KEYTALK@赤坂BLITZ

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「ツアー始まった時から、このステージに立つのをすごい楽しみにしてて。いろんな場所をツアーで回ってきて、ホームの東京に帰ってきて。みんなの顔を目の前にして、みんながすごい盛り上がってくれてて……『お帰り』って言ってくれてるような気がして、すごい嬉しいです。ありがとう!」とオーディエンスの歓喜に満ちた表情を見回して万感の想いを語る首藤義勝(Vo・B)の言葉に、ソールドアウト満員のフロアから惜しみない拍手と歓声が降り注ぐ……5月21日にリリースしたメジャー初アルバム&2ndフルアルバム=『OVERTONE』を引っ提げて現在開催中の、KEYTALKの全国ツアー『KEYTALK “OVERTONE TOUR 2014”』14本目、東京・赤坂BLITZ公演。「本日が14本目ということで、油乗りまくったライヴをお届けしたいと思いますが……みんな、ついてこれんの? 行けんのみんな?」と序盤のMCで小野武正(G・Cho)が呼びかけるまでもなく、18時ちょうどの開演と同時にメーター振り切れっ放しの歓喜と熱狂の坩堝と化した赤坂BLITZに、ますます精度と強度を高めつつある彼らの歌とアンサンブル、そして「その先」へ突き進む意志が目映く炸裂した、痛快なまでに感動的な一夜だった。

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4つ打ちのダンス・ビートを基調としながらも、それこそ秒刻みでキーが変わり、リズム・パターンが変わり、アレンジが変わる――というアクロバチックなバンド・アンサンブルを、難解さや複雑さを微塵も感じさせることなく、至ってキャッチーかつダイレクトに響かせながら、聴く者すべての快楽中枢と直結させて、ライヴ・シーンを狂騒天国に叩き込んでいる精鋭=KEYTALK。時に交互にメロディを紡ぎながら、時に極上のコーラス・ワークで楽曲をカラフルに咲き誇らせていく、巨匠こと寺中友将(Vo・G)&首藤義勝のツイン・ヴォーカル。テレキャスで切れ味鋭くビートを刻む寺中と、迷いも衒いもなくポップの真芯に手を伸ばすようなフレーズの数々から泣きのギター・ソロまで縦横無尽に奏でまくる小野が織り成す至上のギター・アンサンブル。そして、タイトにボトムを支える首藤のベース&華麗なストロークからド派手なフレーズを連射する八木優樹(Dr・Cho)のパワフルなリズム・ワーク。「音楽として成立させる」だけでも困難に思える、それこそひとりでも気を抜いたら途端に輝きを失ってしまうであろうスリリングかつ緻密な楽曲構成とアレンジを、どこまでもエモーショナルなロック・エンタテインメントへと昇華してみせる才気と意志……この日のアクトにはまさに、4人が熱視線を集めている理由が高純度で凝縮されていた。

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ツアーはまだこの後に終盤戦のスケジュールが控えているため、セットリストの掲載は割愛、一部楽曲に触れるに留めさせていただくが、「『OVERTONE』の曲を中心にしつつも、KEYTALK歴代のヒット曲も織り交ぜながら、最高の空間にしたいと思うんで!」という首藤の言葉通り、シングル曲“コースター”“パラレル”やアルバムのリード曲“MURASAKI”など『OVERTONE』の最新モードの楽曲群を軸としながらも、“fiction escape”など1stアルバム『ONE SHOT WONDER』(2013年)の楽曲、さらに1stミニアルバム『TIMES SQUARE』(2010年)の“トラベリング”、2ndミニアルバム『SUGAR TITLE』(2011年)の“sympathy”など惜しみなく披露、自分たちの進化の足跡と「今」の充実ぶりをまざまざと見せつける熱演だった。「今日の東京・赤坂公演を、僕らすごい楽しみにしてて、すごくワクワクしてたし。お客さんが最高に楽しんでるのを見てて、みんなも楽しみにしててくれたんだなあと思って……すごい熱くなります」と寺中もMCで語っていたが、“パラレル”“コースター”で巻き起こったシンガロングも、“fiction escape”でフロアにあふれ返ったジャンプとクラップも、“トラベリング”の祝祭感に身を任せたオーディエンスのカオティックなまでの熱狂ぶりも、他でもないKEYTALKの音楽が観客の情熱とがっちりギアを合わせて爆裂ドライヴさせていることを、何よりもリアルに物語っていた。

