『SMA AWARDS 2014 〜輝く!日本エスエムエー大賞〜』 @ 日本武道館

『SMA AWARDS 2014 〜輝く!日本エスエムエー大賞〜』 @ 日本武道館 - 氣志團氣志團
この4月に、ソニー・ミュージックアーティスツ(SMA)は設立40周年を迎え、今年は次々と記念イヴェントが企画されているのだけれども、その第一弾として日本武道館で開催されたのが、『SMA AWARDS 2014 〜輝く!日本エスエムエー大賞〜』である。SMA特命係長に就任した氣志團團長・綾小路 翔プロデュースの、パロディがてんこもり、しかし実際にステージ上で巻き起こされているのは、ミラクル級の豪華パフォーマンスに他ならない、という5時間であった。

★氣志團(『最優秀隙間賞』受賞)
トップ出演&受賞を果たしたのは、早乙女光(DANCE&SCREAM)によるトランペット独奏“夜明け”に導かれて登場した氣志團。リーゼントのサポート・ドラマーを含めた編成で、“Baby Baby Baby”からTHE BAND HAS NO NAME/SPARKS GO GOのカヴァー“Blue Boy”と、特命係長・翔やんが歌いまくる。恒例の長尺コール&レスポンスを唐突に鳴り響くジングルで急かされながらも、「やっと、ひとつぐらい恩返しが出来ます」と披露された新曲“喧嘩上等”(ドラマ『極悪がんぼ』主題歌)では、SMA会長・原田公一氏が増殖したかのような「原田ダンサーズ」がステージを賑わしていた。最後には「俺たちにはこの曲しかないんです!」という自虐ネタと共に、《お前らと、SMAを、愛しているのさ〜♪》と歌われる“One Night Carnival”で武道館を沸かせてフィニッシュである。

『SMA AWARDS 2014 〜輝く!日本エスエムエー大賞〜』 @ 日本武道館 - PUFFY&奥田民生PUFFY&奥田民生
★奥田民生(『最優秀名誉顧問賞』受賞)
★PUFFY(『アジア最優秀純真賞』受賞)
事前にアナウンスされていなかったアーティストも次々に登場。ステージ下からリフトで登場したスーツ姿のSMA名誉顧問・奥田民生は、「賞じゃないじゃないですか」と、ごもっともな一言を零しながら“イージュー★ライダー”の演奏に向かう。で、バンド編成ではない出演アクトにはこの日限りのスペシャル・バンドが演奏を務めるのだが、その顔ぶれがまた凄かった。桜井秀俊(G./バンマス・真心ブラザーズ)、ROLLY(G.・すかんち)、ハマ・オカモト(Ba.・OKAMOTO’S)、渡辺シュンスケ(Key.・Schroeder-Headz, etc.)、ASA-CHANG(Perc.・ASA-CHANG&巡礼,etc.)、たちばな哲也(Dr.・SPARKS GO GO)、土岐麻子(Cho.)、川畑 要(Cho.・CHEMISTRY)という、日本の音楽シーンを代表する名プレイヤーがズラリである。その名も、桜井秀俊とザ・キラーストリート・スライダーズ(仮)。続いてはPUFFYの2人がパッチワークのような晴れ着風衣装で受賞し、ここでも民生が「ライバルおらんやん」とツッコみながら、自らギターを手に取ってスペシャル・バンドに加わる“渚にまつわるエトセトラ”である。パフォーマンスそのものが豪華すぎる。

