イトヲカシ メジャーデビュー、フェス出演──2016年、夏を語る!

イトヲカシ

伊東歌詞太郎(Vo)と宮田“レフティ”リョウ(B・G・Key)によるユニット=イトヲカシ、ニューシングル『スターダスト / 宿り星』でメジャーデビュー! 路上ライブ主体という「ホームグラウンドなきライブ活動」を通して、他ならぬその歌と楽曲そのもので、多くの人の心に不動の「音楽の理想郷」を築いてきた彼ら。それぞれ別のバンドで夢を追っていたものの解散、やがてネットシーン屈指の歌い手/ボカロPとして圧倒的な支持を集めてきたが、その楽曲やライブはいつだって「夢を原動力にして前進し、新たな夢を獲得する」というバンド少年そのものの無垢な情熱に満ちている。
5月には初のライブハウスワンマンツアー「イトヲカシ first one-man tour 『捲土重来』」を開催、さらに8月にはROCK IN JAPAN FESTIVALに初出演──といった活動を通して、音楽探求精神をさらに熱く燃え上がらせているふたりに、メジャーシーンという新たなステージに立った「今」の想いを語ってもらった。

インタヴュー=高橋智樹

GRASS STAGEの景色を観てしまったら、「ここを目指さないと嘘だな」って思った(宮田)

── この間のROCK IN JAPAN FESTIVAL 2016最終日、素晴らしいアクトを見せていただきまして。ライブそのものも良かったし、「僕らそれぞれバンドやってて、どちらも解散しちゃったんだけど。ロッキンのステージも、バンド時代どれだけ夢見たことか!」というエモいMCも非常に胸アツで。

伊東 すげえ嬉しい!

宮田 まあでも、バンドマン誰しもの夢でもあると思うので。本当に感慨深いっていう……それに尽きると思いますね。

伊東 僕らちょっと前に、フェス形式のサーキットライブにトリで出させていただいたんですけど、タイムテーブルの裏にすごく人気のある(アーティストの)人たちがいらっしゃって、僕らのお客さんが30人ぐらいしかいなくて。それで、「これが現実だから、今まで知られてなかった人たちに、僕たちの音楽をもっともっと届けていかないといけないんだな」って思ったし、「ROCK IN JAPANもそうなるんじゃないか」っていう覚悟を持ってWING TENTのトップバッターを務めさせてもらったんですけど……人がどんどん集まってきてくれて──。

── もっとアウェイだと思ってた?

伊東 アウェイだと思ってました。でも、あれは僕らのファンだけじゃないと思うんですよね。ライブの中盤で、もうテントから人があふれていて、後ろの方まで手拍子してくれてるのが見えて。「きっと僕らの曲を知らないのに、一緒にやってくれてるんだろうな」って思ったりすると、もうたまらなく嬉しくて嬉しくて……やっぱりもう、喉から手が出るほど出たかったステージなんですよ、バンドやってた時に。ここまで出られなかったけど、今回出られたっていうのは、目の前のお客さんが今まで再生してくれたりとか、CDを買ってくれたりとか、路上ライブに来てくれたり、ツイッターでつぶやいてくれたりとか……そういうのが重なっていって、やっとあのステージに立つことができたと思っているので。改めて、ご褒美のステージをいただいたなっていう気持ちで、すごく楽しくやらせていただきました。

── 僕はちょうどあのステージを、同時進行でクイックレポートの原稿(クイックレポートはこちら)を書きながら観ていて、その見出しに思わず「バンド少年の夢」っていう言葉を入れたんですけども。ああいうステージを観て改めて思うのは、イトヲカシのおふたりは、「ネットシーンで一定のポジションを勝ち得た者」として舞台に立ってないんですよね。少年の心を持って、ゼロから挑みに行ってるっていう。

伊東 チャレンジャーですからね。味方がいないと思ってたんですけど、あんなに……WING TENTのステージが終わった時点で、まずは大きな幸せを得たなと思ってました。