「みんな、『OVERTONE』の曲たちは好きになってくれましたか? 今回僕ら、メジャー・デビューしてから1枚目のアルバムってことで、すごい力入れて作って。採用されなかった曲たちもたくさんあるんですけど……」と寺中。プリプロで30曲以上制作、そこから厳選した13曲を結晶させた『OVERTONE』。全曲シングル級&ライヴ・アンセム化必至の今作の楽曲群は同時に、聴く者の日常に寄り添い、ロマンの欠片を無限増幅して、目の前の世界を塗り替えていくためのエネルギーを喚起するようなマジックに満ちている。《僕らのまだ知らない とこへ連れてっておくれ》という“パラレル”のフレーズはそのまま、彼らがその歌と楽曲で体現しているロマンの形そのものだ。ということが、この日のライヴで改めてよくわかった。「みんなにとって、この『OVERTONE』がもっともっと大切なものになって、このツアーが終わっても、ずっとこの先も大切に聴いてもらえると、僕らはすごく嬉しいです」と真摯に語るその言葉に、会場一面から拍手喝采が湧き起こる。

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過去のツアーでは「パーキングエリアにうっかり置き去りにされたこともある」という首藤を、アンコールでは埼玉県狭山市(首藤の出身地)のゆるキャラ「さやまん」として小野がいじりまくったり、「我輩は八木三世である。嫌いな物は、革命。趣味は、乗馬と『あス』の伝道師」と貴公子キャラで話す八木が会場丸ごと「1、2、3、『あス』!」のコール&レスポンスに導いていたり……演奏のテンション&ダイナミズムとは一転、MCでの和気藹々とした空気感も微笑ましかったこの日のライヴ。そんな中、「僕たちKEYTALKは去年の11月に、メジャーという新たな扉をコンコンっとやってね。ちょっとお邪魔したら、『こりゃとんでもないところに来たなあ』と(笑)。今まで僕らがいた場所に比べると、環境もすごく違ったり……」とメジャー・デビュー後の激動の日々を振り返っていた小野。「元から『でかいところでやりたい』とか大きい夢はあったんですけど、すごい漠然としていて。でも、それが今、すごくはっきりと、明確に見えています。そして、それは僕らが思ってるだけじゃ絶対に叶わない夢で……ぜひともみんな、KEYTALKのことをよろしくお願いします! みんな、一緒に天下獲ろうぜ!」。そんな呼びかけに、満場のオーディエンスが一気に熱く沸き返ったのは言うまでもない。アンコールの最後には寺中が歓喜に身を任せてフロアにダイヴ! 観客に掲げられながらハンドマイクで歌い上げる彼の姿が、この日の充実感と祝祭感を象徴しているように思えて、思わず胸が熱くなった。

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なお、この日のステージ上では、10月に東名阪3公演にわたって行われるビクターエンタテインメント/Getting Better主催のライヴイベント「“MUSIC TAGS vol.2”~バンド戦国時代~」への出演と、レーベルメイト=キュウソネコカミとの共演を発表! むせ返るような熱気あふれるフロアがさらなる期待感と高揚感に満ちていた(+もう1組の出演者は後日発表)。ツアーは7月13日の大阪・梅田CLUB QUATTRO公演、さらにその後に行われる「KEYTALK “OVERTONE TOUR 2014”
~下北沢打ち上げスペシャルワンマンライブ~」(7月23日・下北沢SHELTER)までまだまだ続く。そして、今年の夏は「ROCK IN JAPAN FES. 2014」に初出演、初日:8月2日・PARK STAGEのトリとして登場!(高橋智樹)
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