LAMP IN TERREN×赤色のグリッター@下北沢CLUB251

LAMP IN TERREN主催の企画「LAMP IN TERREN presents.
VOYAGER'14 ~maps in locus~」。「軌跡の地図」という意味を持つこのイベント名には、この1年間で吸収したものをこのライヴで出していこうという意気込みが込められているのだそう。そんな「2014年、LAMP IN TERRENの総決算の場」に招かれたのは、本サイト・RO69が主催するアマチュア・アーティスト・コンテストRO69JACK13/14で同時にグランプリを獲得した盟友である、赤色のグリッター。この1年間がバンドにとっての大きなステップになったであろう2組による熱演の模様を、以下でレポートしていこうと思う。

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<赤色のグリッター>
最初に登場したのは、赤色のグリッター。1曲目は“世界は赤色”。エレキギターでコードを鳴らしながら佐藤リョウスケ(Vo・G)が冒頭のフレーズを唄い始めれば、その世界を広げるかのように渡辺明日香(B・Cho)/鈴木陸生(G・Cho)/クラカズヒデユキ(Dr・Cho)が徐々に音を重ねていく。そんなオープニングシーンで、フロアを満たすオーディエンスを一気に引き込んでしまった4人だった。そして“愛の舌打ち”から以降は、「1曲でも多く演りたい」と言わんばかりに休む間もなく楽曲を連続投下。5曲目に披露された新曲“風は突然に”(演奏前に新曲だと語らずに、次のMCでサラッと「さっきの曲は新曲でした」と事後報告するのも何だか彼ららしい)では、佐藤の絶唱が印象的だった。正直音程などまだ完璧ではない部分もあったのだが、自分の体内のあらゆる感情をカオスな状態のまま外に引っ張り出したような、渦のようなシャウトには鬼気迫るものがあった。
LAMP IN TERREN×赤色のグリッター@下北沢CLUB251
MCでは、渡辺が「ツーマンでこんなに多くの人に観てもらえてるのがとても嬉しくて……言葉にできないや」と感無量といった様子で、11月19日にリリースされる2ndミニアルバム『世界は赤色』について告知。佐藤はLAMP IN TERRENと出会うきっかけとなったRO69JACKについて語り始める。「優勝できたのはいろいろな人の支えのおかげで、僕らだけじゃライヴもできないしCDも作れない。それで、音楽で恩を返したいと思って作った曲がこの曲で……。この曲で優勝できて嬉しかったし、ちゃんと届いたんだなあと思いました」と当時のノミネート曲“あのね、きいて?”を披露。鈴木の鋭いカッティングが“ハナミズキ”を導くと、そこからはアッパーチューンを中心にラストスパートへと向かう。「1年前はまだ高校生で、卒業して最初のライヴが列伝(オープニングアクトとして出演した「スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2014」の赤坂BLITZ公演)でした。あのときは1年後は何してるのかなーと思ってたけど、実際さほど変わりません。それでもいいと思うんです。大人になっても僕は何も変わらず唄っていると思います。そういうのをみなさんも大事にしてみてください」(佐藤)という言葉に続けて、日常の大切さを唄った“未来飛行機”で締めくくった。

LAMP IN TERREN×赤色のグリッター@下北沢CLUB251
<LAMP IN TERREN>
そして、本日のホストであるLAMP IN TERRENは“Grieveman”でライヴをスタート。即効性の高い3人のサウンドが瞬く間にフロアを席巻する。川口大喜(Dr)のビートに乗りながら「下北沢、元気かー? ここにいる全員と宇宙一最高なライヴを一緒に作っていきたいと思います!」と松本大(Vo・G)が高らかに宣言すると、そのまま“ランデヴー”、さらに間髪入れず“Sleep Heroism”へと繋げ、フロアからはいくつもの腕が上がったのだった。軽いMCを挟んだあとのパートでは、“クライベイベ”でせき止めた感情がブワッと溢れ出す様子を見事に音で体現してみせ、“リメンバー”で緩急豊かな松本のヴォーカルが聴き手をダイレクトに揺さぶるなど、先ほどまでのアグレッシヴなサウンドとはまた異なる、深い表現力を見せていく3人。焦燥も、孤独も、わずかな希望も、その真っ直ぐなサウンドで解き明かしていくかのよう。あまりにも質実すぎて、自分の中の感情さえも見透かされそうな気さえしてきてしまう。
LAMP IN TERREN×赤色のグリッター@下北沢CLUB251
松本が「普段の5倍は緊張してる。何で緊張するかねえ……」とボソッと漏らしたあとに披露されたのは新曲である。曲を始める前にはサビのメロディがオーディエンスへとレクチャーされ、「ウォーウォウォー♪」という大合唱を巻き起こしたその新曲では、川口も初コーラスを披露。これまでのLAMP IN TERRENのどの楽曲よりも温かい響きをしていた印象だった。そしてここで、来年1月にA-Sketchからメジャーデビューすること、12月14日に同会場・下北沢 CLUB251でワンマンライヴを敢行することが松本の口から発表される。しばらく鳴り止まない拍手と、フロアのあちこちから投げかけられる「おめでとう!」という声。温かい声援に対して松本は「俺らはこれから先、たとえ大きくなっても自分の信じた歌を、あなたたちと唄っていきたいと思っています」とその強い意思を言葉に託したのだった。重大発表を終えたからだろうか、MC明けの“portrait”以降は笑顔を見せる回数が増えた松本。先ほどまで歯を食いしばるようにして楽器を鳴らしていた中原健仁(B)も、盛んにステージ前方に一歩踏み出しては口を大きく開けて笑いながらハンドクラップを煽っていた。アンコールに応えて再登場するや否や、「ライヴって楽しいね。毎日辛いこともあるけど、この瞬間だけは無敵になれる気がする」と笑う中原。そして「一番言いたいことは全部バンドの初音源に詰め込んであります。この先いかなることがあろうとも大事にしたいし、みんなと唄っていきたい曲です」(松本)と2012年にリリースした自主制作音源『voyage』から“L-R”を演奏。松本がオフマイクで唄い始めれば、フロアからはシンガロングが自然発生し、力強く拳が掲げられる――その景色はまるで彼らの船出を祝うかのような祝祭感を帯びていたのだった。(蜂須賀ちなみ)
LAMP IN TERREN×赤色のグリッター@下北沢CLUB251

■セットリスト

〈赤色のグリッター〉
01.世界は赤色
02.愛の舌打ち
03.指切りげんまん
04.小さな瞳
05.風は突然に(新曲)
06.あのね、きいて?
07.君に会いに行く
08.ハナミズキ
09.あの人
10.未来飛行機

〈LAMP IN TERREN〉
01.Grieveman
02.ランデヴー
03.Sleep Heroism
04.クライベイベ
05.雨中のきらめき
06.send me
07.リメンバー
08.緑閃光
09.新曲(タイトル未定)
10.portrait
11.メトロポリス

(encore)
12.L-R
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