名曲はどう熟成されたか

エレファントカシマシ『エレファントカシマシ カヴァーアルバム2 ~A Tribute to The Elephant Kashimashi~』
2013年12月18日発売
ALBUM
エレファントカシマシ エレファントカシマシ カヴァーアルバム2 ~A Tribute to The Elephant Kashimashi~
エレカシの曲を歌う人を見ると、厳粛な気持ちになる。先日の『FNS歌謡祭』での木村拓哉もそうだった。特段好きな歌い手ではないのに、その歌声には襟を正したような張り詰めた雰囲気があり、思わず引き込まれてしまったのだ。10年ぶりのエレカシトリビュート第2弾。これはまさに「エレカシ愛の記録」である。BRAHMAN“月の夜”、THE BACK HORN“悲しみの果て”あたりは、名曲に真正面からぶつかるシンガーの心意気に打たれる。グループ魂は彼らにしかできない方法で宮本愛を表現しているし、“さらば青春”をドラマチックに演奏するDragon Ashから伝わるのは、彼らの中で考え抜かれた「エレカシ像」だ。筆者が感動したのはChara×THE NOVEMBERSによる“月夜の散歩”。原曲は弾き語りの無骨な名曲だが、Charaはサイケな音像の中をたゆたうように歌う。それはまるで、エレカシを聴いたまま寝たときに耳の奥で響くような音楽であり、ファンの多くは「いつか聴いたことがある」と感じるのではないか。名曲が時間をかけてどう熟成されていくかを示す名バージョンだと思う。(神谷弘一)
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