この軽やかさに救われる

ASIAN KUNG-FU GENERATION『今を生きて』
2013年02月20日発売
SINGLE
ASIAN KUNG-FU GENERATION 今を生きて
タンタタンタタンタタンというドラムの小気味いいリズムが曲全体を牽引し、まるで聴いているこちらの足を前へと運ばせるようだ。“今を生きて”は、映画『横道世之介』の主題歌として書き下ろされた新曲で、青春映画に相応しい爽やかな甘酸っぱさと切なさが宿っている。とはいえここに描かれる「今を生きて」というメッセージと、瞬間瞬間を駆け抜ける美しい生命の描写は、『ランドマーク』でアジカンが鳴らしたテーマの延長線上にある。《駆け出そう世界へ Say yeah!!!/肉体の躍動だ Baby/永遠を このフィーリングをずっと忘れないでいよう》とサビで気持ち良く転がる歌にも、どこか喪失を前提にしたような哀しさが潜む。それでもかつてないほど朗らかなメロディとアンサンブルが胸を高鳴らせ、この軽やかさこそが、混沌とした今を生きる私たちに必要なものだと思わずにおれない。

鍵盤の音がちょっぴり切なくきらめくカップリングの“ケモノノケモノ”はアイロニーとユーモアたっぷり。後藤の自画像のようであり、同じような思いを共有する者たちに捧げられたようでもある、愛らしい曲だ。(福島夏子)   
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