワールド全開の“GO! GO! Cherry Boy!”は、《卒業なんてしたくない いつかこの町で会おうな/クロマニヨンズのチケット 2枚買っとくよ》という歌詞が楽しいのだが、この曲のメロディの一部はむしろTHE HIGH-LOWSの“夏なんだな”にそっくりだ。意識してやっているんだろうな、という深読みも楽しい。和義の舞い上がるようなギター・プレイ、そして達也の突き刺さるビートで放たれる“いとしのジェニー”は高揚感に満ちたナンバーで、“ボンクラゲ”以降は堀江が抜けた剥き出しの2ピース・サウンドを叩き付けてゆく。前作から“カーニヴァル”が荒々しくプレイされ、《ByeBye!死の商人》のフレーズと共に中指を突き立てるせっちゃんである。この、良い意味での大人気なさこそが、MANNISH BOYSをMANNISH BOYSたらしめている。

MANNISH BOYS@Zepp Tokyo
「ヴォーカル&ドラムス、中村達也!」「レディース&ジェントルメン! いかしたギターと歌うたい、斉藤和義!」とあらためて互いにコールすると、再び堀江博久を「ホリエッチ!」と迎え入れながら、豊穣なメロディと味わい深い歌詞世界が広がる“天使とサボテン”に向かう。“The time has come”はギター・フレーズをループさせながらのライヴ感たっぷりなプレイで、堀江のベースもグイグイとドライブしていった。そしてこってりとダブ処理を施したバンド・サウンドと、トリップ感を誘う照明効果に彩られた“Oh Amy”。この辺りは、性急なロックンロールというよりも、MANNISH BOYSのサウンドの引き出しを次々に開け放ち、ツアーの成果を見せつけてゆくような濃密な時間帯である。エレクトロニック・サウンドを絡めた“DIRTY BUNNY”がまた、がっちりとこなれていて強烈なダンス・グルーヴを描き出してくれる。「ワーオ! トゥーマッチホット! (オーディエンスの声に)最終日ですよ達つぁん!? マズイなそりゃあ!」と告げながらひとしきり暴れ太鼓を叩きまくり、「よーし、落ち着いていくぞー」とユーモアを振り撒く達也である。

一方、伸びやかな歌メロで“LOVE&LOVE”を歌い切ると、「ええ曲やなあ」と自画自賛&ご満悦なのは斉藤和義。「達つぁんに訊きたいんですけど〜」「なんですか部長?」「Are you Dandy?」「Yeahhh!!」と言葉を交わして披露するのは、ドラマ主題歌にもなった“I am Dandy”だ。堀江のキーボード・サウンドにも後押しされ、歌心が広がる。そこから急転直下、せっちゃんがフライングVでサイレン音のようなフレーズを奏で(しかもドップラー効果まで演出してみせる)、“CRAZY NURSE”に“Mach Venus”と色香に惑いながら転がるナンバーを連発してゆく。ギターのメロディをオーディエンスに歌わせるコール&レスポンスも繰り広げられ、クライマックスは「We will win!!」の盛大なコールを巻き起こす“週末のファンファーレ”、そしてバンド名のバックドロップがせり上がる中での“MANNISH BOYSのテーマ”によって、本編は賑々しく幕を閉じた。

MANNISH BOYS@Zepp Tokyo
アンコールはまず、髪を後ろに束ねたせっちゃんがヒョウ柄ボディのアコギを搔き鳴らしてまたもやダンサブルに届けられる“Dark is easy”。「もう終わりですねえ。さっき言ったかその話は……えーん!」と達也のくだけたMCを挟み、ドリーミーな“SWEET LITTLE MOON CHILD”は、今のMANNISH BOYSのスケール感の大きなサウンドが最高潮に達する一幕になった。「初のワンマンツアーでしたけど、楽しかったですねえ。来年は、達つぁんのアニヴァーサリーが……(斉藤)」「そうだよ。MANNISH BOYSだけじゃなくて、こっちも振り向いてくれよ(笑)。50になったら、タトゥーぜんぶ消すんだ。やり直すんだ!(中村)」と、どこまで本気だか知れないことを言い放ちつつ、せっちゃんはバンジョー、達也はスタンディング・ドラムで軽快に“ざまみふぁそらしど”を披露してフィナーレである。

斉藤和義が彼自身のピックに続いて達也のスティックをオーディエンスにプレゼントすると、達也はギター・アンプを抱えるような素振りを見せて笑いを誘い、最後に2人はハグを交わして去っていった。それぞれが百戦錬磨のベテランでありながら、お互いの中に少年性を見つけて共鳴させ、スリリングな冒険を繰り広げる。MANNISH BOYSの冒険が更におもしろくなっているということを、ありありと伝えるステージであった。(小池宏和)

■セットリスト

01.本を捨てるなら雨降りの日に
02.GS750
03.GO! GO! Cherry Boy!
04.いとしのジェニー
05.ボンクラゲ
06.カーニヴァル
07.天使とサボテン
08.The time has come
09.Oh Amy
10.DIRTY BUNNY
11.LOVE&LOVE
12.I am Dandy
13.CRAZY NURSE
14.Mach Venus
15.週末のファンファーレ
16.MANNISH BOYSのテーマ

(encore)
17.Dark is easy
18.SWEET LITTLE MOON CHILD
19.ざまみふぁそらしど
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