9mm Parabellum Bullet@渋谷La.mama

9mm Parabellum Bullet@渋谷La.mama - all pics by 橋本塁(SOUND SHOOTER)all pics by 橋本塁(SOUND SHOOTER)
「イェーイ、La.mama! 『Next Bullet Marks Tour 2014』にようこそ! あれだな……近すぎるな、これは(笑)。もう何回も出てるのにね」。10月というのにむせ返るような熱気に満ちた渋谷La.mamaぎっちり満場のオーディエンスに向けて語りかける菅原卓郎(Vo・G)。「でも俺たちは、そっちの奥までいっぱい入ってることよりも、この辺(柵前)に5人もいないとこでやってる数のほうが多いから、La.mamaでは(笑)。9mmは今年10周年、La.mamaは32周年。すごいよね? 9mmの最重要スタッフの何人かには、La.mamaで出会ってるんですよ、俺たちは。だから、La.mamaの思い出をこれ以上話しても、たくさんあって話しきれないので、今日は新しい思い出を作るってことで、よろしくみんな!」……そんな卓郎の言葉に、一面の拍手と歓声が広がり、フロアの温度がさらに高まっていく。

7月にリリースされたベスト・アルバム『Greatest Hits』のリリース・ツアーとして9月27日からスタートした『Next Bullet Marks Tour 2014』の8本目、東京・渋谷La.mama公演。まさに結成10周年のアニバーサリー・イヤー真っ只中、2月には10周年記念の日本武道館ワンマン2DAYS公演も開催している9mm Parabellum Bulletの爆風の如きサウンドをキャパ250クラスの会場で、しかも彼ら自身にとってもインディーズ時代から馴染み深い場所でもあるここLa.mamaで体験するというのはそれだけでもスペシャルな体験なわけだが、この日の9mmのアクトは、筆者自身もこれまで幾度となく観てきた彼らのLa.mamaライヴの中でも特に、今の4人のタフネスをリアルに体感させるものだった。なお、ひとつのツアー中でも公演ごとに大きく曲目・曲順を変える9mmだけに、まだツアー前半ではあるものの「セットリスト掲載OK」との了承をいただいたので、以下曲目およびセットリストに触れながらレポートします。

9mm Parabellum Bullet@渋谷La.mama
この日のステージはインディー1stミニアルバム『Gjallarhorn』の“(teenage) Disaster”でスタート、のっけから滝善充(G)はモニタースピーカーに昇り、天井にぶつかりそうな勢いで満員のフロアを煽り倒す! “Discommunication”“新しい光”“ハートに火をつけて”など、ベスト・アルバム『Greatest Hits』にも収録されていたシングル曲群はもちろん、“Vampiregirl”“Living Dying Message”などフロア一撃必狂ナンバーあり、最新アルバム『Dawning』からのエモーショナルなロック・アンセム“黒い森の旅人”あり、狂騒感とロマンに満ちたメロディがハード・ストンピンなビートの中で踊り回る“キャンドルの灯を”あり……といった具合に、年代もテイストも幅広くセレクトされたこの日のセットリスト。時にはステージ袖の通路にまで張り出したり(これは中村和彦(B))、時にはオーディエンスの掲げる手に身を委ねてギターを弾き狂ったり(これは滝)……“黒い森の旅人”でのかみじょうちひろ(Dr)の鬼神の如きドラミングも含め、アリーナ・クラスの会場を魅了するダイナミズムあふれる4人の、狭いステージを目いっぱい駆使して繰り広げるライヴ・パフォーマンスが、ステージの低い小バコならでは至近距離で展開されるスリルと感激! フロアの熱気が刻一刻とその密度を増していくのも、あまりに当然のことだ。

