【インタビュー】川上洋平×WurtS対談! コラボ曲“VANILLA SKY (feat. WurtS)”のすべてを語る

【インタビュー】川上洋平×WurtS対談! コラボ曲“VANILLA SKY (feat. WurtS)”のすべてを語る

事務所に入ったのも「[Alexandros]がいるから」という理由だったし、今のWurtSがいるのは[Alexandros]のおかげ。だから今回の話はほんとに光栄でした(WurtS)

──今回、[Alexandros]がWurtSとのコラボを実現させた経緯から教えてください。

川上洋平 去年くらいから、なんとなくそういう気分になっていたということに尽きるんですけど、WurtSは事務所の後輩で、彼とやったら面白いかなと思って。きっと忙しいだろうなと思ってたんですけど、すぐに返事がきて。でもこの日までにリリースするとか、具体的な期間は決めずにスタートしたんです。時間がかかってもいいから良いものを作ろうと。別にタイアップがあったわけでもないし、何か1曲、とにかく遊びで作ってみようというような感じでした。

──WurtSさんは依頼を受けて、最初どんな気持ちでしたか?

WurtS [Alexandros]さんの音楽が好きでずっと聴いてきて、UK.PROJECTという事務所に入ったのも「[Alexandros]がいるから」という理由だったし、今のWurtSがいるのは[Alexandros]のおかげなんです。だから今回の話はほんとに光栄でした。ソロアーティストとしての制作は、どうしても独りよがりになりがちなので、他のアーティストさんとアイデアを出し合って音楽を作りたい気持ちは強いんですけど、[Alexandros]と一緒にできるっていうのはすごく嬉しかったです。

川上 確かに同じ事務所っていうのは大きかったかもしれないですね。同じ事務所内でやるっていうのは面白そうだなって。それこそ昔のクリエイション・レコーズのレーベル内でのつながりとか、そういうのはなんかいいなみたいなのがあって、でも我々あまり後輩と絡んだことがなかったんですよ(笑)。あまり後輩だっていう意識もないんですけどね。先輩だろうが後輩だろうが同期だろうが、相手が誰だろうが勝つぞっていうふうにやってきた12年間だったし。でも最近はなんとなく自分にやさしさが出てきたかなと思って。やさしさっていうか柔らかさか。アレキのこの前のアルバムは、プロデューサーを迎え入れて作って、本格的に外の人と一緒に作っていく柔らかさを手に入れたような気がしてたんです。だから今度はプロデュースじゃなくて曲を一緒に作ってみたら面白いかなっていう感覚で。

──WurtSの音楽については、どういうふうに捉えていましたか?

川上 いやあ、すごい不思議な楽曲だなって。もちろん良い曲であることは間違いないんですけど、いったいどうやって作っているのか、どういうことを考えているのか、そのバックグラウンドが気になるアーティストでした。

(WurtSは)「はい。わかりました。やってみます」なんて言っておきながら、結構「我」を出してくる(笑)。そこが何より楽しかった(川上)

──楽曲の制作、そのやりとりはどのようにして始まったんですか?

川上 まず、アコースティックだけの超デモのデモを投げて。これがどういうふうに返ってくるのかなと。きっといろんな扉があると思うから、どのチャンネルで返ってくるのかすごい楽しみだった。だから「こういう雰囲気にしてください」っていうのは、あえて言わずに。言ってみれば雑な依頼というか、大雑把なオファーでしたね。

──そういう投げ方をしたほうが、面白くなるんじゃないかと?

