Hello Sleepwalkers@渋谷CLUB QUATTRO

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Hello Sleepwalkers、初の東名阪ワンマンライヴツアー『TAKE YOUR MASK OFF』のファイナルが渋谷CLUB QUATTROで行われた。今年2月19日に発売された2ndアルバム『Masked Monkey Awakening』を引っ提げた今ツアーは、大阪・名古屋共にソールドアウト。ファイナルとなった本公演にも、彼らの「最初」のワンマンツアーの「最後」を観ようと大勢の観客が集まった。

午後6時。会場に流れていたBGMが暗転と共にダンスミュージックに切り替わると、フロアに巻き起こるハンドクラップのリズムに乗りながら、青い照明に染められたステージにメンバーが登場!「遊ぼうぜ、渋谷ぁ!」とのシュンタロウ(Vo・G)の挑発的な声を皮切りに“Bloody Mary”が掻き鳴らされると、フロアは一瞬でダンスフロアに早変わり!ナルミ(G・Vo)の力強さの中に愛らしさを包含した声と、シュンタロウのクールながらも熱い意志を宿した声とが絶妙に絡み合う。さらに「オーケー、クアトロ!全力でこいよ!」とシュンタロウがシャウト気味に煽ると、アルバムのリード曲“猿は木から何処へ落ちる”を投下!曲中にある≪アイトヘイワ≫というフレーズを会場が一丸となってシンガロングすると、会場の熱気はさらに高まった。続く“五次元少女リア”では、イントロ部分でマコト(B) 、タソコ(G) 、ナルミ、ユウキ(Dr)の順に4小節のショートソロを披露。たった4小節、されど4小節。個々人のプレイスキルの高さをしっかりと魅せつけた。
Hello Sleepwalkers@渋谷CLUB QUATTRO
MCでは、ナルミの「(このフロアを見れば)聞かないでも分かるけど、渋谷クアトロ楽しんでますか!?」という問いにフロアが力強い歓声で応えると、「最高だなお前ら!」と屈託のない笑顔で喜びを表した。そして「大阪と名古屋でも聞いたんだけど、私たちのライヴに初めて来るっていう人?」という質問にはフロアからは多くの手が挙がり(本当に多くて、過半数以上と言って良いほどだった)、「じゃあ、まあ顔を見たらだいたい分かるんだけど、何度も来てくれている人!?…うん、顔見たら分かるわ(笑)いつもありがとう。初めての人もそうでない人も、今日ここに足を運んでくれて本当にありがとう」と、会場全員に感謝の言葉を述べた。
「次の曲は1stアルバムの『マジルヨル:ネムラナイワクセイ』から」と始まったのは“センチメンタル症候群”。切り裂くようなギターの高音が鳴ると、フロアからは歓声が上がった。うねるようなベースと精確で安定感のあるドラムの上に重なる、歌うように鳴らされるトリプルギターのフレーズとツインヴォーカルが織り成す独創的な雰囲気は、彼らのアイデンティティと言っても過言ではない。
そして、続くはユウキのドラムソロ。息をすることを忘れてしまうほどの華麗かつ豪快、超巧テク満載のドラミングに視覚と聴覚を全て奪われる。そのまま“惑星Qのランドマーク”の幻想的な変拍子が奏でられると、まるで異空間に放り込まれたような感覚が身体を襲う。5人が鳴らす音にまるごと吸い込まれそうになるこの心地良い感じは、まるで無重力状態のなかで“月面歩行”をしているようだった。
Hello Sleepwalkers@渋谷CLUB QUATTRO
ここで、シュンタロウが改めて挨拶。「(会場後方を見ながら)すげぇ、あそこまでぎっしり人が入ってます、トッポみたいに」と会場を笑わせつつも、「こんなに人が集まってくれるなんて思ってなかったです、どうもありがとう」と素直に喜びを伝えた。そして「せっかくのワンマンだから」ということで、Hello Sleepwalkersのこれまでの軌跡を語った。オリジナルバンドを組みたいと思ったシュンタロウが、元々高校の同級生だったナルミとマコトを「第一前提は、暇そうな奴」という基準で選んで誘ったことから始まり、ドラムを探していたところで大学のゼミ仲間のギタリスト、タソコと出会う。「ギター3人もいらないよと思ったんだけど、タソコがしつこくて」とシュンタロウが振り返ると、その時の必死さをタソコ自身が「1ヶ月くらいシュンタロウの家に入り浸って頼み込んだ」と話した。そしてタソコの押しの強さ勝ちでトリプルギター編成となり、そこにナルミの小中学校の後輩であるユウキが加入した、という4年前の結成時を振り返った。「ここまでやってこれたのは、夢みたいだ」と話すシュンタロウ。全員で沖縄から上京してきた1年前を「環境や、音楽との向き合い方や考え方も変わった。みんなが楽しめるような曲を書きたいけど、俺ら自身が楽しまなきゃつまらない音楽しか生まれないという葛藤があった」と振り返り、「そんな時に書いた歌詞があって、今日はそれを披露したいと思います」と歌いだしたのは“23”。一段高いところで音楽を鳴らす彼らも、私たちと同じように日々悩みながら生きている。そんな当たり前のようなことでも、彼らを「アーティスト」というフィルターを通して見るとなんとなくぼやけてしまう。結成4年目にして初のワンマンツアー。恐らく喜びと同じくらいの不安もあったのだろう。その葛藤を乗り越え、ここ渋谷の地に自分達だけを観にきたファンと真正面から向き合っている彼らは自信に満ち溢れて堂々としていた。
Hello Sleepwalkers@渋谷CLUB QUATTRO
「大阪、名古屋でもらった笑顔や気持ちをここで音として伝えることができています。今日はここで皆さんからエネルギーをもらって、また明日から私たちは歌うことができます」と心から話すナルミに胸を打たれつつ、シュンタロウが「今日はファイナルってことは、ここでぶっ倒れても問題ないってことでしょ? 俺らの歴史塗り替えちゃいますか!?」と煽ると、会場は今日一番の大歓声で応答! そこからはラストスパート。メーターが振り切っている中でさらにアクセルを踏み込んだようなキラーチューンの連続! 特に“午夜の待ち合わせ”では、熱気が目に見えるほどの大盛り上がりを見せた。そして「お前ら最高だぜ!次が最後だから、全部出してぶっ倒れて帰れ!」の合図で始まったラストの“円盤飛来”では、フロアもさることながら、ステージの5人も頭も身体も、さらには持っている楽器をもぶんぶん振り回して、本当にその場でぶっ倒れる勢いの熱演! これぞツアーファイナル!という雰囲気をこれでもかというくらいに絞り出した圧巻のステージだった。

そして鳴り止まない拍手に再度呼ばれたアンコールでは、メンバー全員からの一言を交えつつ、「1曲だけやって、ファイナルを締めくくろう」と“ミッドナイトにグッドナイト”を披露。公演自体はアンコールを含めて1時間半と短めではあったが、内容やそこに込められた想いの強さを持ってすれば実に濃く、充実した時間だった。今回のワンマンツアーを経て、今後彼らがどう「Awakening(覚醒)」するかが楽しみでならない。(峯岸 利恵)


■セットリスト
01. Bloody Mary
02. 猿は木から何処へ落ちる
03. 五次元少女リア
04. 越境
05. センチメンタル症候群
06. 惑星Qのランドマーク
07. 月面歩行
08. 23
09. 天地創造
10. Comic Relief
11. 砂漠
12. 午夜の待ち合わせ
13. 円盤飛来

(encore)
14.ミッドナイトにグッドナイト
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