Text by SHINO KOKAWA Photographs by LAWRENCE WATSON

ノエル・ギャガラーズ・ハイ・フライング・バーズのニュー・アルバム、『チェイシング・イエスタデイ』が素晴らしい。前作『ノエル・ギャガラーズ・ハイ・フライング・バーズ』を遥かにしのぐ傑作であり、何よりもノエル・ギャラガーを今再び「発見」するような驚きの一枚だ。オアシス〜ソロと20年以上に及ぶキャリアを誇り、そのほぼ全ての時期において世界最高のソングライターの1人であり続けたノエルに、まさかこんなにも未開の可能性が秘められていたとは。私たちがこれまで理解していたノエル・ギャラガーという人の才能が、実は彼の本質のほんの一部にしかすぎなかったこと、その驚愕の真実を本作は突きつけてくるのだ。

『チェイシング・イエスタデイは』はオアシス、ソロの両時代を通じてノエルが初めて完全セルフ・プロデュースで作り上げた作品だ。つまりソングライティング、レコーディング、プロダクションのすべてをノエル自身がコントロールしているということで、その自由裁量の下でノエルの才能にかけられていたあらゆるリミッターが解除されている。ノエルがここまでサイケデリックをやりきったのは初めてのことだ。それはさらに進んでスペース・ジャズ、スペース・ファンクと呼ぶべき圧巻の音世界が広がっている。エレクトロやディスコ、アンビエントといったオアシス時代には到底想像できなかったサウンド・エッセンスが、彼の黄金のメロディーと混じり合ってまったく新しいアンセムを生んでいる。今までに無かったタイプのソングライティングに加え、多種多様な曲が入り交じるアルバム全体を的確にデザインするプロデュース力も信じられないぐらい素晴らしい。「ノエルってこんな曲も書けるのか!」、「こんなことも出来るのか!」という驚きが次から次へと襲ってくるのだ。

そして何よりも、オアシスという名の枷が外れたことで生まれた新機軸のナンバーもあれば、同時に「オアシスのノエル・ギャラガー」の面目躍如な痛快ロックンロール・ナンバーも多数含まれているのが本作の凄いところなのだ。ノエルがオアシスをやめたからこそ拓けたいくつもの可能性と、今なおノエルがオアシスを「信じている」からこそ鳴らすことができるメロディーとビート。そのふたつが本作の中で、そしてノエルの中で、喜びと共に共存している様は感動的ですらある。

ここで観ることができるのはRO69独占、ノエル本人による『チェイシング・イエスタデイ』全曲解説だ。各曲にまつわる豊かなエピソードの数々が、ノエルらしいユーモアたっぷりの語り口で披露されている。『チェイシング・イエスタデイ』は聴く前に、武道館を即完させた4月の待望の再来日の前に、必見の映像だ。

全曲解説

❝リヴァーマン❞は、今の俺だからこそ書けた曲なんだ。❝ロックンロール・スター❞も二度と書けない、なぜなら……理由は分からないな。❝リヴァーマン❞もそういう曲だ

01Riverman

02In The Heat Of The Moment

03The Girl With X-Ray Eyes

04Lock All The Doors

05The Dying Of The Light

❝ザ・ライト・スタッフ❞はおそらく賛否両論あるだろう。❝ロック・オール・ザ・ドアーズ❞が好きな人はこの曲を不愉快に思うかもしれない。酷評されても仕方ない、覚悟はできてるさ

06The Right Stuff

07While The Song Remains The Same

08The Mexican

09You Know We Can’t Go Back

ジョニー・マーの演奏は素晴らしいの一言だ。俺たちとは本当に次元が違うんだよ。音を聴いただけで、彼のギターだと分かる。壮大な曲に仕上がったと思うよ

10Ballad Of The Mighty I

Music Videos

In Heat Of The Moment

Ballad Of The Mighty I

Do The Damage(アルバム本編未収録/初回生産限定ボーナス・トラック)

提供:ソニー・ミュージックレーベルズ

企画・制作:RO69編集部

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