TRICERATOPS presents DINOSAUR ROCK’N ROLL 6@SHIBUYA-AX

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TRICERATOPSが様々なアーティストを迎えるイベント『DINOSAUR ROCK’N ROLL』。その6回目のゲストは、1997年デビューの同期であるGRAPEVINE。絶妙な組み合わせに、会場はぎっしり埋め尽くされている。
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先攻はGRAPEVINE。メンバーがステージに現れると、グワーっと前に押し寄せるオーディエンス。亀井亨(Dr)が手をあげ、田中和将(Vo&G)が「久しぶりー!」とフランクに第一声。そして「東京の街に捧げる“This town”」と、温かにスタートを切った。田中と西川弘剛(G)が向き合って、こっくりと甘いツインギターを響かせると、堪らず歓声が沸き上がる。
エッジィな“So.”でオーディエンスの手をあげさせたところで、田中が語り出す。「トライセラ、ありがとう! 関係性は言わなくてもわかるでしょ?(笑)」。もちろん! だからこそ、しょっぱなから圧倒的なホーム感が漂っていたのだと思う。さらに、トライセラと違うところとして、今年からメンバーに30代がいなくなったことを挙げ、「世間では40代から初老と言うらしいよ(笑)。初老に最後までついてきてくれよ!」と、初老とは言えぬ激しい煽りで“FORGEMASTER”へ。聴きながら、そもそも老成しているようなマイペースな雰囲気もあるし、かと思えばいつまでもキラッキラした少年性もあるし、年齢を重ねることがここまで気にならないバンドはいないんじゃないか、と思ってしまった。
彼らの甘味が存分に堪能出来る“それを魔法と呼ぶのなら”、じらすようにはじまった“南行き”など、彼らの真骨頂がどんどん露わになっていき、“MISOGI”で会場のテンションもマックスに。「今日はありがとう! また、トライセラに呼んでもらうわー」と笑わせながら、最後は“真昼の子供たち”で締め括った。何と彼らは、今年になって初めてのライヴ。水を得た魚のように気持ち良さそうな演奏と表情が、とても印象的だった。
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次はもちろん、トライセラ。待ち兼ねたオーディエンスが手を叩き出すと、間もなく客電が落ちる。そして、1曲目からいきなり“ロケットに乗って”。盛り上がらないわけがない! さらに“あのねBaby”と畳み掛ける。この勢いの素は、和田唱(Vo&G)のMCで明らかになった。「初めてGRAPEVINEを誘えて、思い描いていた『DINOSAUR ROCK’N ROLL』が出来た気がします」――そう、これは念願のカップリングだったのだ。同期でありながら、実は数年前まで2マンをやっていなかった彼ら。そこには、同期ならではの様々な思いがあったのだろう。しかし、いざやってみたら、和田曰く「凄い相乗効果!」。その通り、「バインどうだった!? 僕らも頑張りますよ!」という言葉にも表れていたけれど、バンドのパフォーマンスも、オーディエンスの熱も、ぐんぐん相乗効果で高まっていくという、この2マンならではの状況が生まれていた。
中盤も、3人の歌声が絡み合うコーラスに聴き惚れた“GOTHIC RING”、とびっきりロックンロールに、ロマンティックにカヴァーした“CAN’T TAKE MY EYES OFF OF YOU”、インプロを交えたド迫力なヴァージョンで披露した“MIRROR”など、次々と武器を発揮。吉田佳史(Dr)が「まだ盛り上がり足りないんじゃねーのか!?」と立ち上がりシンバルを叩き、さらにオーディエンスに着火! ハンドクラップからコール&レスポンスまで詰め込んだ“FUTURE FOLDER”、そして締めは、全ての壁を壊して踊るに相応しいといったらこのナンバー、“Raspberry”。でっかいシンガロングも響き渡り、至福感が胸を満たす。そして「しばし、お待ちを!」と言い残してステージを降りていった。
