波なら自分たちで起こせ! PAN、「自由」と新作『PANJOY!!!』を語る

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PANが2017年4月12日(水)に7枚目のフルアルバム『PANJOY!!!』をリリースする。結成から22年というキャリアの中で、今の彼らは最も波に乗っている。しかもその状況を自分たちで作り出している。表現者としての誇りを磨き続ける中でさまざまな歯車が噛み合ってきた現在の心境。楽しくてグッとくる唯一無二の楽曲はどのように生まれるのか。そんな話をメンバー全員に語ってもらった。彼らの言葉と音楽は、多くの人へ届くべきものだと改めて思っています。

インタビュー=秋摩竜太郎

「この曲でPANを知った」ってライブに来てくれた人が、餃子の王将の社員の方で(笑)(川さん)

――前作『具GOODグー』のリリース時も取材させてもらいましたが、この1年弱の期間を振り返っていただくとどうです?

川さん(Vo) ツアーをしながら今回のアルバムのレコーディングもしていて。それが終わって、音源としては完成した中でツアーファイナルをやったというPANにとっては革命的な状況で。終わるときには次ができてるっていう。

ゴッチ(G) 素晴らしいことです。

――ツアー中に制作って普通やらないですよね?

川さん うん、別の頭を使うから。

よこしん(Dr) やっぱCD作って終わりではないし、ライブをしていく中で曲が成長していくというか、こうしたいああしたいっていうこともありつつ新曲もっていうのは、自分は切り替えが苦手なので大変ではありました。

――そんな中こんなカッコいい曲を作ってるぜって披露したいけどできないみたいなところも?

ダイスケ(B) そのもどかしさはありましたね(笑)。

川さん でも結局やり切れたっていうところで、やればできるんやなって。20年以上やってきて、さらに自分らでもわかる進化ができたことはよかったなと。流れを途切れさせずに、ここでもう一回ドーンと行くほうがPANにとって絶対いいと思った。ここ4、5年はスピードアップしてる感じがあるし、特に今勢いがついてきてるのは感じるから、もっと上に行きたいっていうところですね。

ゴッチ あと前回のツアーは期間的に長いスパンでできて。じっくり全国を回るっていうのは初めての試みやったけど、それが作品を作るにあたってよかったのかなっていうのもありますね。

川さん 初日から2本目までに1ヶ月半くらい空いて。「ツアー始まってんのか?」みたいなところはあったけど(笑)、今までのツアーと違うのは餃子の王将に応援してもらったことで( “ギョウザ食べチャイナ”で餃子の王将とコラボレーションしていた)。それで知ったって人も実際いたと思うし。横浜だったと思うけど、「この曲でPANを知った」ってライブに来てくれた人が、餃子の王将の社員の方で(笑)。

ゴッチ 普通に3、4列目にいました(笑)。

川さん そう、関係者って感じじゃなくて、ちゃんとチケット買ってくれてて。それを事前に聞いてたから、ライブ中にMCで振ってみたらめっちゃ前におって。

ゴッチ 楽しんではるわ〜と。

――社員というかキッズみたいな(笑)。

川さん でもけっこう年配の女性で(笑)。こういう出会いもあるんやなと思いましたね。

イントロのリフが思いついたとき、PANにハマるだろうっていうのは最初から思った(ゴッチ)

――充実のツアーだったようですね。さっき言ってたように、最近のPANは本当に波に乗っているというか、自分たちで波を起こしてるところが素晴らしいと思います。王将とのコラボも歌詞に店名を入れた曲を作ってしまってから決まった話でしたし。

川さん やっぱりね、待ってても何も来えへんなっていう。もがいたりして自分らから波を起こしていく。それに乗ってきてくれみたいな。とにかく動かないと何も繋がっていかへんっていうのは、ここへ来てさらに思うようになりましたね。

――まあ若い時はそれができると思うんですよ。でも22年目、30代後半のバンドにとっては口で言うより難しいことなはずで。

川さん まあ17、18とか何も怖いものがないときの勢いってだんだん変わってくるもので。でもバンドをやってたら上には上がいるし、たぶんそういう人らも一緒なんやろうなと。自分で何か巻き起こしてるやろうし、余裕でやってる人はおらんやろうなって。それは間違ってないと思うし、そこが頑張ってんねやったら俺らはもっとやらなあかんなみたいな。そんな気持ちですね。

――なるほど。では今回のアルバムですが、僕が感じたのは勢いそのままにバンドの裾野を広げていってる部分と、変わらぬ芯を磨き続けてるところのバランスが絶妙だということで。まず前者の話をすると例えば“揺れるおしり”。これは単純に男として一番好きな歌なんですけど(笑)――。

ゴッチ (笑)。

――でもセクシーな意味だけじゃなくて、その先へ一歩踏み出そうみたいなメッセージも込めてますよね?

川さん どっかまで行きたい。どんな手段でもいいから前に進んでこうやっていう例えとしておしりを出してて。おしり目がけて進んでたら目的地に近づくやろみたいなところですけど、このキーワードが出てきてから頭から離れなくなって(笑)。これに勝つ言葉はないなみたいな。

――それにフロアで踊ってほしいみたいな気持ちも感じられます。

川さん 揺れるってところはライブに繋がる言葉であったり。まだライブでやったことはないけど、盛り上がれる曲になると思います。

――“たまごのうた”はカントリー調ですけど、今までにない曲調ですよね。

ゴッチ ここまでのはなかったですね。

川さん (ゴッチが)持ってきた段階と根本はあんまり変わってなくて。

ゴッチ 最初にイントロのリフが思いついたときに「これいいな!」と思って、そのまま流れで最後までいけて。たぶんPANにハマるだろうっていうのは最初から思ってました。

――JA全農たまごとコラボしてますけど、今回も曲ができてから決まった話なんですか?

川さん はい前作通り(笑)。曲がシンプルでメロディも単純で、歌詞は逆にどうしようかなっていうのがあって。出来上がった段階ではいろんな音が入ってますけど、当初は本当にシンプルだったんで。そこから食べ物の、野菜とかがいっぱい出てくる歌にしようかなってなんとなく思いついたんですよ。でもにんじんは邪魔やなとか省いてるうちに最後にたまごが残って。これがスーパーのたまご売り場とかで、ラジカセから流れてたりしたらおもろいなと思って。

――これ、まさにたまご目線の歌じゃないですか。どうやったら書けるのか不思議で仕方なくて。

川さん たまごに1回なりきる(笑)。あと、台所で歌詞を書いてたっていうのが大きいかも。

――台所?

川さん 今回は台所に椅子を持って行って、座って考えることが多かったですね。例えばコーヒー飲みたいなと思ったらすぐ作れるし。冬場やったんで、冷えたらすぐ温められるしみたいな。思いつかへんときに無駄に冷蔵庫を開けて、別に何も取らへんのに中を見て閉めてみたいなことを繰り返してたのもあって食べ物の歌になったんかな。だから歌の中でも途中で冷蔵庫が出てくるんですけど。

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