祝・ORANGE RANGE結成15周年! コラボベスト『縁盤』に見る無限の可能性とは

ORANGE RANGE

ORANGE RANGEの結成15周年タイミングでリリースされたコラボベストアルバム『縁盤』がおもしろい。タイトルに表れているとおり、縁のある人たちを招いた全15曲。まず目につくのは、MONGOL800、リュウグウノツカイ、安次嶺希和子、琉球國祭り太鼓、ARIA、よなは徹、メンバーの母校・山内中学校吹奏楽部という、ORANGE RANGEならではの沖縄勢。そして、同世代のTHE BACK HORN・岡峰光舟、TOTALFAT・Kuboty、サポートドラムとして幾度となく共演経験があるINKTのSASSY、NAOTO(G)がリスペクトを寄せるYMOの高橋幸宏など、まさに今の自分たちが繋がっている等身大の関係性を大事にして作った作品だ。様々な要素がまざったミクスチャーなORANGE RANGEの楽曲が、バンド外から多彩な声や音を取り入れることによって、さらに雑多になっていて、とても聴きごたえがある。

この夏、『縁盤』ではモンパチとコラボレーションしている“以心電信”を『MUSIC STATION』で11年ぶりに披露してお茶の間を湧かし、8回目の出演となるROCK IN JAPAN FESTIVAL 2016では、1曲目の“上海ハニー”からラストの“キリキリマイ”まで、キラーチューンをたたみかけて圧巻のライブを繰り広げたORANGE RANGE。15周年を迎え、脂が乗ってるかのようにロックシーンをかき回す存在にどんどんなってきている。

インタビュー=小松香里

“キリキリマイ”はずっとライブでやってる曲ではあるから。もみくちゃになりながらとか汗だくで歌ってるイメージが強い分、スタジオでこの曲を録るのは温度差がすごい激しくて

――『縁盤』は、今のORANGE RANGEの縁が透けて見えるような内容になってますよね。「名前を知ってるからオファーしてみよう」とかじゃなく、実際仲が良かったり、付き合いがすごく長かったり、自然な関係性で作られたように思えますが、そこを大事にしたんでしょうか?

YAMATO(Vox) そうですね。まあ無理はしてないというか。自分たちの身の丈に合った感じっていうか。無理して「じゃあお願いしますー」って感じではなく、ORANGE RANGEらしさでできたコラボかなと思います。

YOH(B) コラボレーションって簡単にやろうと思えばできるっちゃできるんですけど、やっぱり理由とか根拠が自分の中にないとなかなか進めていきづらいから。それで時間をかけて作っていきましたね。NAOTOも最初の段階からたくさんアイデアを出していたので、それも聞きながら、同じ角度だったり、別の角度からだったり、考えてって感じですね。

NAOTO 僕は思いつくままに、とりあえず雛形を作ってみんなにプレゼンして。で、可能性のあるものだけをやっていこうかみたいな。それで、オファーは全部自分たちからしました。

――具体的に「この曲をやりたい」とかオファーしていったんですか?

NAOTO それは曲によって、ケースバイケースで。たとえばモンパチは、「とりあえずモンパチとやりたい、じゃあ何やるかなあ」っていう感じだったし。ほかだと、「“花”やりたい、じゃあ誰とやるかなあ」とか、大まかに2パターンでしたね。

――1曲目にはデビュー曲の“キリキリマイ”が×ORANGE RANGEっていう名義で収録されてますけど。このセルフリメイクは、どの段階でやろうって話になったんですか?

YAMATO いやあ、全部同じくらいの段階だよね。RYO(Vox)からは「山嵐とやりたい」っていう意見はあったんですけど、デビュー曲なんで、結局自分たちでやっていいんじゃないって方向になりました。

NAOTO それで、普段ライブでやってる感じをそのままスタジオでせーのでやったっていう。

――15年前に録った時のこととか思い出しました?