『SMA AWARDS 2014 〜輝く!日本エスエムエー大賞〜』 @ 日本武道館 - フジファブリックフジファブリック
『SMA AWARDS 2014 〜輝く!日本エスエムエー大賞〜』 @ 日本武道館 - 野宮真貴野宮真貴
★フジファブリック(『SMA世界文化遺産認定賞』受賞)
★野宮真貴(『SMAベストドレッサー賞』受賞)
『QUEEN OF SMA賞』を受賞したYUKIからの「QUEENって、イジメですか?」という手紙が読み上げられると、続いてフジファブリックが登場だ。獲得した賞は、富士山にちなんでいるらしい。“夜明けのBEAT”から“ダンス2000”と山内総一郎(Vo./G.)のヴォーカルが燃え盛り、ライヴ・バンドとしての力量をまざまざと見せつけるステージになった。新曲“LIFE”で跳ねるようなピアノを奏でていた金澤ダイスケ(Key.)は、かつてROLLY擁するすかんちのファンクラブに入会していたことなども語り、また山内は「武道館、いいですよね。11月にまたここでライヴをやります」と、初の単独武道館公演を告知すると、“STAR”までの全7曲を駆け抜けてゆくのだった。さてこの後、「今、東京は夜の何時ですか?」というアナウンスが流れ、ステージ背景のスクリーンにはデジタル時計が表示される。午後7時の数秒前というところだ。そこでリフトに乗って姿を見せたのは、大きな羽根飾りを頭に乗せた野宮真貴である。くるくるとバトンを回しながら、スペシャル・バンドの演奏の中でピチカート・ファイヴ“東京は夜の七時”を歌うという、なんとも粋な演出である。「わたし、デビュー33年目でSMAは3年目なんですけど、SMAの渋谷系代表として、これからも歌い続けられたらと思います」と素敵なコメントも残してくれた。

『SMA AWARDS 2014 〜輝く!日本エスエムエー大賞〜』 @ 日本武道館 - ユニコーンユニコーン
★UNICORN(『最優秀スターな男達賞』)
『最優秀木村賞』を受賞した木村カエラは、残念ながら撮影が入っており欠席と言うことで、コメント映像が届けられる。そしてステージ上にはUNICORNが登場だ。ABEDON(Key.)がセンターでマイクを握る《SMA!!》コール・ヴァージョンのパンキッシュな爆走“CSA”を叩き付けると、アンセム級の“KEEP ON ROCK’N ROLL”以降は新作『イーガジャケジョロ』曲をたっぷりフィーチャーしたパフォーマンスに突入。そして受賞タイトルもあってか“スターな男”ももちろん披露される。「途中、SMAにまったく貢献していない16年がありましたが、何事もなかったかのようにやりたいと思います」と笑わせるのは民生だが、電大組3人のコーラス・ワークが映える中で民生がステップを踏みまくる“あなたが太陽”や、EBI(Ba.)の素振りが印象的だった“夢見た男”など、自由気ままかつ骨太なロック・ショウを繰り広げてゆく。クライマックスは“大迷惑”の沸騰から“Feel So Moon”で、がっちりと武道館を掌握してみせた。

『SMA AWARDS 2014 〜輝く!日本エスエムエー大賞〜』 @ 日本武道館 - 川畑 要川畑 要
『SMA AWARDS 2014 〜輝く!日本エスエムエー大賞〜』 @ 日本武道館 - 土岐麻子土岐麻子
『SMA AWARDS 2014 〜輝く!日本エスエムエー大賞〜』 @ 日本武道館 - ROLLYROLLY
★川畑 要
★土岐麻子
★ROLLY
★西野カナ(『最優秀会いたい賞』受賞)
ここからは、桜井秀俊とザ・キラーストリート・スライダーズ(仮)によるセッション・タイムである。川畑 要がウェットかつソウルフルにCHEMISTRYの“You Go Your Way”を披露すれば、土岐麻子はその芯の強いチャーミングな歌声でソロ曲“Gift~貴方はマドンナ~”を届けてくれた。そもそもバック・コーラスとして起用するには贅沢すぎるヴォーカリストたち。そしてROLLYは、すかんちの名ロック・チューン“恋のマジックポーション”で熱いヴォーカルとギターをぶっ放す。桜井秀俊も「SMAにいて良かったな」と語るくらいの名演連発シーンだ。そして呼び込まれるのは、今回の出演者きってのフレッシュ・アクト(と言っても既にデビュー7年目のスターだが)である西野カナ。受賞タイトルどおりに堂々と情感を伝える“会いたくて 会いたくて”を歌い上げると、「(SMAは)アットホームな事務所で、先輩方もみんな優しい」と語るのだった。

