前作“僕と花”はドラマ主題歌で、FUJI ROCKでは今年唯一のWhite Stage入場規制、山口一郎が手がけたSMAPの五輪テーマ曲はチャート1位に輝き、iPhone(siri)のCMでは「サカナクションかけて」のフレーズがサラリと飛び出す――目を見張るほどの快進撃の最中で放つ“夜の踊り子”は、軽快な4つ打ちに未来を見据える文学的な歌詞がのった、バンドの音楽的魅力を堂々開花させたロックダンスナンバー。ドギツイ蛍光カラーではないけれど、鮮やかで安定した音世界だからこそ、喜んで身を任せられる。自分たちの存在がお茶の間に浸透した今を冷静に分析し、再度差し出された名刺は、抜群に効果的だ。さらに、カップリングには初のセルフリミックスを、初回限定のDVDにはZepp Tokyoでのツアーファイナルの模様と、本番前観客なしの状態で最大限に演出が味わえる定点カメラによるパフォーマンス映像を収めた。シングル1枚丸ごと使って表現された、音楽の多面的な楽しみ方を全方向に届けたいというメッセージ。ひとりでも多くの人に届いて欲しい。そして、一緒に踊ろう。（藤田華子）