YOH たぶんみんなそれぞれの向かい方があったと思うんですけど。リズム隊的には、ライブで積み重ねてきたものをぶつけた感じがあって。当時の録り方とは全然違ったと思います。

RYO あと、ライブとスタジオで録るのはやっぱ違うなと思って。新鮮な感じでしたね。

HIROKI(Vox) ずっとライブでやってる曲ではあるから。やっぱもみくちゃになりながらとか、汗だくで歌ってるイメージが強い分、スタジオでこの曲を録るっていうのは温度差がすごい激しくて。

――2曲目のMONGOL800との“以心電信”は途中でいきなりウクレレが入って、テンポもガラッとゆっくりになってキヨサクさんの雄大な歌が聴こえるっていう。これはどういうイメージだったんですか?

HIROKI モンパチは同郷の先輩だし、もうみんな昔から知っているバンドで。さっきNAOTOが言ったみたいに、「何かやりたいね」っていうオファーかけて。ウクレレとかもその場の流れで。

YAMATO ウクレレのメロもその場で考えて作ってそのまま入れた感じで。即興が良かったです。モンパチって、そういう即興をよくやってるってこともあって。自分たちは、他の現場行っていきなり「なんか即興でやって」って言われてもそういう力はないんで、見せてもらって勉強になりました。

――でもORANGE RANGEもアコースティックスタイルとか、どんどんいろんなスタイルでライブをやるようになってますよね。それについては何か思うところはありますか?

HIROKI そうですね、やり始めたのが震災以降で。「何かできたら」っていう思いで東北に行くようになって。でも実際、無力感というか――環境が整ってるところでしか音楽が鳴らせないっていう悔しさもあったし。そこから少しずつアコースティックとかに取り組むようになってってるんですけど。今はそのスタイルでいろんなイベント、フェスに出たりしてて。まだまだ全然未熟ですけど、自分たちのなかでもいろんな可能性というか、引き出しが広がった感じがしますね。

人間的なあったかさの部分もいろいろ重なってコラボレーションできたのですごい良かったなって。そういうのも大事って再確認できた

――いろんな人と一緒にやってみて、驚いたことはありましたか?

YOH そうですね。でも全部思いっきりやったので、驚くことは逆になかったかもしれないです。みんな色持ってるし、それぞれのフレーズがあるし、そういうことを想定してたので。だからきっと、みんなの色が混ざって、そういうアルバムになるんじゃないかなと思ってて。自分の担当した曲もそうですし、全部そういうふうになったのでそれがすごい良かったですね。

――“GOD69”では、同じベーシストであるTHE BACK HORNの岡峰光舟さんと、ドラムでBACK DROP BOMBの有松益男さんが参加してて低音の効いたグルーヴがすごいことになって。しかもさらに男鹿なまはげ太鼓が絡んで、かなりトライバルなアレンジになってますよね。

YOH 益男さんに関してはドラムのチューニングもやってる人なので――SASSYと同じ録り日で、結構バーッて益男さんに叩いてもらったんだけど、そのあとにすぐSASSY用のに変えてもらって引き続きドラムを管理してくれたりとか。そういう人間的なあったかさの部分もいろいろ重なってできたのですごい良かったなって。大きい組織が動いていろいろ成立させてっていうコラボもいいけど、それとはまた違って、そういう人間的な部分もいろいろ繋がってできたっていうのが、それも大事かなって再確認できた機会でした。

――“one”は、東日本大震災をきっかけに配信された曲ですが、宮城県の山元町の山元タイムとふじ幼稚園のコーラスが入っていて。音のコラボレーションっていうのだけじゃなくて、人と人との繋がり自体を大事にしている部分も強いですよね。園児たちにはどういう風に参加してもらったんですか?

HIROKI せーのっつって。

YAMATO 一所懸命練習してくれたみたいで。山元町には、震災起きてから、何度か足を運ばしてもらってて。で、そこでいつも読み聞かせしたりとか、園児と触れ合ったりとかしてて。で、そこで山元タイムのお母さん方が僕たちをもてなしてくれて、ごはんを用意して一緒に食べるとか。そういった繋がりは、震災が起きてからできたことなので。それで今回、縁がテーマなので、その繋がりを“one”という曲でどうしても形にしたいっていう思いから、『園児たちに歌ってもらいたいな』という要望を出したら、園長先生が喜んで「いっぱい練習させておきます」って。行ったらみんな――NAOTOのギター1本しか持っていってないんですけど、それを何回もループさせて、一所懸命元気な声で歌って。なんかとても響きましたね。

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