OKAMOTO'S@日比谷野外大音楽堂

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「5周年を掲げながら2014年をやってきて、自分たちでもビックリするくらい『おめでとう』って言ってもらえて。その『おめでとう』には『これからも続けていってください』っていう意味が込められてると思うんですよ。だから今回は『おめでとう』と言ってくれたみんなに『ありがとう』って言って廻るツアーなんだと思ってます。本当にありがとう! まだまだ5年だけじゃ終わらない俺たちについてきてください!」(オカモトショウ/Vo)

CDデビューから5周年を迎えたOKAMOTO'Sの「OKAMOTO‘S 5th Anniversary HAPPY! BIRTHDAY! PARTY! TOUR!」。全国7ヵ所を廻り終え、ツアーファイナルの日比谷野外音楽堂=バンド史上最大キャパの会場に辿り着いた。天井も壁も邪魔するものは何もない野音の空間を、ロックンロールという名の楽園へと鮮やかに塗り替えたライヴ。それはまさに、ライヴを重ねることによってブラッシュアップされた演奏技術、積み重ねてきたキャリアのなかで生まれた楽曲群、そして何よりも音楽と仲間たちへの愛の賜物であった。

OKAMOTO'S@日比谷野外大音楽堂
開場BGMがフェードアウトし、「みんなのスーパーブラザーズを迎える準備はいいかい? 新宿が生んだ最後のロックバンド、Dynamic、Fantastic、Exiting!」というハイテンションなナレーションに迎えられる形で現れた4人。上空には濃紺の夜空、ステージ上にはスモークが漂うなか、逆光の照明が4人のシルエットを浮かび上がらせる。その暗闇を切り裂くかのようなオカモトコウキ(G)のカッティングから“Run Run Run”へ。一気に明るくなった照明を浴び、マラカス片手に前へ乗り出しながら「叫ぶ準備はいいかー!?」と煽るショウはホント画になるしフロントマンとしての華がある。そのまま“欲望を叫べ!!!!”になだれ込めば、オカモトレイジ(Dr)とショウが叩くボンゴのリズムパターンは絶妙に噛み合いながら聴き手の快楽中枢を刺激し、向かい合って自らの楽器を搔き鳴らすハマ・オカモト(B)&コウキに歓声が集まる。コール&レスポンスの音量もどんどん大きくなるなか、すかさず「5年間の全部をここに置いていくから、みんなの全部を俺たちにくれないか!?」と“SEXY BODY”へ突入。珍しくハマが「日比谷ー!」と叫び「言ってみたかったんだよね」なんて笑う場面もあったが、そのくらいメンバー側も漲りまくりな状態だったのだろう。こうして序盤数曲でロック・パーティーを作り上げ、興奮醒めやらないこのタイミングで、疾走感溢れる新曲“HEADHUNT”を披露してさらに会場を沸かせるのだった。

OKAMOTO'S@日比谷野外大音楽堂
OKAMOTO'S@日比谷野外大音楽堂
OKAMOTO'S@日比谷野外大音楽堂
名物になりつつあるMCタイムの話題は、1ヶ月間のオフをどう過ごしたかについて。城を拠点に(!?)ヨーロッパ各地を巡ったショウ、イギリスでライヴハウスに足を運んでは12歳ぐらいに勘違いされたコウキ、ニューヨークに行ったにもかかわらず部屋にこもって映画やマンガに興じていたレイジ、ベテラン教官の指導のもとで運転免許取得を果たしたハマなど、まるで誰かの部屋のなかで輪になって話してるんじゃないかというぐらいリラックスした談笑が続く(しかしどのエピソードもしっかりとしたオチがあるのがすごい)。そして「まだ学生のときに音楽室で作った曲」=“Follow The Stranger”(インディーズ時のアルバム『Here are OKAMOTO'S』収録)から間髪入れずレイジがあのリズムを鳴らせばショウが「このビートが始まったってことはもう分かるね?」と言う前に客席からハンドクラップが発生し、“ラブソング”のサウンドを彩っていく。ここで「アルバムのツアーじゃできなかった古い曲をやろうと思って聴き直してたら、(曲を)書いたときと今では違うふうに聴こえるんですよ」と語り始めるショウ。「あのときは青かったなあってニヤニヤしたりして、昔の自分が書いた手紙を読んでいる気分になるというか。改めて、今もう一度みんなに届けたい曲を持ってきたので聴いてください」と“手紙”をしっとりと奏でたのだった。