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数分後、和田だけがステージに登場。そして平井堅の“瞳をとじて”を歌い出すという、まさかの展開! お待ちかねだったのか、紹介前から田中の姿がステージ袖から見えていたところが可笑しかった。そして、和田「どうする、ポール?」、田中「アーユーレディ、ジョン?」というやり取りを経て二人で弾き語ったのは“TWO OF US”。顔をニコニコと見合わせながら、美しいハーモニーを聴かせていく。もう、うっとりするしかない。
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続けて、数か月トライセラのデビューが早いということで、トライセラバインと命名された、両者が合体した8人編成の大所帯バンドが、揃いのイベントTシャツを着てオン・ステージ!今までの共演では、全員集合はなかったとのこと。これは待望である。和田に後押しされて亀井も喋ったり(「やるよー!」の一言だったけど。笑)、田中も♪瞳をとじて~と歌い「キャラ台無しや」とボヤいたり、なかなか見られない瞬間もありつつ、披露されたのは、バインの“スロウ”。イントロで起きた大歓声といったら! またツインドラム、ツインベース、トリプルギター、キーボード、ツインヴォーカルという演奏のダイナミズムも圧巻。となればトライセラの曲も?と期待していると、続いて“Fever”。これまたイントロで大歓声! お互いのオリジナルには絶対にないような選曲が、レア感があって、しかも意外とハマっているという発見もあって、楽しさを倍増させる。そして演奏を終えて、全員が楽器を置いて前に出るも、オーディエンスの拍手は止まらない。すると田中から「もう一曲やる!」と嬉しい一言が。田中「前回見た人は伝説を知っている」、和田「今日はその伝説を越えていく」という気になる言葉から“JUMPIN’JACK FLASH”へ。やっぱりカッコいいなあ、と思って見ていると、おもむろにギターを置く田中、そしてドラムセットを離れる吉田……そして、何と踊り歌ったのだ! そう、これはまさしくミック・ジャガーの降臨、しかも二人も! 確かに新たな伝説を刻み付け、記念すべき2マンは幕を閉じたのだった。

終盤に、和田が「同じ時を一緒に頑張ってくれてありがとう」と言うと、田中が「こちらこそ」と答えた場面が深く心に残った。決して短くない年月、決して平たんではない道程ながら、常に自分たちのロックンロールを鳴らし続けてきたからこそ、湛え合える関係性。音楽の繋がりっていいな、そうしみじみと思えた夜だった。(高橋美穂)

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TRICERATOPS presents DINOSAUR ROCK’N ROLL 6@SHIBUYA-AX
和田唱が語るところの「恒例なわりに、あんまり恒例じゃない。意外と勿体ぶってる(笑)」という、TRICERATOPSによる企画イヴェントの通算第6弾『TRICERATOPS presents DINOSAUR ROCK’N ROLL 6』。2日目のゲスト・アーティストは「関係者にも教えていない」完全シークレットであり、先頃DVD化もされたイヴェント『12-Bar』シリーズの流れを汲む、期待感を膨らませる演出となっていた。開演前、ステージ上の楽器・機材はトライセラのセッティングである。歓声を浴びて登場したジャケット姿の3人は“Silly Scandals”、“MASCARA&MASCARAS”と、ものの2曲で力強くソリッドなバンド・グルーヴを叩き付け、フロアを沸騰させてしまっていた。音そのものが、柔軟性を持ち合わせた無駄のない筋肉で出来ている。そんな印象の、鉄壁3ピース・サウンドである。
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この序盤のうちに、新曲“僕はゴースト”(タイトルは変更の可能性もあるそう)も披露。じっくりなグルーヴに妖艶かつ豊かな言葉が溶け、「君」の胸元ど真ん中に届けられるナンバーであった。「昨日終わってから思ったんだけど、一言も喋らなかった」という林幸治は、今年5月末日をもって営業終了予定となっているSHIBUYA-AXについて「たぶん、今までで一番やった気がする」と言葉を添えながら改めて感謝の思いを投げかけると、あるときはゆっくりと浮上し、あるときは優しさに包まれるような視界を押し広げ、そしてあるときは盛大なコーラスとダンス・グルーヴに満たされる、そんなトライセラのパフォーマンスを進めてゆくのだった。