宮田 あのステージからの光景は、一生忘れることはできないですし。お客さんに対する感謝の気持ちをすごく感じたんですけど──ライブが終わった後、いろんなアーティストさんのステージを拝見したんですよ。特にGRASS STAGEを観た時に……僕はROCK IN JAPANにお客さんとして行ったことがなかったので、もう想像を絶する光景というか(笑)。

── あのGRASS STAGEのエリアだけで、6万人くらい入りますからね。

宮田 その景色を観てしまったら、「ここを目指さないと嘘だな」って思っちゃって。あのWING TENTに来てくれた、支えてくれたみなさんをみんな連れて、もっと多くの人を巻き込んで、もっと大きな景色を作り上げられたらなあって。新たな夢ができてしまって……そういう1日でした(笑)。

「多くの人に聴いてもらいたい」っていう願いは、流れ星じゃなくて、自分自身にかけようぜ(伊東)

── 今回の『スターダスト / 宿り星』がメジャーデビューシングルとなるわけですが。この2曲を作る上で、メジャーデビューっていうところは意識の中にありました?

伊東 バラードの“宿り星”が先にでたんですよ。で、その後で「メジャーデビューだ!」ってなった時に──僕らの音楽性ってバラードだけじゃなくて速い曲もあるから、名刺代わりっていうことであれば両方あったほうがいいんじゃないかな、そういう曲ほしいねっていうタイミングでたまたま作ってたのが“スターダスト”で。周りのみなさんも「これがいいんじゃないか」って言ってくださったので。

── 夢を原動力にして新たな夢を追っていくっていうイトヲカシの基本姿勢は、まさにこの“スターダスト”にも通じるものですよね。夢はどっかから降ってくるんじゃなくて、自分で作って追い求めていくものだっていう。

伊東 そうですね。僕、星が大好きなので、夜空を見上げると、流れ星を目的に見てしまうんですけど──流れ星に願いをかけたから願いが叶うような甘い世の中じゃないと僕は思ってて。今までにもバンドが解散したりとか、すっげえ工夫したつもりでライブをしても、お客さんが10人から増えなかったりとか……やっぱり「音楽で成功したい」とか「多くの人に聴いてもらいたい」っていう願いは、流れ星じゃなくて、自分自身にかけようぜって。で、自分自身に願掛けしたら、その通りに自分が頑張れば、絶対に道って開けていくものだなって思っているので。

── それをただの観念論じゃなくて、実体を伴ったメッセージとして歌えているのは、今までの伊東さんと宮田さんの歩みがあるからだし、それを支えた信念があるからですよね。

伊東 だといいなあって。説得力を持って言葉を出すっていう。自分の心の中にあるもの──経験とか、思ってることとか、考えてること、哲学とかから言葉を出すっていうのが一番大切なことだって、今はそう思ってるんですけどね。今後、「狙って歌詞を書く」っていうことができるようになるかもしれないし、そうなれたらいいなっていう自分もいるんですけど。現段階の自分の力では、自分の中から出てくる言葉しか歌詞にすることはできないんですよね。

── “宿り星”もすごくいい曲ですよね。《きみとならば/永い夜を越えられる/歓びも痛みも分け合おう/こんなけがれた世界の中 二人で》っていうフレーズと、ストリングスのアレンジまで含めたトータルの世界観が、壮大な景色を見せてくれる1曲で。

伊東 宿命っていうものはあると僕は思っていて。必要なタイミングで、神様が与えてくれるものだと思ってるんですよ。今回は「愛」っていうテーマなんですけど、もちろん男女の愛でもあるし、友人同士でも──この広い地球上で出会って友達になるって難しいことだし。僕も猫を飼ってて、大好きなんですけど、こいつらが僕のもとに来たのもひとつの定めなのかなって。双方向の愛情があるし、強い結びつきを感じるし……そういうところを、宿命だっていうふうに僕は捉えていて。《歓びも痛みも分け合おう》って思える相手が、ひとりの人間にはやっぱりひとりいるんじゃないかなって。僕はそういう夢を信じてるっていうところがあるので。これも、僕の心の中から偽りなく出てきた言葉なんですよね。

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