川上 WurtSにどう捉えられるかっていうのが楽しみだったんですよ。それを受け取る俺も刺激になるし。

WurtS はじめから「こういう雰囲気で」とか、アレンジに対するリファレンスはなくて、ほんとに自由にやってほしいと言っていただいたので。まずはロックをキーワードにして作ってみようというのはありましたね。

川上 それで返ってきたものを、まずバンドでやってみたんだけど、自分たちの中でも「ここはこうしたいな」っていう欲が出てきて。普通だったら1回のリターンでオッケーにしちゃうんですけど、まあここは先輩だし(笑)、ちょっとわがまま言ってみようかなと思って、「ここをちょっとこうしたい」と少し作り直しをお願いして。そしたらWurtSはまた大きく作り変えてくるんですよ(笑)。「はい。わかりました。やってみます」なんて言っておきながら、結構「我」を出してくる(笑)。そこが何より楽しかったんですよね。

WurtS WurtS色をどう出していけばいいのかみたいなことはすごく考えました。もちろん大先輩ではあるんですけど、そこは自分の色を出さなければコラボとして逆に失礼にあたるというのは最初から思っていたので。

川上 うん。それがすごくよかったんだよ。正直、コラボっていうと「これやってください」「はい」っていう感じですよね。そういうフィーチャリングじゃなくて、WurtSも含めて[Alexandros]だっていうくらいの感じにしたかった。なので細かいやりとりはほんとに何回もあって、最終的にいい感じに着地したんですけど、ライブで一緒に演る機会もそのうちあるだろうからと、レコーディングに進む前にテンポやキーの確認も含めて、実際にスタジオに集まって合わせようということになったんです。で、実際に合わせてみたら悪くないんだけど、もっと「こうじゃない?」「こうしたほうがもっとよくなるよね?」っていうのが始まってしまって(笑)。結局全部、ほぼゼロの状態に戻ったんですよ。それは俺のわがままな部分が多いんだけど。それ以前のやりとりでお互いが加えていったものを一度すっきりさせるという感じで。

WurtS でも、一緒にスタジオに入ってもう一度作り直すというか、ブラッシュアップさせる作業というのは、自分ひとりで作る時にはまったく経験できないことなので、こういう作り方もあるんだと感動しました。そのスタジオでの作業で曲のイメージが見えたというか。

川上 うん。そのスタジオでの作業がいちばん重要だったかもしれない。

──ロックサウンドとして洗練されてるけれど、いい意味でのラフさを感じる楽曲になったなと思います。

川上 そうそう。ラフにしたかったんですよ。単純に遊びで作った感じを落とし込みたかったんです。なんというか、WurtSと[Alexandros]でデモを作っていた、その楽しさが垣間見られるような楽曲にしたいなっていう。めっちゃ作り込んだ楽曲にはしないほうが面白いのかなっていうのが途中からあって。ラフな感じっていうのはまさにそうだと思う。

WurtS 僕は大先輩と一緒にやるということで、最初ものすごく力が入って、結構ガツガツのものを出してしまったんですよね。でも洋平さんから返ってきたキーワードが「楽しい」とか「ラフ」というので、それを聞いてなるほど、と。そこが[Alexandros]の余裕っていうか、僕に足りてなかったところだなって。

川上 いやそれはそれですごくよかったんですよ。でもそれはWurtSの曲でいいなって思ったんです。これWurtSで出したらいいんじゃないかなって。でも、ともかく最初にぶっつけで出してもらってよかったなと思いますね。最初に全力なものがきて、そこから引いていくという作業だからこそ、この曲が完成したので。

──アコギのストローク感やリフ、ドラムのキックにも、すごくナチュラルに、肩肘張らないロックサウンドが表現されていると思いました。

WurtS この曲は、そこがほんとに大きな魅力なので。コラボをしたからこその到達点みたいな。そこはあらためて感じますね。

──間奏のギターソロに乗るハミング的なところも、リラックスムードで。

川上 そうですね。そういうムードが終始漂っていて。そこがよかったんでしょうね。そういう空気感。でも最初にWurtSが全力で作ってきたやつの要素も残したい部分はいろいろあったんですよね。それこそリフは残したかったから。

──あのリフは最初からあったものなんですね。ほんとにいいリフ。

WurtS 僕もいいリフだなって思います(笑)。採用になって嬉しかったです。

川上 いやもうあれは採用。うちの白井(眞輝/G)くんは作らないタイプのリフだと思ったし、このリフがたぶんいちばん大事な気がするなって思ったので。

次のページこのBメロに、自分自身がWurtSとして初めてレコーディングを経験した時の心情とか、思いを込めて書いていきました(WurtS)
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