『SMA AWARDS 2014 〜輝く!日本エスエムエー大賞〜』 @ 日本武道館 - 東京スカパラダイスオーケストラ&奥田民生東京スカパラダイスオーケストラ&奥田民生
★東京スカパラダイスオーケストラ(『最優秀世界周遊賞』受賞)
そして受賞タイトルが言い得て妙なスカパラのステージである。序盤からライヴの定番キラー・チューンを連発してオーディエンスを跳ね上がらせ、谷中敦(Baritone Sax)が「せっかくのお祭りなので、今まで披露したことのないコラボを」と告げて突入したのは、なんとフジファブリックの3人を招いてのセッション。ツイン・キーボード、フジ・加藤慎一はベースをギターに持ち替え、スカパラ・加藤隆志(G.)との「W加藤」ギターで臨む、フジファブリック“Surfer King”のパワフルなこと極まりないパフォーマンス。このところスカパラが繰り広げている「合体バンド」コラボを彷彿とさせる一幕だ。続いて奥田民生がコラボ当時のスーツ姿で登場し「古い衣装ですみません!」「何度もすみませーん!」と告げながら熱唱する“美しく燃える森”で大歓声を浴び、“めくれたオレンジ”のイントロが鳴り響いて誰が歌うのかと思いきや、ステップで躍り出てくるのは特命係長である。翔やんらしい節回しで見事にこの曲を歌い切ると、かつてスカパラの武道館ライヴで谷中のMCに感銘を受けたという翔やんは、「みんな、両手を挙げろ! そのまま手を下ろして、隣の人と肩を組め!」という、谷中の十八番を奪う台詞で最終ナンバー“All Good Ska is One”に繋いでみせるのだった。

『SMA AWARDS 2014 〜輝く!日本エスエムエー大賞〜』 @ 日本武道館 - 真心ブラザーズ真心ブラザーズ

★真心ブラザーズ(『最優秀兄弟賞』受賞)
★桜井秀俊とザ・キラーストリート・スライダーズ(仮)(『大賞』受賞)
いよいよイヴェントも大詰めというところで、遂に登場した現・SMA顧問=倉持陽一 a.k.a. YO-KING。「あっという間の一日でしたねえ」というフリに「長かったよー、待ち時間が」と零しながらも、真心ブラザーズ+ザ・キラーストリート・スライダーズ(仮)+スカパラ・ホーンズというスペシャル編成で“ENDLESS SUMMER NUDE”をプレイしてゆく。スカパラ・ホーンズと初代スカパラ・リーダー=ASA-CHANGがさらっと共演してしまっているのも感慨深い。

至るところにネタが仕込まれてはいたけれど、氣志團のステージ後に「我々SMAは、社会の歯車、ではございません。社会を楽しくする、調味料でありたいと思っております」と語った翔やんのプロデュースは、本当に素晴らしかった。奥田民生も「團長が、なにか役職に就くと思いますよ。その方が楽なんで」と語っていた。翔やんの公式ツイッター上では、各賞のクリスタル風記念盾に施されたイラスト原画も公開されているので、ぜひご覧下さい。各アーティストに寄せる愛とユーモアがたっぷりで、見ていて幸せな気持ちになります。さて、SMA40周年の企画としては、今後5/28に渋谷WWWで開催される『SMA SHOWCASE 2014 〜輝け!日本エスエムエー新人賞ケース〜』や、9/20及び21に日比谷野外大音楽堂で行われる『SMA 40th YO-KING & 奥田民生 presents 顧問豊作』などが予定されているので、こちらもぜひチェックを。(小池宏和)
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