MIYAVI@Zepp DiverCity TOKYO

MIYAVI@Zepp DiverCity TOKYO - all pics by Yusuke Okadaall pics by Yusuke Okada
「今日で長かったツアーも終わりです! 世界中どこに行っても、こうやって自分のホーム・カントリー=日本で、こんなにたくさんの人が待っててくれることを、本当に嬉しく思います!」と満場のフロアに語りかけるMIYAVIに、惜しみない拍手と歓声が降り注ぐ――2月22日のマレーシア:クアラルンプール公演を皮切りに、アジア/ヨーロッパを中心とした海外16公演+日本国内24公演にわたって開催されてきた、稀代のサムライ・ギタリスト=MIYAVIの3年ぶり・4度目となるワールド・ツアー『SLAP THE WORLD TOUR 2014』もこの日の東京・Zepp DiverCity公演でいよいよファイナル。「変わらないスタイルで世界中――アジア、ヨーロッパ、北米、南米――ROCKして、日本に帰ってきたぜ! 世界中のオーディエンスから俺たち、ほんとにたくさんのパワーと熱をもらってきたんで。それを今日ぶつけに行くんで。日本の、東京のオーディエンスのカッコいいとこ見してくださいよ!」というMIYAVIのコールと不屈の魂が、徹頭徹尾クライマックスの如き熱気に沸き返る観客とともに、歓喜と多幸感をどこまでもでっかく高め合っていく、最高のステージだった。

世界デビュー・アルバム『MIYAVI』の海外でのCD&デジタル・リリース・タイミングでのツアーということで、いきなりフロア一丸のハイジャンプとシンガロングを巻き起こした“Horizon”をはじめ“Chase It”“Justice”など『MIYAVI』の楽曲群を本編14曲+アンコール4曲の核として配置しつつ、シングル曲“STRONG”、精鋭アーティスト陣とのガチンコ・セッション・アルバム『SAMURAI SESSIONS vol.1』からの細美武士(the HIATUS)とのコラボ曲“SILENT ANGER”などを織り込んだ、まさに今の彼が鳴らし得るMIYAVI高純度結晶的なセットリスト。メタリックな質感の音色とともにパーカッシヴに放つセミアコ超絶スラッピング、オクターブ下の音を重ねた極太リフ・プレイ、Zepp丸ごと震撼させるような轟音コード・ストローク、“Guard You”で聴かせたブルージーな泣きのソロ・フレーズ……盟友ドラマー=BoBoとのたった2人のアクトの中でなど「ギタリスト・MIYAVI」の手腕がこれまで以上に鮮烈な輝きを放っていたのも、この日のライヴの大きな魅力ではあった。が、全40公演のワールド・ツアーの最後を飾ったこのアクトを何より素晴らしいものにしていたのは、その「ギタリスト・MIYAVI」の爆発力をも凌駕する勢いで炸裂していた「アーティスト・MIYAVI」のスケール感だった。

MIYAVI@Zepp DiverCity TOKYO
そもそも「自分にしかできない音楽をやる」「日本から世界を震わせる音楽をやる」という強烈な闘争心から、BoBoとの2人体制で唯一無二のサムライ・ギター・スタイルを作り上げ、名盤『WHAT'S MY NAME?』を生み出したMIYAVI。最新アルバム『MIYAVI』でEDMを積極的に取り入れたのも、メロディの制度と訴求力に極限までこだわったのも、彼が本気で「世界を震わせる」ために必然的に迎えた進化であることが、その楽曲のひとつひとつからもリアルに伝わってくる。昨年の『MIYAVI』国内リリース時に『ROCKIN'ON JAPAN』誌で彼にインタヴューした際、「野球をやってる中で、いきなりピッチャーに『面!』って竹刀で殴りかかっても、『何お前?』ってなるわけじゃないですか(笑)。でも、それがある種、向こうでの日本の音楽の受け入れられ方だった気がする。ヴィジュアル系もアイドルも含めて、日本の音楽はいろんなマーケットを築いてきたけど、そうじゃない、せめてバッターボックスに立とうよって」というたとえを交えながら、「世界のシーンにおける日本の音楽の『異物』としての受け入れられ方」の現状を語り、改めて世界のオーディエンスと真っ向勝負で向き合う意欲を露にしていたMIYAVI。その揺るぎない闘志が、強靭なハイブリッド・ファンク・ナンバー“Justice”でのマイケル・ジャクソン/プリンス直系の切れ味や、華麗なコーラスが響き渡る“Cry Like This”でのミューズを彷彿とさせるほどの壮大な音像を生み、フロアを刻一刻と高揚させていく。

