「究極のファンタジー」の舞台は

BUMP OF CHICKEN『ゼロ』
2011年10月19日発売
SINGLE
BUMP OF CHICKEN ゼロ
BUMP OF CHICKENの音楽が気づかせてくれるのはいつだって、僕らの情熱と意識しだいで「今、ここ」の現実こそが最大最強のファンタジーの舞台になる、ということだ。「ファンタジーやお伽噺にリアリティと説得力を与えて鳴らす」のではない。昔、『天空の城ラピュタ』を観て、自分の目の前には守るべき少女も追いかけるべき宝もないことに絶望した、と語っていた藤原基央はしかし、ロックという無限のファンタジーのキャンバスに、ありったけの「今、ここ」への願いを込めて未来地図を描き続けてきた。そして、凛とした祈りが自然発火して空を焼くような壮絶な歌を聴かせる今回の“ゼロ”が内包しているのも、名作ソフト『FINAL FANTASY』への思い入れ以上に、このヘヴィな状況に直面したこの国を、音楽の力で少しでも前へ/先へ進めたいという、あまりに切実なロック騎士道精神とでも言うべき闘争精神だ。震災直後にチャリティ・シングルとしてリリースされた“Smile”のバンド・アレンジ・ヴァージョンとともに、この音は剣の如く今の時代を強く鋭く貫いて、僕らの胸に刺さってくる。(高橋智樹)
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