ROACH バンドの現在地を示すシングル『THE TIME IS NOW』誕生!

ROACH

ROACHが2016年6月15日(水)にシングル『THE TIME IS NOW』をリリースする。昨年8月に、長い歴史の中で初めてセルフタイトルを掲げたフルアルバム『ROACH』をリリースし、節目を迎えて落ち着いたかと思いきや、彼らはますます前しか向いていないということが、ひりひりと伝わってくるシングルだ。《人生は短いという事に気付くべきなんだ/嘆く為の時間なんてないんだ》(和訳)という、一言一言がグサリグサリと刺さる歌詞、そして膨大な熱量を湛えた演奏。インタビューの中でも、この楽曲は生まれるべくして生まれたのだと感じられるような、説得力ある言葉をたくさん聞くことができた。

インタビュー=高橋美穂

「アルバムを消化してネクストステップが見えたからシングルを作ったんですか?」ってよく訊かれるんですけど、全くの逆で、フラストレーションのほうが大きかったんですよ(taama)

――ちょっと遡ったところからお話を伺いたいんですけれど、ROACHは10年以上の活動歴を誇るバンドじゃないですか。そんな中で昨夏に『ROACH』というセルフタイトルのアルバムをリリースしたのは「今だ」と思ったからなんですか?

taama(Vo) 「今だ」って思ったわけではないんですけれど、アルバム出すんだったら、『ROACH』って名前をつけようかなっていうのがきっかけだったんですよ。悩みながら続けてきたので、いつも、自分が次に何を作るのかどうなっていくのかわからずに、やりながら感触を掴んでいく感じだったんで、次はこうだっていう明確な道があったわけではないんですけど。『ROACH』は、タイトルを付けてそこに向かっていった感じです。タイトルが道しるべになったというか。

――これまで、セルフタイトルのアルバムを出せるタイミングもあったと思うんです。でも、出そうと思ったのは今回が初めてだったんですか?

taama そうですね。

――なんででしょうね?

taama さあ、神のみぞ知るところですよね(笑)。そういうのに理由をつけようとすると、話が屈折していくので。

――わかりました。では改めて振り返って、この内容でこのタイミングで、セルフタイトルのアルバムを出せて良かったと思いますか?

taama そうですね。バンドも長いですし、結婚もしているし、いつバンドがなくなってもおかしくないなって思っていたんです。なくなったあとで、たとえば子供ができた時に、「これお父さんがやっていたんだよ」って聴かせて、「でも音がちょっと良くないんだけどさ」とか言い訳するってダサいなあって。だったらみんなが納得できる作品を作ろうと。俺はタイトルを掲げたから、それだけで十分だな、メンバーみんなが気持ち良くやれるものになったらいいなって思っていました。今まではメンバーよりも前に立つか横並びのイメージだったんですけれど、アルバムに向かってからは、メンバーより後ろっていうイメージだったんです。3人のやりたいことを認識しながら落とし込んでいくようにできたかなって。それで、この4人の『ROACH』になったとは思っています。

――アルバムをリリースしてからツアーがあったじゃないですか。そういった一連の活動は、今作に影響を与えていますか?

taama アルバムは満足いったんですよ、作品として。でも、それでライブをやるとなると話が別で。よく「アルバムを消化してネクストステップが見えたからシングルを作ったんですか?」って訊かれるんですけど、全くの逆なんです。フラストレーションのほうが大きかったんですよ。もっと熱いライブをやりたい、もっとむちゃくちゃなライブをやりたいと思った時に、アルバムの曲では足りないなと。もっともっと熱量のある曲が欲しくて、アルバムに足りないもの、ライブに必要なピースを作らなければいけないと思って。そうしたら、メンバーみんな同じ認識でいたんで、そこに向かっていった感じですね。

――セルフタイトルのアルバムって、そこで一区切りというイメージがありますけれど、ROACHにとっては、より前に前に進むための原動力になったんですね。

taama そうですね。最初に事務所に所属して活動をスタートさせた時に、フルアルバムはリリースしているんです。メンバーも違うし、もう廃盤になっているんですけれど。その時はうわーって何が何だかわからないまま怒濤のように過ぎていって、それからは、ミニアルバムやシングルしか出してきていなかったんです。だから、『ROACH』は自分の中で2枚目のアルバムっていうつもりだったんですけど、インタビューで「初めてのアルバムおめでとうございます」って言われて。そこで、自分の中でも、「ああ、これって初めてのアルバムなんだ」って思えたんです。今のメンバーで初めてのアルバムだし。その時に『ROACH』ってタイトルをつけたことも納得できたんです。インタビューとかを受けて、初めて。これ2ndアルバムって言う?でもすげえ昔だしな、って言いながらインタビューに向かっていたんですけどね。セルフタイトルって、時が来た時か、最初につけるものだと思っていたんです。だから、しっかり1枚目になってるんじゃん!って。