9mm Parabellum Bullet@渋谷La.mama
「12月10日、俺たちの新しいシングルが出ます! 『生命のワルツ』ね。配信でもう買ったっていう人もね、全然納得の内容になっております!」とあえて宣伝っぽい口調で語る卓郎。「先日、渋谷で行われた9月の、『カオスの百年』っていうイベントだったかなあと思うんだけど、その模様が9曲DVDに収録されて、初回盤に入ったりします。『生命のワルツ』は、12月まで聴かせるのを俺たちが待てなかったっていう感じですよ。次は『生命のワルツ』に入ってる曲をやろうと思います!」と披露したのは、2月の武道館公演の2日目で披露&来場者全員に配布されていた新曲で、シングル『生命のワルツ』にも収録される“EQ”。キテレツな音色で響き渡る滝のイントロ・フレーズが印象的な、それでいて変幻自在でエクストリームでポップさえある9mmのエッセンスが凝縮されたナンバーが、会場の高揚感を心地好くかき混ぜていく。他のどのバンドも手に取らないような音楽的なパーツを拾い集め、メタルと歌謡とハードコアが渾然一体となった音楽世界を構築してきた9mm。だが、彼らが「誰もやったことのない奇抜でエクストリームな音楽」ではなく、「誰も到達したことのない次元の『ロック』」を鳴らすべく切磋琢磨してきたバンドであることを、その凄絶なアンサンブルが何より雄弁に物語っていた。

9mm Parabellum Bullet@渋谷La.mama
「7月に俺たち、ベスト・アルバムを出しましたよ! 『Greatest Hits』で、初めて聴いてくれるような人たちに出会えたらいいなと思ったんだよ。で、今までの9mmが好きだっていう人たちは、『Selected Bullet Marks』(スペシャル・エディションに収録されたライヴ・テイク集。全20曲収録)が最高だろうなと思って、そういうふうに俺たちもしたくて作ったんだけど……」と語る卓郎。「このツアー8本目、俺がMCでしゃべってると、なんかリアクションがワンテンポ遅いのよ(笑)。さすがに『ベスト・アルバムのツアーでこれはないんじゃねえか?』って思ったら……どうやら初めて俺たちの音楽を聴いて、初めてライヴに来てる人たちがたくさんいるんじゃないかと思い当たったわけですよ。だから、『CDとかライヴとかキレキレなのに、しゃべったらこんなにダラダラしてんのかあの人は』と思われてるかもしれないけど、これが俺です!(笑)」。フロアに笑いと拍手が広がる。終盤は“The World”から“Black Market Blues”“Cold Edge”と『Greatest Hits』の楽曲群を畳み掛けたかと思うと、“marvelous”“Talking Machine”と『Gjallarhorn』収録曲2連発! 『Greatest Hits』の「シングル・EP表題曲のみ11曲」というあまりに潔い選曲からも、彼ら自身の「どの曲をとっても無敵」な充実感は窺えたが、そんな4人の確信が、この日の1曲1曲に途方もないスケール感と強靭さを与えていた。

9mm Parabellum Bullet@渋谷La.mama
そして――すでに配信リリースされている最新曲“生命のワルツ”。滝がこの曲のためにヌンチャクのギタリスト・ごっちんこと溝口和紀から借りたというハイパワーなギター「ESP ULTRATONE」から繰り出す、全身痺れるような轟音。《手も足も出なくても歌があるぜ》というメッセージを真っ向から突き上げる卓郎の熱唱。かみじょうの爆裂ツーバス&和彦の極太ベースが繰り出す熾烈なリズム……荘厳さすら漂わせるスラッシュ・ワルツの音像が、会場の熱狂をロックの異次元へと誘っていた。「俺たちが好きだったAXはもう跡形もないんだよ。悲しいよね。でも、La.mamaはずっと、永久に不滅です――っていう感じでいてほしいなと思います(笑)」「俺たちはLa.mamaに追いつけはしないんだが、La.mamaのように山あり谷ありあっても、しぶとくやっていこうと思ってるので。みんなよろしくね!」と意気揚々と語っていた卓郎。自らの歴史を刻んできたライヴハウスだからこそ垣間見えた、9mmの無防備な衝動の形が、ただでさえ震撼必至なこの日のアクトをさらに鮮烈に彩っていた。12月10日・11日の東京・新木場STUDIO COAST 2DAYSまで続く『Next Bullet Marks Tour 2014』、次回公演は10月18日、神奈川・横浜 club Lizard!(高橋智樹)

■セットリスト

01.(teenage) Disaster
02.Discommunication
03.新しい光
04.The Revolutionary
05.Scream For The Future
06.Vampiregirl
07.ハートに火をつけて
08.Living Dying Message
09.EQ
10.Sleepwalk
11.Caucasus
12.黒い森の旅人
13.Starlight
14.キャンドルの灯を
15.The World
16.Black Market Blues
17.Cold Edge
18.marvelous
19.Talking Machine
20.生命のワルツ
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