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さて、「『DINASOUR ROCK’N ROLL』には大きく分けて2つのパターンがあって」と語り出す和田。ひとつは、初日のGRAPEVINEとの共演のような2マン&コラボであり、もうひとつはワンマン形式でゲストを招くパターンであると説明する。「この流れで行くと、今日はそっち(後者)のパターンらしいですね」「この人とやるのは、夢だったんですよ。本当に、度肝抜かれる。紹介します、チャイよしひろさんです!」と呼び込まれたのは、ハットにサングラス、アニマル柄のマフラー姿で、チャイのカップを携えながら登場する男性である。というか、それ以前に林の姿が見えなくなっているのだがどうだろうか。吉田佳史を「チャイ佳史」、和田唱を「和田チャイ」と勝手に命名して笑いを振り撒きつつ、甲斐バンドの“安奈”や“HERO(ヒーローになる時、それは今)”を歌ってゆくチャイよしひろである。甲斐よしひろばりのシャウティング・ヴォーカルで、声を嗄らしているのが可笑しい。
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ところが、ここでふいに“HERO〜”の歌メロを奪い、あからさまにスター性を振り撒きつつ登場する影がひとつ。ベッチン真紅のセットアップとネクタイに身を包んだ、この歌声の持ち主は……。「紹介します、桜井和寿さんです!!」と和田の言葉が飛ぶや否や、ハットを脱ぎ捨てて満面の笑顔で振り向いてみせる桜井であった。身を震わせるほどの大歓声が場内に響き渡ったのは、言うまでもないだろう。そして“Fly Away”や、「僕が作った曲なんだけど、たぶん桜井さんが歌った方がいい(和田)」と告げられた“FOREVER”といったトライセラ曲を楽しそうに歌いこなしてゆく。「いい曲だなあ!」という桜井の声に、「嬉しい! もうこれ、嬉しいの頂(いただき)ですよね!」と歓喜する和田である。桜井は「チャイさんが出た後に、本物の甲斐さんが出て来るテイで」衣装を選んできたそうだ。登場時に甲斐よしひろだと思ったというオーディエンスの反応を見て、「よっしゃ」とがっちり握手を交わす桜井&和田であった。
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更に、この後には和田が絶賛を寄せつつデュエットを披露するMr. Childrenの“僕らの音”や、“DANCE DANCE DANCE”をプレイ。単に豪華コラボというだけではなく、楽曲への敬愛や理解の深さといい、“DANCE DANCE DANCE”にトライセラのバンド・グルーヴがドンピシャで嵌るさまといい、音楽的にも充実した名演コラボとなっていった。そもそも『ap bank fes’12 fund for Japan』への出演に端を発したという両者の交流は、楽曲の共作にまで発展。和田から送られて来たメロディと歌詞の一部に触れて、その後一気に歌詞を書き上げたという桜井は「和田唱の恋愛観がね、よく見えましたよ」と語り、その共作曲“Stand By Me”を披露する。イントロからして、あ、これ名曲だ、と悟ってしまうぐらいの、コーラス部の爆発的な盛り上がりが凄まじい、ロックなラヴ・ソングであった。レコード会社すら決まっていないけれども、「クアトロフォルマッジオ」なるこの4人のバンドの、デビュー曲にするのだそうだ。いつか届けられる日を心待ちにしたい。

最高のコラボレーションを経た後も、“CAN’T TAKE MY EYES OFF OF YOU”のカヴァーや、林&吉田による“I Wish”(スティーヴィー・ワンダー)風のジャム、そして、3組目のシークレット・ゲストはオーディエンス全員、といった感じで歌声にまみれる“トランスフォーマー”の本編クライマックスまで、収まることのない熱狂が続いた。アンコールの最後にはなんと、再び桜井を招いてAKB48の“ヘビーローテーション”を華やかにカヴァー。古今東西、迫力のロックも華やかなポップスもひっくるめて、音楽は素晴らしいと言い切るためのステージであった。5月から始まる、トライセラの新ツアーも楽しみだ。(小池宏和)
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