東京にいるときは、田舎もんを嫌って、地元に帰ったら東京の文句言っている奴がいて。否定しちゃうと、どっちにいても、何か敵にしないと自分を肯定できないっていう。それ、めっちゃカッコ悪いと思うんです(taama)

――それじゃあ、セルフタイトルをつけた意味というのはあとからついてきたんですね。

taama そうですね。沖縄から出てきて、東京でバンド活動をしていくうちに、景色も変わっていって。沖縄にいた時より遠くも見えて、もっと遠くまで届けたいね、もっと一体感を、って認識で作品を作っていたんですけれど、前回のツアーが終わって思ったのは、いや、熱量でしょって。沖縄でライブをやっていた頃にグワーって帰っていく感じがあって。これで満足しないんだ、やっぱ田舎もんのままなんだ、じゃあ田舎もんのまま突き進もうと。俺は、ライブをやるために、仕方ないから曲を作るか、自分たちが爆発するためのBGMなのかなぐらいに思っています(笑)。

――田舎もんって仰いましたけれど、上京して何年になるんですか?

taama 3年?

Daisuke(Dr) 5年?

taama どっち? 前は引っ越してきた時からのカウントでしょ?

Daisuke じゃあ2年かな。行ったり来たりの生活が5年くらいですけどね。

taama ツアーをやっているうちに沖縄にいる時間がなくなっていって。

Daisuke 俺、沖縄の家を引き払ったのが5年前ですね。

taama 俺、もうちょっとあとだ。帰る帰るってどこに帰るの?みたいな(笑)。自分の中で拠り所がわからない、っていう。

――ツアーバンドあるあるですね(笑)。東京に定住しても、田舎もん意識ってありますか?

taama ありますけど、俺の周りの話で、東京にいるときは、東京のルールを知らない田舎もんを嫌って、地元に帰ったら東京の文句言っている奴がいて。それを見て、結局、片方を好きにならないと、もう片方を好きになれないんだなって。否定しちゃうと、どっちにいても、何か敵にしないと自分を肯定できないっていう。それ、めっちゃカッコ悪いと思うんです。だから東京を好きにならないと、地元を好きになれないなって。どっちの景色も見ているし、どっちもあっての自分なんで。地元の友達とも、同じような感覚で話ができないんですよ。今となっては。生きている時間の流れも違うし、見ている景色も違うので。じゃあ、田舎もんっていう意識で生きてるんですねって言われると、そうなんだけどそうじゃないっていう。

――なるほどね。私自身、地方出身なんで、その考え方を聞いて目が覚めるようです。東京に10年以上住んでいても馴染めないんですけれど、地元に帰っても以前とは景色が変わっていて。どこにいてもよそ者感があるんですよね。

taama マジっすか? もったいない!(笑)。

――だから、taamaさんのような考え方をすればいいんだな、って。

taama 東京って変じゃないですか。47都道府県で、ここだけ変なんですよ。ここだけ特別なんで。そう思っていないとやられちゃう。でも、集まっているのは日本人だから。なんで歩くの速いんだろうとか、時給高いんだろう、立っているだけで疲れるんだろうとか、自分なりに決着つけたら、めっちゃ好きになるんですよ。

――なるほどね。思いっきり脱線して聞き入ってしまいましたが(笑)、“THE TIME IS NOW”の歌詞も、いろいろ見えたものがあるからこそ書けたんでしょうね。 

taama 今話したのとか、全部ひっくるめてなんで。ずっと生きてきて思ったことですね。なんのためにライブやってんのかな、なんのために音楽やってんのかな、って。売れたいからやってるのか、続けたいから売れたいのか、どっちなの?っていう。冷静にお客さんをさばきたいのか、ただただ爆発したいのか……でも、俺はただただ熱いライブが好きだから、それさえやれればどうでもいいやって振りきった未来を、また見てもいいかなって思って。東京でライブをやり始めた頃は、受け入れてもらえなかったんです。柵とかポーンって外して、前に来るまでやらないよって寝そべったりしていたんですけど(笑)。それは、完成しているバンドがやったらカッコいいと思うんですけれど、東京に出てきたばっかりだったし、「何やってんのこの田舎もんバカじゃないの?」って思われたと思うんです。怒られたこともあったし、これじゃダメなんだって思ったこともあったんですね。で、日本でバンドをやるにはどうすればいいのか、いろいろ考えたんですよ。沖縄と違いすぎて。このタイミングでまた沖縄の話をするのもそういうことなのかなあと思うんですけれど、昔求めていた熱さを取りに戻ってきているのかもしれないですね。

――今なら柵を外してもいい、と。

taama それをやれないならやっても意味がないかなって。爆発しよう!っていう。どうなれば受け入れてもらえるかじゃなく、このままの俺らをどうやったら認めさせられるかなって考えたほうが合理的だな、楽しいなって。

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