wacci「あなたの日々」の集大成『日常ドラマチック』を語る

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私たちは日々、躓いたり、悲しんだり、心を揺さぶられたり、それぞれの場面で様々な感情を抱えながら生きている。wacciはいつでも、そんな感情に寄りそう言葉を、心に響くポップなメロディとサウンドに乗せて届けてくれた。そんな彼らが、2012年11月のメジャーデビューから3年半、ついに初のフルアルバム『日常ドラマチック』をリリースする。これまでのシングル曲を網羅しながら、新曲が5曲入った全15曲というボリューム感。この待望のフルアルバムは、彼らの集大成でもあり、大きな飛躍を予感させる第2章の幕開けでもある。この渾身のアルバムについて、メンバー全員に話を訊いた。

インタビュー=杉浦美恵

せいいっぱい楽曲と向き合ってきた3年半分の色が出ていて、自信を持ってリリースできる(橋口)

──フルアルバムとしては今回が1枚目だというのが、なんだか不思議な気がします。これまでバンドとしては、早くフルアルバムを出したいという気持ちもあったんじゃないですか?

橋口洋平(Vo・G) 早く出したかったですね。シングルリリースを続けて、まだまだ、もっとたくさんの人に届けていかなきゃって思いながら、気づいたら3年半が経っていました。今回この『日常ドラマチック』というアルバムができて、改めて通しで聴いたんですけど、3年半かけてよかったなと思いました。3年前よりも今の方が上手になったっていうことももちろんあるけど、その時にしか出せない音っていうのも確かにあって。その時の自分たちなりに、せいいっぱい楽曲と向き合ってきた3年半分の色が出ていて、自信を持ってリリースできる1枚です。

──「ようやく出せた」っていう思いが強いですか?

橋口 僕は「満を持して」って言っていますけど(笑)。でも、ようやく、ですよね。

──アルバムの1曲目は、5枚目のシングル曲である“大丈夫”。この曲は、wacciにとって、より多くの人に存在を知ってもらうきっかけにもなった楽曲ですよね。

橋口 この曲は、明らかにこれまでとは違う広がり方をしてくれた曲で、YouTubeでも340万再生くらいまわって、地方に行ってもこの曲を知ってくれてる人がすごく多いんです。一緒に口ずさんでくれたり、たくさんの人との出会いを作ってくれた曲なので、“大丈夫”がこの1stアルバムまで連れてきてくれたと言っても過言ではない気がします。応援してくれる人たちへの感謝を込めて、また、wacciへの入り口という意味でも、この曲を最初に持ってきました。

──みなさんは、アルバムができあがっての感想はいかがですか。

横山祐介(Dr) オリジナルアルバムに3年半前のシングルが入ってるって、たぶんそんなにないことだと思うんですよ(笑)。僕も最初は、ちょっと違和感があるのかなと危惧していたんですけど、聴いてみればやっぱり全部僕らの音で。その時その時で誠心誠意やってきたおかげで、今聴いてもちゃんと成り立っているなっていうのが、率直な感想でした。

村中慧慈(G) 結果論でしかないんですけど、できあがったものを聴いてみて、リリースするタイミングが今でよかったなっていうのはすごい思いましたね。デビュー当時にミニアルバムを出して、その流れでフルアルバムまで作ってたら、もしかしたらもっとバタバタした作品になってたかもしれない。わかんないこともたくさんあったし。で、今、シングルを6枚出して、何人かアレンジャーさんにも関わってもらって、勉強できたことが本当にたくさんあるので。もちろん僕らのファンの方や応援してくれてた人には、待たせてしまったかもしれないけれど、今一番自信を持って「これがwacciだ」と言えるものができたから、僕は本当にこのタイミングでよかったと思います。

因幡始(Key) この前ツアーがあって、僕らは車で移動しているんですけど、その移動中に1回通しで聴いてみたんです。

──おお、みんなで聴いたんですか。

因幡 いや、まあ、寝てる人もいたんですけど(笑)。

村中 はい。僕は寝てました。

因幡 レコーディングの時のミュージシャンとしての耳ではなくて、本当にプライベートで車に乗って音楽かけてっていう感覚で聴いてみたんです。それで、いい意味で、まあ濃いなと(笑)。すごく濃厚な、これは3年半かけないとできなかったアルバムだなと思いました。1年くらいじゃ、この濃さは出せなかったと思う。僕らにとっては、全曲が推し曲みたいな作品になったと思うので、出来上がりにはすごく満足してます。

小野裕基(B) 改めて、いい曲いっぱいやってきたんだなって思いましたね。因幡が言ったみたいに、結果として濃いものになったのは、シングルがたくさん入ったことで、いろんな角度のwacciらしさがぎゅっと1枚に凝縮したからだと思います。

全員が納得いくまで話し合って決めた新曲を入れました。これまでとこれからのwacciが詰まった1枚になっている(橋口)

──ベスト盤的な要素もありつつ、新しいwacciの魅力を伝える様々な新曲も入っていますよね。収録曲のバランスはあらかじめ考えて制作したんですか?

橋口 アルバムを出すことが決まってから、何度も話し合いを重ねました。6枚のシングルを出しているので、それは入れるっていうのと、これからのwacciを見せたいというのもあって。聴いてほしい曲がたくさんある中で、CD1枚に74分くらい入れられるから、その限界まで入れようっていうのが前提としてあって。その上で、シングルを全部入れた場合、結局あと何曲入れられるんだっけ?って。で、新曲を5曲──、本当は6曲入れたかったんですけど、そこはみんなで本当に何度も話し合って。

──そうすると、新曲をレコーディングするにしても、1曲の長さも考えなきゃいけないですもんね。

橋口 そうなんですよ。だから、これ長いからもったいねえな、みたいな。尺食いすぎじゃね?とか(笑)。僕らはいつでも物事を、単純な多数決では決めないでひたすら全員が納得いくまで話し合うんです。なので、今回は最終的には5人全員が納得して決めた新曲を入れました。これまでとこれからのwacciが詰まった1枚になっているはずです。

──そういう話し合いはどんな現場で行われたんですか?

橋口 事務所の会議室です。まさにこの部屋の隣にある会議室で(笑)

──本当に、「話し合うぞ」っていう場を設けて会議するんですね。

村中 そうですね。

小野 ホワイトボードも出して、意見を書き出しながら。

──意見が割れることも?

横山 意見はだいたい割れますよ(笑)。

橋口 プレゼン能力があるタイプと、彼(村中)みたいに、「こっちの方が好きなんだよー!」みたいな、気持ちが先走るタイプとで意見が分かれがちです。

──村中さんは気持ち優先タイプで、橋口さんは理論派?

橋口 どちらかというとそうですけど、特に、横山が理系の大学院卒なので(笑)。それと対照的に、村中は気持ちと直感、みたいなところが一番強い。でも、そういう直感も大事だったりするんですよね。理屈では説明できなくても、その感覚はないがしろにできないと思うことが多いから。村中発案の企画もたくさんあるし。

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