9mm Parabellum Bullet 最新作をひもとくソロインタヴュー×4!

9mm Parabellum Bullet

約3年振りの9mmの新作『Waltz on Life Line』は、それぞれのメンバーが書き下ろした曲が数曲づつ収められているという異色作だ。これまではギターの滝善充の曲が8割以上を占めていたが、今回は半分以下。そもそも滝が足と手を骨折してメンバーの楽曲準備時間が増えたことでこういうアルバムの方向性が出てきたわけだが、結果として非常にいいアルバムになった。こんなにバリエーション豊かな9mmのアルバムは初めてだ。というわけで今回はメンバーひとりずつにインタヴューした。今回は、『ROCKIN’ON JAPAN』5月号のインタヴュー未掲載のエピソードと共にお送りする。

インタヴュー=山崎洋一郎 撮影=アミタマリ
スタイリング=有本祐輔(7回の裏) ヘア&メイク=酒寄淳子(BITTE)

菅原卓郎 ここに並んでいるものがありになっていることで広がっている可能性はありますね

――クアトロA面シングルの時に、そもそも何でこういう形になったか話してくれたよね。そこからどうなっていったんですか?

菅原卓郎(Vo・G) こういうふうに作るっていうのは、やっぱり継続になって。あの時、半年近く作曲作業をしてたから、曲のストック自体は溜まりに溜まっていて。とにかくいろんな曲があったから何個かに絞っていく作業とか、まとめる作業がメインでしたね。

――どうやってアルバムにまとめていったの?

菅原 この曲とこの曲が似過ぎてるっていうものはまず外して、どっちか生かす、そういう取捨選択をしていく感じだったかな。

――でも、曲をただ並べればアルバムになるかっていうとそうではないじゃない?

菅原 そうですね。本当にこのアルバムが『Waltz on Life Line』になったのは、タイトルをつけた時だなと思っていて。『Waltz on Life Line』っていう言葉自体は、俺が“生命のワルツ”の歌詞を書いた時に、副題というか洋題みたいな感じで書いてたんですよ。それを滝が覚えてて、これがいいんじゃないかと。でも、1度“生命のワルツ“っていう曲を出してるから、ちょっとどうなんだろうなって少し考えて。ただ俺は、マスタリングまで終わって、サウンドは完成したけど、なんてバラバラなんだって思っていて。『Waltz on Life Line』っていう言葉がひとつのものにしてくれそうだな、筋を通してくれる言葉かなって思った瞬間に、アルバムとして完成しましたね。

――なるほど。タイトルのせいにしてちょっと楽してるな(笑)。

菅原 でも、演奏すればするほど、現場ですごくエネルギーを発揮してくれる曲で。だから自分の中で“生命のワルツ”っていう曲自体が、最初にリリースした時より存在感がある。そういう実感があるから託してるっていう感じですね。

――うーん、この不思議なアルバムを作品としてまとめ上げられた説明にはイマイチなってないなあ(笑)。

菅原 (笑)。みんなの曲がいろいろ並んでるのを見ている間に、これはもうまとめようとしてまとまるものじゃないから、放し飼いにすることでしかアルバムにならないなと思っていたんです。このアルバム、もしかしたらだめかもしれないと思ってた時があって(笑)。プリプロとかレコーディング突入してちょっとの間とか、あまりにもわからなさすぎて。スタッフにも、もしかしたら失敗かもしれないとか言いながら。それを、いいや、今しかできないってのは本当にこういうことだと思って。その開き直りで作ってたというか。いろんな曲を入れるっていうことに対する自分の受け止め方が、今までと違うのはその点ですかね。

――結果としてはいいアルバムだし、思ったより本当に9mmのアルバムだよね。

菅原 それは感じますね、すごく。やっぱり、4人で演奏するとか、4人固有のサウンドがあるっていうことが9mmの一番のアイデンティティで、そこからはたぶんずれないと思うんですよ。

――うん、そう思う。でもメンバーの曲が9mmのアルバムとしてひとつにまとまったっていうことで見えてきたおもしろい展開もいっぱいあって。たとえば、9mmは超ロックバンドだけど、意外とロックンロールの匂いがしない。そこで、和彦の曲はロックンロールを9mmの中に注入するみたいな。

菅原 入れていこうとしてますね。

――そういう個性もはっきり見えやすくなってきたし。で、卓郎くんの曲も本当にあれだよね。

菅原 なんですか(笑)。

――どうしても個人名になっちゃうんだけどね、THE YELLOW MONKEYっぽさというか(笑)。

菅原 それは俺も思って。THE YELLOW MONKEYを通り越して、吉井さんって感じかなって思って。仕上がった状態を聴いたら、やっぱり遺伝子か、と思って(笑)。

――うん、そう思いました。

菅原 そういうつもりで作ってるわけじゃなかったんですけどね。いや、でもこれと同じことをやれっていうのはなかなか無理ですね(笑)。これがどんなに評判良くても無理だと思う。

――今後はどうなるんですか?

菅原 どうなるんだろうね(笑)。広げた分、9mmってこういうものでしょって、誰もが共有しているものとブレがないものが作りたくなるかな。やっぱり得意技はこれだってやつをもうちょっと突き詰めてもおもしろいかなっていう気はしますね。ただそれをやっちゃうとつまらないから、もちろん自分たちでおもしろがれるやり方を見つけなきゃいけないと思うんですけどね。

――もしかしたら次のシングルはドラマのタイアップがついたとかで、“Lady Rainy”みたいな曲が9mmのシングルとして出るみたいな、そんな9mmの将来像だって全然悪くないと思うし。

菅原 確かに聴いてみて、できなくはないなっていう気はしますね。ここに並んでいるものがありになっていることで広がっている可能性はありますね。

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