MIYAVI@Zepp DiverCity TOKYO
「今回ほんとに……結構キツかったね! ヨーロッパなんか、パリ/ロンドン/ヘルシンキ/コペンハーゲン、4連チャン!(笑)」と海外の苦労をMCで語りつつ、「音楽で国境も、肌の色の違いも、人種の違いも越えてひとつに素晴らしさを、俺たち身をもって感じてきたし。こういう場でひとつになれることを、ほんとに嬉しく思ってるので」と、熱気あふれる会場を見渡して万感の想いを明かすMIYAVI。「サッカーの日本代表戦……負けました! でも、俺たちは海外に行く時は毎回、日本代表の気持ちでやってるし。サッカーだけじゃなくて人生いろんな負け戦あるけど、心さえ折れなければ、俺たち何回でも闘えるし、そういうつもりで乗り越えてきたんで。今日はね、日本のカッコいいショウを一緒に作りましょう!」の言葉が、観客ひとりひとりの心をさらに鼓舞し、奮い立たせていく。ちなみに、MIYAVIいわく「W杯初戦負けて何が無念かって、そのために5時起きで、大阪から始発で東京まで帰ったBoBoくんが無念!(笑)」(移動の時間と試合が重なるのを避けたらしい)。MIYAVIとBoBoが初めて一緒にステージに立った2010年(奇しくも前回サッカーW杯が開催された年)から4年間の鍛錬と、よりいっそう明確になった自分たちの目標が、MIYAVIという音楽世界そのものに圧巻の迫力と格段にパワフルな生命力を与えていた。震災後の苦悩と決意を丹念にメロディに刻んだ“Guard You”。目も眩むほどの加速度と熱量に満ちて響いた“No One Knows My Name (Slap It)”。そして、フロア激震の“SURVIVE”の狂騒感から流れ込んだ“FUTURISTIC LOVE”の、ループ・サンプラーを駆使してひとり多重奏〜爆裂DJ状態で会場をアゲ倒す至上のロック・アジテーターぶり。ラストの“DAY 1”のアグレッシヴなプレイが広大なロックの地平を描き出して――本編終了。

鳴り止まないアンコールのリクエストに応えて再びオン・ステージ、日の丸の旗を掲げてオーディエンスをバックにフォト・シューティングした後で、「MIYAVIとしては4度目のワールド・ツアー……日本中、そして世界中で仲間が増えてるし、たくさんの同志が集まってきてます」と語りかけるMIYAVI。「僕はソロ・アーティストですけど、ひとりじゃないんだなっていうことを感じてます。大きなMIYAVIという船に乗っかって、この先の旅はまだまだ長いけど、世界目指して、走りましょう!」のコールに、熱い拍手が広がる。続けて「このツアー、今日のファイナルも含めてDVDになります。みんなの笑顔とパワーが、ひとつの作品になります!」というアナウンスが彼の口から飛び出すと、その拍手はさらに熱を増す。加えて、新作を制作中であること、そのリリース後に再びここZepp DiverCityでライヴを行うことを告げると、驚きと感激が会場の温度をさらに上げていく。

MIYAVI@Zepp DiverCity TOKYO
アンコールではアンジェリーナ・ジョリーが監督を務めた映画『アンブロークン』(MIYAVIは日本軍の看守役で出演)にも触れていたMIYAVI。「僕はハーフ・コリアンですけど、日本で生まれて日本で育って、世界で日本人としてROCKしてます。その上で、やるべきかどうかどうか本当に迷って、彼女と直接話をして。『許し』をテーマにした作品であること、人の強さをメッセージとした作品であること、アメリカと日本だけじゃなくて世界中で過去いろんな国で同じようなことが起こってる中で、強いメッセージを訴えかける作品にしたい、という言葉を聞いて、僕は出演を決意しました。日本人として誇りを持ってやってきたんで。作品を観てもらえたらなと思います」……世界で闘い、世界と対峙する中で、ひときわ深く日本を見つめてきた彼の言葉が、満場の拍手を誘っていた。“GANRYU”で熱気さめやらぬZeppをさらに躍動させた後に轟く、“Ahead Of The Light”のマッシヴなビートと絶唱! そして“Free World”の麗しのメロディとともにとめどなく噴き上がる祝祭感! 最後の“WHAT'S MY NAME?”まで約2時間、完全無欠モードの「今」を100%鳴らしきってみせた名演だった。前述のZepp DiverCity公演も含む10月の東名阪ツアー開催も発表された今、MIYAVIの「その先」を提示する新曲のリリースが心から待ち遠しくて仕方がない。(高橋智樹)


■セットリスト
01.Horizon
02.STRONG
03.Chase It
04.Justice
05.Secret
06.A-HA
07.Selfish love-愛してくれ、愛してるから-
08.SILENT ANGER
09.Guard You
10.Cry Like This
11.No One Knows My Name (Slap It)
12.SURVIVE
13.FUTURISTIC LOVE
14.DAY 1

(encore)
15.GANRYU
16.Ahead Of The Light
17.Free World
18.WHAT'S MY NAME?
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