ココロオークション ココロの価値を高めるために――「まっすぐな歌」よ、今こそ届け!

ココロオークション

関西エリアを拠点にして2011年に始動。精力的なライヴ活動、音楽フェスやイベントへの出演などによって、既に知る人ぞ知る存在となっているココロオークションが、メジャーデビュー作となるミニアルバム『CANVAS』を完成させた。リスナーの心にまっすぐ語りかける歌声を軸に据えながら、多彩なアレンジによるサウンドが構築されている1枚だ。そして、バンドとしての実像、現在地点が生々しく浮き彫りにされているのも感じる。どのような意識で彼らは制作に取り組んだのか? 粟子真行(Vo・G)、テンメイ(G)、大野裕司(B)、井川聡(Dr)に語ってもらったが、広がり続ける可能性を心から楽しんでいる姿が窺われるインタヴューとなった。

インタヴュー=田中大 撮影=塚原彩弓

粟子の歌が好きでみんなが集まって始まったようなバンドですからね。僕もまさにそうでした(井川)

――メジャーデビューに関しては、どのようなことを思っていますか?

粟子 今、関西のバンドの勢いがすごいじゃないですか。仲間のバンドがどんどん活躍するようになっているので、ずっと悔しい気持ちで眺めていたんです。だから、やっとスタートラインに立てたという気持ちです。でも、いいバンドが評価されていることは感じていたので、一生懸命やっていたら僕らの番が来るんじゃないかなということも思っていましたね。

大野 もし1年早くメジャーデビューの話が来ていたら、自分たち自身で「まだ早いかな」と思っていたかもしれないです。前作の『Relight』を出した頃にやっと「そろそろかな」と思うようになったので、1年くらい前の僕らはまだ熟していなかったんです。

井川 そういう時期を経てようやくここまで来られて嬉しいです。今後、何をしていけるのか楽しみですね。

――テンメイさんは、今年に入ってからの加入ですよね?

テンメイ はい。今年の1月15日に加入しました。それまで1年半くらいサポートメンバーだったんですけど、ライヴの本数がすごく多いバンドなのが印象的でしたね。とにかく「前へ前へ」という気持ちがあって、音源制作に対しても真剣なバンドだったので、地盤をじっくり固めているのを僕も感じていました。

――いろんな吸収をして自分たちの音楽に反映することにも積極的なバンドですよね。

粟子 そうですね。例えば、最近はリズムに対するこだわりがすごく出てきています。今回、プロデューサーの木崎賢治さんに「洋楽を研究しなさい」と言われたんですよ。ロックの原点はブラックミュージックだし、いろいろ研究したら、もっと良くなるのではないかという提案をいただきました。「これを聴きなさい」という具体的なものはなかったですけど。

――自主的にどんな音楽を聴きました?

粟子 ジェームス・ブラウンとかボブ・マーリーとか。あと、最近のものだとジャスティン・ビーバーとかテイラー・スウィフトとか。

大野 テイラー・スウィフトとか、聴いてみたらめっちゃメロがいいんですよ。人気のある洋楽は、最高にメロディが良くて。そして、リズムの部分はブラックミュージックの影響が強いのを感じました。そういうのを解剖して分析しながら得たものを、今作はかなり採り入れています。

井川 曲に関しては基本的にこのふたり(粟子と大野)が担当しているので、僕はひたすら腕を磨いていましたね。今回の曲に関しては「シンプルだけど踊れる」っていうのが軸にあったので、僕はそこをちゃんと表現することを考えました。

テンメイ 今回、よりベーシックな部分に洋楽の要素が入ったように思います。僕はもともとUKロックが好きなので、デモの段階からそういう部分を感じていました。「これにメロが乗ったらどうなるんだろう?」っていうのが楽しみでしたね。



自然と心を研ぎ澄ましながら出てきた言葉とかが、今回の作品にはすごく反映されていますね(粟子)

――今作の全体像に関しては、何か考えていたことはあったんですか?

粟子 メジャーの第1作ということとかは、特に意識はしていなかったです。でも、「これはココロオークションじゃないよね」っていう曲を出すのは嫌だなとは思っていました。やっぱり聴いていただくからには、僕らの名刺代わりになるものにしたかったですから。積み重ねてきたものをちゃんと感じていただきたかったんです。

――きちんと伝えたかったココロオークションらしさって、例えば?

粟子 メロディ、声、曲ですかね。真ん中に歌があって、それが真っ直ぐ届くアレンジ、サウンドを心がけてやっていますので。

井川 粟子の歌が好きでみんなが集まって始まったようなバンドですからね。僕もまさにそうでした。だからドラムを叩く上でも粟子の歌のことを大切にしています。僕、学園祭で一緒にバンドをやった時、粟子の歌を聴いて泣いたことがあるんですけど(笑)。

粟子 あったね(笑)。取材の場で言われると照れるけど。

――大野さんは制作の上で、どのようなことを考えていました?

大野 僕はメロディとコードがある段階からアレンジを考えるんですけど、今回はコードに洋楽的なものを感じたんです。あんまり展開させることなく、ループさせる中でメロディが変化していくという。だから、そこに的確なアレンジを加えることによって、行けるところまで行く広がりを出したいと思っていました。

粟子 コードとリズムがループしているのにメロディアスに展開をさせることができるっていうのが、洋楽をいろいろ吸収して感じたことのひとつだったんですよね。自分が作る曲に反映させるのは時間がかかりましたけど、プロデューサーの木崎さんにすごく引っ張り上げていただきました。

――どのようなプロデュースでした?

粟子 電話がかかってくるんですよ。「もしもし。木崎です」と、すごく優しい雰囲気で。「今日はどんなことがあったの?」とか「そういう気持ちになったんだ? そういう気持ちは忘れないでおこうね」とかいうことをお話しましたね。ちょっと考えさせられて、ちょっとヒントをくださるような方なんです。自分自身では見えない道へと導いてくださったのを感じています。音楽をプロデュースしていただきつつ、人生観や生き方も教えていただきました。自然と心を研ぎ澄ましながら出てきた言葉とかが、今回の作品にはすごく反映されていますね。

大野 木崎さんは楽器隊に関しては、すごく僕たちに任せてくれました。「ココロオークションはバンドだから、自分たちでできたほうがいいよね?」というのが木崎さんのおっしゃっていたことでしたので。それはプレッシャーでもあったんですけど嬉しくて。自分たちが今までに積み重ねてきたことが、あながち間違いじゃなかったんだなということも思うことができました。

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