OKAMOTO'S@日比谷野外大音楽堂
“Let It V”〜“Kill Dreams”でスタートした後半戦は、特に“マダラ”の終盤、この曲から加わったサポートメンバー:斎藤有太(Key)も交えて繰り広げた全身全霊のセッションが素晴らしかった。レイジのビートをきっかけに加速していくサウンドのなか、マイクスタンドを持ちながらシャウトするショウ—――先の“手紙”も然りだが、こういう旧譜曲が化けていく様子には、自らの手で曲を更新していくバンドの姿勢やバンドが現在進行形であるという証拠のようなものが感じられるから、いちリスナーとしてとても嬉しかったりする。「俺たちの曲は大声で『頑張れ!』という音楽ではないけど、つらいときに思い出してくれたり寄り添えるようなものであったらいいなと思っています」というショウの言葉を具現化したかのような“Sing A Song Together”、ステージ全体にプロジェクションマッピングが施された“HAPPY BIRTHDAY”でフィナーレへ向かう祝祭感を、「どうした日比谷!? 踊りまくろうぜ!」「まだ踊れるだろ!? もっともっともっと!!」などと捲し立てながらさらに加速させていくショウ。銀テープ放射もあった“JOY JOY JOY”で沸点に達したまま、会場一体となって「まさかの」「やれちゃう感じ!」の大合唱! “青い天国”で大団円を迎えたのだった。

OKAMOTO'S@日比谷野外大音楽堂
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「アンコールありがとうございますうううう!!」とステージへ滑り込んできたレイジによる物販紹介から始まったアンコールは、コウキが手がけたという新曲“チャンス”に続けて、“Wanna?”ではゲストのRIP SLYMEとのスペシャル共演が! 生のバンドサウンドを従えたRIP SLYMEも、OKAMOTO'Sのサウンドの上にラップが乗っかってる事態も新鮮なわけで「1曲のためにあのメンツを呼べるのは我々しかいないよ」(ハマ)、「あと3時間ぐらい一緒にやりたかった……」(ショウ)という言葉に頷くオーディエンス多数。ここで、先のMCで話題になったオフ期間について話し始めるショウ。中学1年生のころからずっと一緒だった4人が1ヶ月も顔を合わせなかったのは初めてだったということ、旅の最中でも音楽のことを考えがちだったのにそれを1人じゃ表現できないという事実に悔しさを覚えたこと。そして、1人じゃ何もできなくても、4人だったら何でもできるのだと実感したということ。「普段は恥ずかしくて言えないけどこの場を借りて言わせてください。この4人のことを愛してるし、このバンドをやれててよかったです!そして、このバンドを愛してくれているみんなのことは、もっと愛しています!」後ろを振り返るのも恥ずかしい、とショウは言っていたが、ラストの“虹”でショウの背後で半弧になってお互いの顔を見ながら楽しそうに音を合わせるコウキ&ハマ&レイジの姿を見ていたら、その想いはきっと4人共通のものなんだろうなあと思えた。「みんなは僕たちの誇りです!ずっと大好きです!」—――ショウの素直な言葉へ降り注ぐ拍手と歓声。野音の空の下でやるために書いたという“虹”が、4人と集まったオーディエンスとを繋ぐ架け橋となった、最上級のラストだった。(蜂須賀ちなみ)

■セットリスト

01.Run Run Run
02.欲望を叫べ!!!!
03.まじないの唄
04.SEXY BODY
05.笑って笑って
06.Insane Man
07.Beek
08.マジメになったら涙が出るぜ
09.HEADHUNT(新曲)
10.Follow The Stranger
11.ラブソング
12.手紙
13.Let It V
14.Kill Dreams
15.マダラ
16.Sing A Song Together
17.HAPPY BIRTHDAY
18.Let's Go! Hurry Up!
19.JOY JOY JOY
20.青い天国

(encore)
21.チャンス(新曲)
22.Wanna?
23.虹
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